✅米国の大人気高配当ETF【SCHD】の投資信託版が楽天証券から登場
✅その名も「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型) 」。9月18日から運用開始
✅楽天証券での取り扱いは9月27日(金)から
✅ファンドのコンセプト、分配金の傾向、組入銘柄やセクターなどを詳しく紹介
✅【VYM】や【VIG】より優れているというのは本当でしょうか? 上位銘柄やセクター、シャープレシオ、増配率、トータルリターン、将来YOCなど様々なデータをライバルETFと比較します
楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)とはどんなファンドか?
それでは、楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)はどんなファンドか見ていきましょう。
この商品は、マザーファンドを通じて、米国の株式を主要投資対象とする上場投資信託、いわゆるETFに投資します。このETFがシュワブ・米国配当株式ETFです。
分配金は年4回
分配金は年4回です。2、5、8、11月の各25日が決算です。日本の投資信託は決算日の5営業日後までには分配金が振り込まれます。
最初の分配金はいつでしょうか。11月か、来年の2月でしょうか。
投資対象のファンドは?
投資対象ファンドは、シュワブ・米国配当株式ETF【SCHD】ですね。人気高配当ETFです。後ほど詳しく解説します。
このETFは「ダウ・ジョーンズU.S.ディビデンド100インデックス」との連動を目指します。配当を基準とした100銘柄という意味ですね。こちらも後ほど詳しく説明します。
「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」の運用開始は、2024年9月18日です。
信託報酬はどのくらいか?
信託報酬を見てみましょう。
内訳は、委託会社に0.055%、販売会社に0.055%、受託会社に0.022%。合わせて0.132%です。
ただし、マザーファンドを通じて投資するETFにも管理報酬等がかかります。つまり、【SCHD】に0.06%支払うようなイメージです。
合計すると、年0.192%となります。これが信託報酬で、これに隠れコストがかかり、経費率となります。隠れコストは、投資信託の売れ行きに左右される傾向があり、売れ行きが好調なら低くなります。
たかにんの推測ですが、このファンドはかなり売れると思いますので、隠れコストはそれほどかからないんじゃないかなと思います。
SCHDのコンセプト、対象指数、銘柄選定方法は?
それでは【SCHD】のコンセプトや対象指数についてです。
このETFは「ダウ・ジョーンズU.S.ディビデンド100インデックス」との連動を目指します。
親指数は、REITを除くダウ・ジョーンズU.S.ブロード・マーケット・インデックスです。この指数は米国株式市場に上場している企業の約95%を対象としており、ほぼ全米といえます。
まず最初に、以下の条件でスクリーニングします。
2)浮動株調整後の時価総額が5億ドル以上
3)過去3カ月の日次取引量が最低200万ドル
1)から3)に当てはまる銘柄を、配当利回り上位50%に絞ります。
つまり、毎年配当を払っており、規模が大きく、流動性のある銘柄から、配当利回り上位50%が対象ということですね。
4つの項目でランク付けする
続いて、先ほどの条件に当てはまった銘柄を、以下の4つの項目でランク付けします。
2)ROE(株主資本利益率)
3)配当利回り
4)過去5年間の配当成長率
つまり、財務が健全、稼ぐ力がある、配当利回りが高い、過去5年の増配率が高いの4項目を重視してランク付けするわけです。
4つのランキングを同程度に加重して総合スコアを作成し、上位100銘柄が選ばれます。ただし、銘柄入れ替えの際は、既存銘柄は上位200位に入っていれば残留となります。
銘柄の構成比率は浮動株調整後の時価総額加重平均です。
指数は、毎年、3月の第3金曜日に銘柄入れ替えを行います。3、6、9、12月の四半期ごとにリバランスを行います。単一銘柄の上限は4%。1つのセクターは25%が上限です。
イメージとしては【DVY】が少し似ていますね。ちなみにDVYの指数は「ダウ・ジョーンズ U.S.セレクト・ディビデンド・インデックス」で、同じダウ・ジョーンズなので、兄弟みたいな感じですね。
コンセプトをまとめると
コンセプトをざっくりまとめると、米国上場銘柄から毎年配当を払っており、規模が大きく、流動性のある銘柄から、配当利回り上位50%が対象となります。
そして、財務が健全で、稼ぐ力がある、配当利回りが高い、過去5年の増配率が高いの4項目でスコアをつけて総合上位100銘柄が選ばれます。
さまざまな要素の良いところを取ろうとしていますね
配当利回りはもちろん、銘柄の規模、財務の健全性、競争力、増配率などを重視するファンドですね。
SCHDの上位銘柄やセクター比率は?
ここからは楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)の投資対象であるETFの【SCHD】の中身について見ていきます。組入上位20銘柄の8月30日のデータです。
ベンチマークは、ダウ・ジョーンズU.S.ディビデンド100インデックスです。
上位10銘柄で全体の約41%を占め、20銘柄では約71%です。上位銘柄の比重がけっこう大きいですね。
【SCHD】は時価総額加重平均のため、規模の大きな順に組み入れられています。
1銘柄の比率の上限が4%ですが、上位6銘柄が4%を超えています。リバランスが3、6、9、12月に行われたので、最後のリバランスは6月ですね。直近3カ月の株価が好調の銘柄が、時価総額のわりに、上位に来ているというわけです。
上位組入銘柄のセクターはバラエティに富んでおり、なかなかバランスがいいですね。ヘルスケアと生活必需品が上位にやや多く含まれています。
右端が配当利回り。上位10銘柄は3%前後が多いですね。1位のロッキード・マーチン、3位のブラックロックは高配当ETFの上位にいるのは珍しいですね。
パッと見た感じでは、やや地味ですが安定銘柄が多いですね。
SCHDのセクターはどうか?
【SCHD】組入銘柄のセクター比率について、見ていきましょう。GICSによる分類です。
トップが金融で約18%、ヘルスケアが16%、生活必需品が14%、資本財が13%、エネルギーが12%と続いています。
二桁パーセントのセクターが5つもあり、セクターのバランスがよく、分散されていると言えます。
情報技術は8.5%なので、あまり多くないですね。
SCHDの分配金を確認しよう
ここからは【SCHD】の分配金について見ていきましょう。2019年以降の分配金一覧です。
右から4列目が、分配金の対前年同期増減率。1年前の分配金との比較です。背景赤色がマイナスです。2023年6月しかありません。つまり、1年前と比べて、増え続けているというわけです。
1年ごとの分配金を確認
分配金を1つずつ棒グラフにして、1年単位に重ねました。
直近2024年9月の分配金は0.7545ドル、対前年同期15.3%増でした。
前年より減っている年はないですね。長期にわたって、順調に増え続けていると言えます。素晴らしいです。
ちなみに10年増配率は11.0%と高水準です。
年間分配金と取引所価格を比較
年間分配金と取引所価格の比較です。
取引所価格と1年分配金は似たような伸びです。増配した分だけ、取引所価格も上昇しています。
これは、分配金利回りがどのタイミングでも同じくらいという意味です。だいたい3%前後です。
このグラフを見ると、【SCHD】は着実に取引所価格と分配金が伸びており、安定感があるのがわかりますね。長期投資向きのETFと言えそうです。
SCHDの増配率を確認しよう
増配率について見ていきます。
まずは年間増配率です。分配金を支払い始めたのが2011年12月からなので、2013年以降のデータです。
すべての年でプラスです。2023年は3.8%とそれほど高くなかったですが、それ以前の10年間は7%以上の増配です。
かなり高水準で増配しているのが、わかりますね。
3年と5年増配率の推移は?
複数年単位の増配率をチェックしましょう。3年増配率と5年増配率の推移です。
5年増配率がオレンジ色です。9.8%から13.7%の間です。高いですね。3年増配率は青色。7.9%から16.0%です。こちらも高水準です。
増配率に関しては、【SCHD】は申し分ないです。米国の高配当ETFの中ではトップクラスというより、ほぼトップですね。
SCHDの取引所価格や分配金利回り、過去YOCを確認
現在から10年前までの取引所価格、分配金利回り、YOCを見ていきましょう。取引所価格は月末のもので月1回です。
青い線が、取引所価格。2014年は40ドルぐらいでしたが、2024年は80ドルを超えました。緑色の点線が平均分配金利回り。過去10年の平均分配金利回りは2.95%です。赤い線が分配金利回り。現在の分配金利回りは3.35%です。なので、平均よりも少し高いです。
黄色の線が、過去に【SCHD】を買った場合、現在、取得価額に対する利回り(いわゆるYOC)がどのくらいになっているかというグラフ。この線が左肩上がりの場合は、取引所価格が好調&増配傾向にあるといえます。なので【SCHD】は長期で見ると優秀です。
10年前の2014年8月に買っていたら、現在YOCは約7.3%です。また、5年前の2019年8月に買っていた場合は、現在YOCは約5.3%です。10年前に買ったら、YOCが7.3%になっていたというのは、相当優秀ですね。
参考までに【VYM】は5.3%ほどなので、2%も高いです。後ほどこのデータの比較もやります。
SCHDとライバルの米国ETFの基本データ比較
ここからは【SCHD】とライバルの米国株を対象としたETFを比較します。事実上のライバルとなりそうなのは高配当の【VYM】、【HDV】、【DVY】ですね。
【SCHD】はトータルリターンや増配も良さそうなので、連続増配の【DGRO】、【VIG】も比較対象として面白そうです。さらに【VOO】も比較対象とします。この7つで比較します。
今後のグラフで使用するカラーは、ティッカーコードの背景色にします。
※クリックで拡大します
コンセプトは、さまざまですね。【SCHD】はある程度大きな規模を対象に、財務の健全、稼ぐ力、配当利回り、増配率を重視します。
銘柄の組み入れ方式は【SCHD】とバンガード勢の【VYM】、【VIG】、【VOO】が時価総額加重平均です。
設定されたのは【SCHD】は2011年で、13年ほどの実績があります。他のETFも10年以上の実績があり、信頼できます。
銘柄数はバラバラですね。300以上と多いか、100以下と少ないに分かれます。【SCHD】は100銘柄なので、少ない部類ですね。
経費率はほとんどが0.1%を切っており、低いですね。【SCHD】は0.06%です。ただし、【SCHD】の投資信託版は0.192%です。【DVY】だけが0.38%とやや高いです。
運用総額は、【VOO】が約73兆円と断トツ。【VIG】が約12兆円と続いて、【SCHD】は約8.7兆円です。
米国上場ETFの規模の大きいETFは?
こちらは米国上場ETFの純資産の大きい順です。左が1位から25位、右が26位から50位です。背景に色がついているのが、【SCHD】と比較対象のETFです。
【SCHD】は27位で8.73兆円です。米国を対象とした高配当ETFの中ではトップですね。【VYM】が8.38兆円なので、【SCHD】の方がわずかに大きいです。
SCHDとライバルの米国ETFの基本データ比較、その2
7ETFの比較表のその2です。
※クリックで拡大します
2行目は、米国ETFを日本の証券会社で購入可能かどうかです。【SCHD】と【DGRO】は購入できません。
3行目は、東証ETFに上場しているかです。【DGRO】が【2014】、【HDV】が【2013】として上場しています。どちらもブラックロックのETFです。
4行目は、分配金を支払うタイプの投資信託としてあるかどうかです。【SCHD】の投信版は、今回楽天から運用開始します。ほかにSBI証券で【VYM】と【VIG】の投信版も購入可能です。
新NISAの成長投資枠では、いずれの商品も購入可能です。
運用会社は【SCHD】はチャールズシュワブ、【VYM】、【VIG】、【VOO】がバンガード、【HDV】、【DVY】、【DGRO】がブラックロックです。
現在の分配金利回りは【DVY】が3.42%と一番高く、【SCHD】が3.35%、HDVが3.22%、【VYM】が2.80%と続いています。
上位銘柄の比較
ここからは【SCHD】とライバルの米国ETFを様々なデータで比較します。
まずは上位10銘柄比較です。銘柄の背景に色がついているのは、SCHD上位10銘柄の中で、それ以外のETFでも上位10位に入っているという意味です。
【SCHD】上位10銘柄は5つしか、残りの6ETFの上位10銘柄に入っていないということになります。アッヴィ【ABBV】は【SCHD】以外に3つでランクインしており、高配当ETFの常連です。ホーム・デポ【HD】とベライゾン【VZ】は2つ、コカ・コーラ【KO】とテキサス・インストゥルメンツ【TXN】は1つだけです。
重複していても、複数のETFにはそれほど入っていないですね。【VIG】や【VOO】に至っては、まったく入っていません。
このことから、【SCHD】上位銘柄は、他の高配当ETFとあまり重複していないというのがわかりますね。【SCHD】は高配当ETFですが、上位銘柄は少し特殊な感じがします。
上位業種はどのような傾向か?
セクター比率を比較します。タイプは3つに分かれます。
※クリックで拡大します
【SCHD】と似ているタイプは、【VYM】と【DGRO】ですね。
【VYM】は上位セクターがほぼ同じです。金融、ヘルスケア、生活必需品、資本財が上位4つで、順位もほぼ同じです。【DGRO】は金融とヘルスケアの上位2つが同じです。この3ETFを強引に分類すると、配当重視の連続増配系で、情報技術が少なめ、1つのセクターの比率が低く分散されているETFといったところでしょうか。
【VIG】と【VOO】は、情報技術がトップでかなり多いですね。市場全体系という感じですね。情報技術の少ない【SCHD】と組み合わせると、いい感じに補完関係になりそうです。
【HDV】と【DVY】は上位2セクターの比率が大きいですね。少し偏っている印象です。他のETFをメインにした場合のサテライトとしていいかもしれないですね。
組入れ銘柄の重複率からSCHDの特徴を考える
重複率を見ていきます。
【SCHD】は【HDV】と35%重複しており、【VYM】や【DVY】、【DGRO】とは20%台の重複、【VIG】とは13%、市場全体系の【VOO】や【VTI】とは一桁パーセントしか重複していません。
【VYM】と【DGRO】、【VIG】はそれぞれ60%前後重複しています。それと比較すると、【SCHD】は似ているETFは少ないと言えます。
【SCHD】は重複率の高いETFが少ないので、他のETFと組み合わせるのに適したETFと言えます。
組入れ銘柄の規模はどう違うのか?
保有銘柄の規模を比較します
【SCHD】の特徴は超大型株が8.5%と少ないことですね。
同じ高配当ETFの【VYM】、【HDV】は超大型株が20%台なので、これらと比べても低いです。その理由としては、最初の条件が時価総額が5億ドル以上と緩く、財務の健全、競争力、配当利回り、増配率など様々な条件でスコアをつけるため、超大型株が少なくなるからと言えそうです。
ただ、大型株が57%と多く、中小型株がメインというわけではないですね。【SCHD】は超大型株は少ないが、大型株が主流のETFです
プライスリターンとトータルリターンを比較しよう
プライスリターンとトータルリターンを比較します。
まずはプライスリターンです。過去10年です。
10年前に1万ドルだった取引価格は、2024年8月末には【VOO】が2万8100ドルでトップ、【VIG】が2万5100ドル、【DGRO】が2万4400ドル、【SCHD】は2万1700ドルで4番手ですね。
【SCHD】は紺色です。直近3年の伸びが今ひとつですね。ただ、ライバルの【VYM】が1万8800ドルなので、高配当ETFの中では素晴らしいです。
短期のリターンを比較する
トータルリターンを比較します。年率です。2024年8月末基準のデータです。
まずは1年と3年です。
【SCHD】は1年が17.8%、3年が6.5%です。どちらも最下位ですね。とくに3年リターンは良くないですね。ここ3年は【SCHD】に多く含まれているヘルスケア・セクターが弱く、【SCHD】に少ないエネルギーとハイテクが強かったので、このような結果になったと考えられます。
ちなみに3年リターンのトップは【HDV】で10.8%です。直近3年はエネルギー・セクターが強かったためです。
長期のリターンを比較する
続いて、5年と10年のリターンです
【SCHD】の5年リターンは13.6%で、【VOO】の15.9%には及びませんが、【DGRO】や【VIG】の12%台を上回っています。
【SCHD】の10年リターンは11.6%。こちらも【VOO】が12.9%と素晴らしく、【DGRO】が12%、【VIG】が11.8%。【SCHD】は差のない4番手です。
長期のリターンでは、【SCHD】は【VOO】にはやや劣りますが、【VIG】や【DGRO】と互角です。【VYM】よりも素晴らしいです。
【SCHD】は高配当ETFなのに、リターンが【VIG】や【DGRO】と互角というのは素晴らしいです。
トータルリターンとシャープレシオ、リスクを比較しよう
トータルリターン、リスク、シャープレシオを散布図で比較します。縦軸がトータルリターン、横軸がリスク、括弧内の数値がシャープレシオです。
シャープレシオは投資効率の良さを示したものです。トータルリターンが高く、リスクが低いと、シャープレシオは高くなります。
表の左上がローリスク・ハイリターンで理想です。右下がハイリスク・ローリターンで良くないです。
まずは3年です。
【SCHD】のリターンは6.5%と低く、リスクは15.9%、シャープレシオは0.26なので、この中では一番悪いですね。
【HDV】が10.8%とリターンが高く、リスクも15.2%と低く、シャープレシオは0.52と圧倒的です。イメージとは異なる結果と言えそうです。
5年のシャープレシオはどうか?
続いて5年です。
【SCHD】のリターンは13.6%と2番手、リスクは17.4%、シャープレシオは0.69です。
シャープレシオは【VOO】が0.79と圧倒的です。2番手グループが【SCHD】、【VIG】、【DGRO】で0.67~0.69です。この中では【VIG】のリスクが15.8%と低いのが目立ちます。
【VYM】はシャープレシオ0.60なので、【SCHD】とは少し差がつきました。
10年のシャープレシオはどうか?
最後は10年です。
シャープレシオは【VIG】、【VOO】、【DGRO】が0.77%前後で競っています。
【VOO】はリターンが12.9%とトップですが、リスクも高いいので、リスクの低い【DGRO】や【VIG】とシャープレシオが互角になりました。
【SCHD】はリターンは【DGRO】や【VIG】とほぼ互角ですが、リスクがやや高いため、シャープレシオは0.71と少し差をつけられました。
全体的に見ると、【SCHD】のシャープレシオは3年は良くなかったですが、5年は【VIG】や【DGRO】とほぼ互角、10年でもまずまずでした。
【VYM】とのシャープレシオ比較は、5年や10年では上回っていました。
【VIG】との比較では、リスクは【SCHD】がやや高いです。
分配金利回り推移を確認しよう
それでは過去10年の分配金利回りの推移を比較しましょう。分配金利回りは過去1年分配金から算出しました。市場価格は月に1度、月末の終値です。
現在の分配金利回りは【DVY】が3.42%で一番高く、【SCHD】が3.35%で2番手、【HDV】が3.22%、【VYM】が2.80%です。
過去10年で見ると、高配当のこの4ETFが競っています。直近は【VYM】がやや低く、2019年より前は【HDV】が高く、【SCHD】が低いですね。
10年の平均分配金利回りだと、【HDV】が3.56%と高く、【DVY】が3.37%で2番手、【SCHD】は【VYM】と同じ3.03%です。
過去3年の分配金利回りの推移
直近3年の分配金利回りの推移を確認しましょう。
2年ほど前は【SCHD】、【VYM】、【HDV】、【DVY】の4つのETFが競っていましたが、直近は【VYM】がやや劣っています。
過去に購入したら、現在YOC(取得価額に対する利回り)はどうなったか?
過去にETFを購入していた場合、現在、取得価額に対する利回り(YOC)はどのくらいになっているかというグラフです。いわゆる自分利回りというやつです。
グラフが左肩上がりなら、増配しており、価格が好調というイメージです。
上の表は現在の分配金利回りと3年前、5年前、10年前に購入したら、現在YOCがどうなっているかというデータです。グラフの中にも、3年前、5年前、10年前の地点を記しておきました。
紺色の【SCHD】が圧倒的です。現在の分配金利回りは3.35%で、10年前に購入したら7.28%になっていました。
【SCHD】は分配金利回りが高く、かつ増配率もかなり高いことを意味してます。ライバルの【VYM】にかなり差をつけましたね。
オレンジ色の【DVY】は現在の分配金利回りは3.42%で、10年前に購入していたら5.98%です。
過去の分配金は?
10年前に1万ドル購入して、分配金を再投資した場合の毎年貰える分配金額の推移です。
10年間の合計は【SCHD】が約5600ドルと多く、【DVY】が5300ドルで続き、【HDV】が5100ドルです。【VYM】は4800ドルで4番手です。
グラフを見ても、【SCHD】の近年の分配金額の伸びが素晴らしいですね。
過去の増配率は?
増配率を見ていきましょう。表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景ピンク色がマイナスです。
表の下段は現在を起点とした1、3、5、7、10年増配率。年率です。背景のオレンジ色が濃いほど、増配率が高いという意味です。
この部分をグラフで見てみましょう。
1年、3年、5年増配率は?
まずは1年、3年、5年増配率です。
【SCHD】の1年増配率は8.9%。【DGRO】の10.8%には及びませんが、【DVY】と並んで2位タイです。
【SCHD】の3年増配率は9.0%。【VIG】の11.7%には及びませんが、2位です。
【SCHD】5年は12.9%で断トツトップです。【SCHD】の1、3、5年増配率はいずれも優秀です。
7年、10年増配率は?
7年と10年の長期増配率を見てみましょう。【DGRO】は10年はありません。
【SCHD】の7年増配率は11.8%でトップ。10年増配率は11.0%で、こちらは圧倒的に首位。
【SCHD】の増配率は5年、7年、10年でトップ、1年と3年は2位。この優良ETF相手に素晴らしい結果ですね。
増配率、分配金利回り、トータルリターン(年率)を比較しよう
増配率、分配金利回り、トータルリターンをバブルチャートで比較します。
縦軸が増配率、横軸が分配金利回り、バブルの大きさがトータルリターンです。バブルの近くの数値はトータルリターンです。
右上が素晴らしく、さらにバブルが大きいと申し分ないというデータです。
まずは3年です。
【SCHD】はリターンは6.5%とこの中では一番悪いです。分配金利回りは3.3%で3番手、増配率は9.0%で2番手です。
【HDV】が分配金利回り3.6%と高く、リターンも10.8%と素晴らしかったです。
増配率は【VIG】が11.7%で首位です。
増配率、分配金利回り、トータルリターンの5年を比較
続いて5年を見てみましょう。
【SCHD】は増配率が12.9%で首位、リターンは13.6%で2番手、分配金利回りは3.3%で3番手。いずれも高水準でした。
リターンは【VOO】が15.9%でトップです。分配金利回りは【HDV】が3.7%と高いです。
増配率、分配金利回り、トータルリターンの10年を比較
最後は10年を見てみましょう。【DGRO】の増配率は9年です。
【SCHD】は増配率が11.0%で首位、リターンは11.6%で4番手、分配金利回りは3.0%で3番手。5年に引き続き、いずれも高水準でした。
リターンは【VOO】が12.9%でトップです。分配金利回りは【HDV】が3.6%と高いです。
全体的に見ると、【SCHD】は3年のリターンが悪かったですが、それ以外の数値は上位でした。
増配率はほとんどでトップでした。リターンも高く、分配金利回りも上位。
【VYM】との比較では、ほとんどの項目で上回っていました。
将来YOCはどうなるか
それでは、いまETFを購入したら、将来、取得価額に対する利回り(YOC/Yield On Cost)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。
現在の分配金利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。3年、5年、7年、10年の増配率を使用します。
「分配金は再投資しない。税引き前」という設定にします。
現在の分配金利回りは【DVY】が3.42%で一番高く、【SCHD】が3.35%で2番手、【HDV】が3.22%、【VYM】が2.80%と続いています。
まずは3年増配率を使った将来YOC予想です。3年増配率は【VIG】が11.65%と最も高く、【SCHD】が9.00%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で17.2%、2番手は【VIG】で13.9%でした。
5年増配率から将来YOCを予想する
続いて5年増配率を使った将来YOC予想です。
5年増配率は【SCHD】が12.88%と最も高く、【VIG】が10.26%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位がで33.5%、2番手は【DGRO】で11.9%でした。
今回も【SCHD】がトップでした。
7年増配率から将来YOCを予想する
それでは7年増配率を使った将来YOC予想です。
7年増配率も【SCHD】が11.77%と最も高く、【DGRO】が10.58%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で27.8%、2番手は【DGRO】で14.8%でした。
7年増配率を使った予想も【SCHD】が圧倒的な成績でした。
10年増配率から将来YOCを予想する
最後は10年増配率を使った将来YOC予想です。【DGRO】はありません。
10年増配率は【SCHD】が11.01%でもっとも高く、【VIG】が8.44%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位は【SCHD】】で24.4%、2番手は【DVY】で12.8%でした。
いずれの増配率でも【SCHD】が圧倒的に好成績でした。分配金利回りが3.3%と高く、増配率がどの期間でもほぼ二桁%なので、このような結果になりました。
それぞれの項目をまとめると?
これまで取り扱ったデータをランクづけしました。「A」が最高で「B」「C」「D」の順です。「S」は圧倒的に素晴らしい場合につけました。相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。
※クリックで拡大します
【SCHD】はかなりの項目で優秀でした。経費率、リターン、直近の分配金利回り、過去と将来のYOC予想、過去の分配金、増配率が素晴らしかったです。
欠点はあまりありませんが、しいて言うなら直近3年のトータルリターンがイマイチなことですかね。あとリスクが少し高いかもしれません。
ライバルの【VYM】との比較では、リターン、直近の分配金利回り、過去と将来のYOC予想、過去の分配金、増配率などが上回っていました。
ランキングの数をまとめると?
SABCDの数値をまとめたデータです。
「S」の数は【VOO】が3個で最多。【SCHD】が2個で2番手。
「A」の数は【DVY】と【VIG】が7個で最多。
「B」の数は【【VYM】が11個で最多、【SCHD】が7個で2番手。
「S」「A」「B」を合わせた数では【VYM】が15個で最も多く、【SCHD】が14個で2番手でした。この2つのETFはC以下の数が少ないですね。人気があるわけです。
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ここでお知らせです。【SCHD】の投資信託版「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)は、楽天証券で購入可能です。
楽天証券は、国内手数料が完全無料、ポイントが貯まる・使える、投資初心者が使いやすいなど、さまざまな特典があります。
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まとめ
✅楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)は米国の高配当ETF【SCHD】の投信版
✅9月18日から運用開始。分配金は年4回。2、5、8、11月の25日
✅楽天証券での取り扱いは9月27日(金)から
✅信託報酬は0.192%なので、なかなか抑えられている
✅SCHDは、配当利回りはもちろん、銘柄の規模、財務の健全性、稼ぐ力、増配率などを重視した100銘柄で構成されている
✅純資産は8.7兆円ほどと大きく【VYM】の8.4兆円以上で米国高配当ETFの中ではトップ
✅上位10銘柄で41%、20銘柄で71%なので結構集中投資
✅セクターは金融、ヘルスケア、生活必需品、資本財などが多く、分散されており、【VYM】や【DGRO】と似ている。ただし、上位銘柄は他の高配当ETFとはあまり似ていない
✅SCHDは分配金利回り、増配率、トータルリターンと3拍子揃ったETF。分配金利回りは3.3%と高く、増配率は10年が11%、5年が12%と高水準。長期のトータルリターンも【DGRO】【VIG】と同じくらい
✅高配当ETFの代表格の【VYM】との比較では、トータルリターン、直近の分配金利回り、増配率、過去と将来のYOC予想などが上回っていた
✅たかにんは買おうかなと思う。SBI証券も投資信託版を出すか気になる
【SCHD】の投資信託版「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)は楽天証券で購入可能!【PR】