✅投資信託の分配金に注目。タコ足分配、タコ足配当について
✅タコ足は2種類あり。自分の購入価格、ファンドの元本取り崩し
✅投資信託の分配金は4種類あり
配当収入、売買益や評価益、分配準備積立金、収益調整金
✅約1年前に設定された人気投資信託の分配金の運用報告書をチェック
✅当期の収益、当期の収益以外、翌期繰越分配対象額、基準価額に注目
✅SBIアセットは、SBI日本高配当株式、VYM、VIG、SPYDの投資信託版、SBI・J-REIT
✅Tracers日経高配当50、日経平均高配当利回り株ファンドも
✅VYM、VIG、SPYDの投資信託版の最新分配金情報(2024年2月)
✅おもな投資信託の分配金がなぜ多いか、明らかにする

投資信託のタコ足配当について
今回は投資信託のタコ足配当、もしくはタコ足分配について考えます。
タコ足には、大きく分けて2種類あると考えられます。1つは自分の購入価格によるタコ足、もう一つは分配金がファンドの元本を取り崩すタコ足です。
まず最初は、自分の購入価格が高かった場合におきるタコ足、元本払戻金(いわゆる特別分配金)についてです。
分配金を支払った後の基準価格よりも、投資者の購入価額(個別元本)が高かった場合、分配金が非課税になる制度です。
左側は、購入時の基準価額が1万円で、分配金を支払うときの基準価額が1万500円になったケースです。分配金は500円だとします。分配金支払後の基準価額は1万円になるので問題ありません。これは普通分配金です。
右側は購入時の基準価額が1万円で、分配金を支払うときの基準価額が1万円のままだったケースです。分配金は500円です。
分配金支払後の基準価額は9500円になります。この場合は、自分の元本から分配金が支払われるので、元本払戻金(特別分配金)となり、非課税になります。
これが自分の購入価格が高かった場合におきるタコ足配当というイメージです。人呼んで自分タコ足みたいな。
投資信託の分配金は4種類ある
もうひとつのタコ足は、分配金がファンドの元本を取り崩すタコ足です。これがやっかいです。
投資信託の分配金は4つに分けられます。
1つめが組入銘柄の配当収入、インカムゲインです。
2つめが売買益や評価益、キャピタルゲインのことです。
3つめが分配準備積立金、今期の分配金として支払われなかったインカムゲインやキャピタルゲインが、翌期決算に繰り越された額です。
4つめが収益調整金です。分配金の希薄化を防ぐために、新規購入の資金を分配原資に充てたものです。
1つめのインカムゲインと、2つめのキャピタルゲインは当期の収益です。
3つめの分配準備積立金と、4つめの収益調整金は、当期の収益以外に該当するので、この部分を使った分配金を繰り返していくと、タコ足配当になる可能性があります。
分配準備積立金と収益調整金の残りは、翌期繰越分配対象額となります。ただし、この部分は基準価額の中に含まれているので、使用すると基準価額が下がります。
ETFの場合は、基本的に1つめの組入銘柄の配当や利子収入、いわゆるインカムゲインが分配金として支払われます。まれに2つめのキャピタルゲイン分配金を年1度支払うこともあります。
投資信託は、インカムゲイン以外にも、キャピタルゲイン、分配準備積立金、収益調整金からも分配金を出すことが可能です。運用会社の裁量が大きいわけです。
なので、投資信託の分配金利回りは、同じベンチマークのETFや、ファンドの組入れ銘柄の配当利回りと比べて、高くなることがあります。
分配金ありの投資信託を購入する日本の個人投資家は分配金を期待している人が多いので、運用会社は、そのニーズに応えて多めに分配金を支払うケースがあります。
設定から約1年のTracers日経高配当50やSBI日本高配当株式の分配金利回りが高いのは、そのためです。
分配金のタコ足になるケースをイメージ
投資信託の分配金をグラフにして考えてみましょう。
左側は基準価額が前期の決算1万円から1万100円に上昇し、分配金100円を支払った場合です。
(1)配当収益50円と、(2)売買益や評価益50円を分配金として使う健全なパターンです。「当期の収益」のみが分配金というケースです。分配金を支払った後は、基準価額が1万100円から1万円に下がります。
右側は基準価額が前期の決算1万円から9900円に100円下落し、さらに分配金を100円支払った場合です。
(1)配当収益50円は変わりませんが、(2)売買益や評価益は基準価額が下がっているので、存在しません。
そこで、左側と同じ分配金100円にするため、(3)分配準備積立金もしくは(4)収益調整金を50円取り崩します。「当期の収益以外」を使うわけです。
分配金を支払った後は、基準価額は9900円から9800円に下がります。
灰色部分は(3)分配準備積立金と(4)収益調整金を合わせた額です。「当期の収益以外」に該当する繰越分配対象額です。もともと500円ありましたが、今回50円使ったので、450円に減りました。
この「当期の収益以外」を頻繁に使用すると、基準価額が目減りしていくので、タコ足配当になるというイメージです。
投資信託の運用報告書を見る場合、1万円でスタートした基準価額が上がっているかどうかと、当期の収益以外がどのくらい使われているかをチェックする必要があります。
SBI日本高配当株式の運用報告書と分配金の中身を確認
それでは運用報告書を見ていきましょう。
まずはSBI日本高配当株式です。2023年12月に設定された投資信託。日本の高配当を集めたファンドで、年4回分配型です。
上は、運用報告書の分配原資の内訳です。
SBI日本高配当株式は、これまで4回分配金が支払われました。ここに記載されているのは、最初の3回分で、いずれも140円です。
第2期の2024年4月と第4期の2024年10月は分配金140円すべてが、当期の収益でした。当期の収益とは、(1)配当収入のインカムゲインや、(2)売買益や評価益などのキャピタルゲインです。
第3期の2024年7月は当期の収益が91円、当期の収益以外が48円です。当期の収益以外は、(3)分配準備積立金か、(4)収益調整金のことです。
ファンドができたばかりなので、分配金の希薄化を防ぐためなどの理由で、当期の収益以外を使ったと思われます。
この当期の収益以外が多く、頻繁に続くようだと心配ですが、最初の1年目でこのくらいの金額なら仕方ないと言えます。
翌期繰越分配対象額と基準価額をチェック
SBI日本高配当株式の決算日ごとの基準価額です。
上の表の2024年4月10日の基準価額は11845円。
下の表の第2期2024年4月10日の翌期繰越分配対象額は1845円です。1万円からスタートした基準価額が1845円上昇したので、翌期繰越分配対象額が1845円になったというわけです。
ただし、この数値はピッタリ同じにはならないことがあります。
翌期繰越分配対象額は、あくまでも投資信託会計上の勘定科目のひとつなので、使っても減らないケースがあります。
下の表の第4期の2024年10月10日の翌期繰越分配対象額は1505円。
上の表の2024年10月10日の基準価額は11203円なので1203円上昇しましたが、翌期繰越分配対象額は1505円です。結構差があります。
翌期繰越分配対象額よりも、1万円でスタートした基準価額が、どのくらい上がっているかの方が重要です。上昇している分だけ、分配金を支払う余裕があるという考え方もできます。
分配金利回りと配当利回りを比較
左は分配金履歴です。4回続けて140円で、過去1年分配金と基準価額から求めた分配金利回りは4.89%です。
右は月次レポートに記載されている、組入れ銘柄の配当利回りです。3.94%です。0.95%ほど、過去1年分配金と基準価額から出した分配金利回りが高いです。
分配金利回りが高い理由は、当期の収益以外を使用したこと、また、当期の収益でもキャピタルゲインを使った可能性があります。
投資信託は安定的な分配金と、やや高めの分配金利回りになるケースがあると言えます。
SBI・VYM、SBI・VIG、SBI・SPYDなどの4度目の分配金が決定
SBIアセットのVYM、VIG、SPYDなどの投資信託が4度目の分配金を発表しました。
SPYDが125円で前回より50円減りました。VYMは85円で前回と同じ、VIGは50円で前回と同じです。
表の下の赤い文字は過去1年分配金から出した分配金利回りです。分配金の合計に米国で源泉徴収された税金を戻して、基準価額から出しました。
その下の黒い文字は、米国ETFの現在の分配金利回りです。
いずれも投資信託の方が高いです。SPYDは0.57%高く、VYMは0.44%高く、VIGは0.18%高いですね。
先ほども説明しましたが、投資信託の場合は組入れ銘柄の配当以外からも分配金を出しています。そのため、少し高くなっていますね。
1年目は純資産が増えると分配金が希薄化される可能性がありますので、それを防ぐためにやや多めにしているかもしれません。
これらのファンドを購入する日本の個人投資家のニーズに応えて、運用会社が意図的に多めにしている可能性があります。
SBI・VYMの運用報告書と分配金の中身を確認
それではSBI・VYMの運用報告書を確認しましょう。
上は、分配原資の内訳です。
SBI・VYMは、これまで4回分配金が支払われました。
ここに記載されているのは、最初の3回分です。80円、80円、85円です。
第2期の2024年5月と第4期の2024年11月の分配金は、すべてが当期の収益でした。
第3期の2024年8月は当期の収益が77円、当期の収益以外が2円です。
分配準備積立金か収益調整金など当期の収益以外を2円分だけ使ったようです。このくらいなら問題ないですね。
翌期繰越分配対象額と基準価額をチェック
下の表は、SBI・VYMの決算日ごとの基準価額です。
下の表の第2期の2024年5月20日の翌期繰越分配対象額は1272円。上の表の2024年5月20日の基準価額は11272円なので、1272円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。ピッタリ合っています。
下の表の第4期の2024年11月20日の翌期繰越分配対象額は2033円。上の表の2024年11月20日の基準価額は12034円なので、2034円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。1円の差なので、ほぼピッタリ合っています。
SBI・VIGの運用報告書と分配金の中身を確認
それではSBI・VIGの運用報告書を確認しましょう。
上は、分配原資の内訳です。
SBI・VIGは、これまで4回分配金が支払われました。ここに記載されているのは、最初の3回分です。45円、45円、50円です。
第1期の2024年5月と第3期の2024年11月の分配金は、すべてが当期の収益でした。
第2期の2024年8月は当期の収益が39円、当期の収益以外が5円です。分配準備積立金か収益調整金など当期の収益以外を5円分だけ使ったようです。このくらいなら問題ないです。
翌期繰越分配対象額と基準価額をチェック
下の表は、SBI・VIGの決算日ごとの基準価額です。
下の表の第1期の2024年5月20日の翌期繰越分配対象額は680円。上の表の2024年5月20日基準価額は10681円なので、681円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。1円の差なので、ほぼピッタリ合っています。
下の表の第3期の2024年11月20日の翌期繰越分配対象額は1432円。上の表の2024年11月20日の基準価額は11433円なので、433円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。1円の差なので、こちらもほぼピッタリ合っています。
SBI・SPYDの運用報告書と分配金の中身を確認
それではSBI・SPYDの運用報告書を確認しましょう。
上は、分配原資の内訳です。
SBI・SPYDは、これまで4回分配金が支払われました。
ここに記載されているのは、最初の3回分です。120円、120円、130円です。
第2期の2024年5月と第4期の2024年11月の分配金は、すべてが当期の収益でした。
第3期の2024年8月は当期の収益が107円、当期の収益以外が12円です。
分配準備積立金か収益調整金など当期の収益以外を12円分使ったようです。このくらいなら問題ないですね。
翌期繰越分配対象額と基準価額をチェック
下の表は、SBI・SPYDの決算日ごとの基準価額です。
下の表の第2期の2024年5月20日の翌期繰越分配対象額は1150円。上の表の2024年5月20日の基準価額は11150円なので、1150円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。ピッタリ合っています。
下の表の第4期の2024年11月20日の翌期繰越分配対象額は2191円。上の表の2024年11月20日の基準価額は12192円なので、2192円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。1円の差なので、ほぼピッタリ合っています。
VYM、VIG、SPYDの投信は、当期の収益以外をほとんど使用せずに、分配金を支払っており、健全な運用ができているように思えます。
2024年は8月に暴落があったので、その時に少しだけ当期の収益以外を分配金として使用した可能性が考えられます。
SBI・J-REITの運用報告書と分配金の中身を確認
今度は基準価額が苦戦しているファンドをチェックします。
SBI・J-REITについて見ていきましょう。2024年5月に設定された、日本のJ-REITが対象の投資信託です。J-REITは全体的に2021年ごろから右肩下がりのチャートです。
SBI・J-REITの現在の基準価額は9300円ほどです。
これまで3度の分配金を出しましたが、いずれも50円です。
組入れ銘柄の配当収入は98円、111円、122円ありましたが、分配金は半分弱にして、基準価額の回復に使いました。
直近の配当をすべて分配すれば分配金利回りは5.2%ほどですが、2.13%ほどに抑えています。
運用報告書の分配原資をチェック
運用報告書を確認しましょう。
第1期の2024年8月と第2期の2024年11月の分配金は、どちらも当期の収益50円のみです。当期の収益以外は使っていません。
基準価額が下がっているにもかかわらず、当期の収益以外を使うと、タコ足配当になってしまいます。
分配しなかった分は第1期が48円、第2期が61円、第3期72円あり、基準価額の回復と、翌期繰越分配対象額に入ったというわけですね。
SBIアセットは、基準価額が好調のSBI日本高配当やVYM、VIG、SPYDなどは組入れ銘柄よりもやや多めの分配金を出しています。
基準価額が不調のSBI・J-REITは分配金を減らして、基準価額の回復に努める運用をしています。なかなか健全と言えます。
Tracers日経高配当50の運用報告書と分配金の中身を確認
それではTracers日経高配当50の運用報告書を確認しましょう。設定されたのは2024年1月末です。
上は分配原資の内訳です。
Tracers日経高配当50は、これまで3回分配金が支払われました。ここに記載されているのは、最初の2回分です。100円、100円です。
第4期の2024年8月の分配金は、すべてが当期の収益でした。
第5期の2024年12月の分配金は、すべてが当期の収益以外でした。
Tracers日経高配当50は設定から最初の分配金まで9カ月ほどあったので、分配金の原資が溜まっていたと思います。
ただ、当期の収益以外がすべてというのは、少し気になります。一時的ならいいのですが、これが続くようだと不安ですね。
翌期繰越分配対象額と基準価額をチェック
下の表は、Tracers日経高配当50の決算日ごとの基準価額です。
下の表の第2期の2024年5月30日の翌期繰越分配対象額は1317円。上の表の2024年5月30日の基準価額は11318円なので、1318円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。1円異なりますが、ほぼピッタリ合っています。
下の表の第5期の2024年12月2日の翌期繰越分配対象額は921円。上の表の2024年12月2日の基準価額は10797円なので797円上昇しましたが、翌期繰越分配対象額は921円もあります。100円強ほど異なっています。翌期繰越分配対象額は、あくまでも投資信託会計上の勘定科目のひとつなので、使っても減らないケースがあります。
Tracers日経高配当50の分配金は妥当か?
左は、Tracers日経高配当50の分配金から出した分配金利回り。5.5%ほどです。
真ん中は、Tracers日経高配当50の対象指数である、日経平均高配当株50指数に組み入れられている銘柄を加重平均した配当利回りです。4.3%です。
右が、Tracers日経高配当50とベンチマークが同じ、1489の過去1年分配金から算出した分配金利回りで3.36%。
かなり差があります。投資信託は運用会社によって分配金を決められるとはいえ、少し高い感じがします。この差が続くようだと心配です。
とくに、当期の収益以外から、頻繁に分配金が出ていないかについては、今後もチェックしたほうが良さそうです。
日経平均高配当利回り株Fの運用報告書と分配金の中身を確認
日経平均高配当利回り株ファンドを確認しましょう。日経平均採用銘柄から高配当30銘柄に投資するファンドです。2018年11月に設定されたので、6年以上経過しています。
NISAのつみたて投資枠で購入可能ですが、信託報酬が0.693%とやや高いです。
運用報告書の分配原資についてまとめました。
注目は、当期の収益と当期の収益以外ですね。
上段の左上が設定当初です。このあたりは、当期の収益以外が結構ありました。
下段の2021年以降は、当期の収益以外がほとんどなくなっています。ただし、直近の2024年12月は当期の収益以外が65円ありました。
分配金全体に対して、当期の収益以外が占める割合は8.6%ほどです。なので、最近はなかなか健全な運用をしているといえます。
翌期繰越分配対象額と基準価額をチェック
基準価額と翌期繰越分配金対象額を比較します。
第12期の2024年12月の決算の翌期繰越分配対象額は7020円。2024年12月の基準価額は17021円なので、1万円からスタートして、7020円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。ピッタリ合っています。
第10期の2023年12月の決算の翌期繰越分配対象額は5625円。2023年12月の基準価額は15626円なので、1万円からスタートして、5626円上昇した分が翌期繰越分配対象額となりました。ほぼピッタリ合っています。
翌期繰越分配対象額は、当期の収益以外を支払わない期間が続くと、基準価額の上昇分とピッタリ合う感じがします。
日経平均高配当利回り株ファンドの分配金利回りは?
日経平均高配当利回り株ファンドは、組入れ銘柄の配当利回りが4.6%です。
それに対して、日経平均高配当利回り株ファンドの直近1年の分配金から出した分配金利回りは3.5%と控えめです。
この1年は価格が軟調だったため、控えめな分配金の傾向です。
運用報告書の当期の収益以外が最近はあまりなかったので、まずまず健全な運用と言えます。
ただ、最新の2024年12月期がまだ発表されていないので、それがどうか少し気になります。
投資信託の分配金の傾向は?
これまで紹介した投資信託の分配金の傾向をまとめました。組入れ銘柄の配当利回りに対する分配金利回りに注目です。
SBI日本高配当株式は、新興ファンドのため、積極的な分配を行ってる感があります。
Tracers日経高配当50は、ETFの1489を意識してか、高めの分配です。どちらも1%ほど高いですね。
VYM、VIG、SPYDの投資信託は、米国ETFとの整合性を意識している感じがします。希薄化を抑えつつ、やや高めという感じです。
日経平均高配当利回り株ファンドは、直近1年の成績がイマイチのため、慎重な分配となってます。
分配原資の内訳と詳細、基準価額と翌期繰越分配対象額について
最後に運用報告書の気になる点について。
こちらは大和アセットのあるファンドの運用報告書です。
このファンドは、2024年9月の決算時点で、基準価額が1649円まで下がっています。上の表の右上です。
その時点での翌期繰越分配対象額は4253円です。基準価額を上回っています。下の表の右下です。
基準価額が下がっているファンドは、翌期繰越分配対象額はアテにならないということですね。
基準価額が上昇しているファンドは、翌期繰越分配対象額が基準価額の上昇分と同じケースがありますが、逆のケースだと参考にならないですね。
もうひとつ、ほとんどの運用報告書は、分配金について、当期の収益と当期の収益以外の2つしか記載されていません。上の表のような形式です。
本来なら、分配金の内訳は4つあります。下の表のような感じです。
当期の収益の中には配当と売買損益があり、当期の収益以外には分配準備積立金と収益調整金があります。
上から(A)配当等収益、(B)売買等損益、(C)収益調整金、(D)分配準備積立金と細かく明記されています。
しかも各項目にチェックが入っており、1つ前の当期の収益と当期の収益以外の金額とリンクしています。
他の運用会社もこのようにしてくれると、分かりやすくていいんですけどね。
とくに当期の利益が、配当なのか、売買による損益なのかは気になります。
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まとめ
✅投資信託のタコ足は大きく分けて2種類ある
✅分配金を支払った後の基準価額よりも自分の購入価格が高い場合、分配金が元本払戻金となる
✅ファンドの分配金に元本取り崩しを含むタコ足を見極めるのは難しい
✅ETFは、基本的に組入れ銘柄の配当収入「インカムゲイン」を分配金として出す
✅投資信託は、それ以外にも売買益や評価益の「キャピタルゲイン」、インカムゲインとキャピタルゲインを翌期決算に繰り越した「分配準備積立金」、分配金の希薄化を防ぐための「収益調整金」がある
✅これらを使って運用会社が分配金を自由に決めることができ、分配金利回りが高くなることも
✅タコ足かどうか見極める方法は、基準価額が1万円以下の場合に、分配金を多く出しているかどうか
✅運用報告書の「当期の収益」はインカムゲインとキャピタルゲイン、「当期の収益以外」は分配準備積立金と収益調整金
✅ファンドの中期以降に「当期の収益以外」をたくさん使用している場合は、疑ったほうがいい
✅「翌期繰越分配対象額」は、「当期の収益以外」を使うと、基準価額の上昇分と合わなくなる
✅SBIアセットのSBI日本高配当株式やVYM、VIG、SPYDの投資信託版の運用は問題なさそう
✅SBI・J-REITは基準価額が軟調なので、分配金を抑えて、基準価額の上昇を優先
✅Tracers日経高配当50は分配金が多い状態が続いており、「当期の収益以外」をたくさん使用
✅日経平均高配当利回り株ファンドは、最近は「当期の収益以外」が少なく、堅調な運用
✅今回紹介したファンドの分配金の傾向はさまざま














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