BDC銘柄のメイン・ストリート・キャピタル【MAIN】が2022年2月23日に追加配当0.075ドルを発表しました。権利落ちは3月21日です。通常配当は0.215ドルで変わりません。
【MAIN】の2022年2月25日の終値は43.07ドル、年間配当は2.58ドルになる予定で、利回りは5.99%です。
※このページでの利回りは直近の配当が1年続いたものと仮定して計算します。なお、特別配当を含めません
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の過去の配当、年間増配率
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】は、毎月配当を支払っています。2022年6月頭に権利落ちを迎える月まで、すでに発表されています。次回の権利落ちは3月1日です。ちなみに、0.075ドルの特別配当は、3月21日が権利落ちです。
下の表は2016年以降の配当の一覧です。配当支払い月を基準にしています。黄色が特別配当です。特別配当は通常配当と権利落ち日が異なりますが、便宜上同じ月のところに置きました。また、背景が水色の部分が通常配当の増配を意味しています。
特別配当は?
BDC銘柄は利益のほとんどを配当として支払う義務があります。予想していたよりも業績が良い場合は、利益を特別配当(追加配当)として支払うことがあります。
以下が特別配当です。6月か12月が多いですね。ある程度の余剰金が溜まったら、決算の時期にまとめて支払うイメージですね。今回の3月は珍しいです。0.075ドルで、権利落ちは3月21日です。前回は2021年12月に出たばかりなので、3カ月後にまた追加配当を出したことになります。
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の期別の配当は?
下のグラフは2015年以降の期別の配当です。配当の傾向がイメージしやすいように、3、6、12月の特別配当は背景色を薄い灰色、濃い灰色、黒とモノトーン色にして、グラフの一番上に置きました。
2021年当初は0.205ドルだったのが、10月に0.21ドルに増え、翌2021年1月に0.215ドルにアップしました。
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の年間配当額は?
年間配当の推移です。配当を支払い始めたのは2008年11月からです。2008年9月までは四半期ごとに支払っており、10月から毎月の支払いとなりました。背景が青色の通常配当は、順調に増えているのがわかりますね。
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の年間増配率額は?
年間増配率の推移です。通常配当のみが対象です。増配率は徐々に減少していますが、2011年以降は毎年増配を続けています。BDC銘柄で毎年増配しているのは珍しいです。
最初に配当を支払ったのは2007年11月からなので、2009年以降の年間増配率の数値です。2010年は前年と同じ額です。【MAIN】はこれまで減配したことはありません。
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の株価と配当の関係は?
株価と配当の比較です。こちらも通常配当のみのデータです。どちらも緩やかな右肩上がりと言えます。
最近のメイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の株価と利回りは?
2020年1月以降のメイン・ストリート・キャピタル【MAIN】の株価と配当利回りを見てみましょう。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。
2020年の年初の配当利回りは約5.7%でしたが、2月半ば以降は急降下したため、3月23日に約15.6%まで上がりました。その後、株価はコロナ・ショック前まで回復して、現在の配当利回りは5.99%です。
過去の利回り、YOC、株価は?
過去にメイン・ストリート・キャピタル【MAIN】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から10年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、少しアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。
2022年2月25日の終値は43.07ドル、年間の配当金額は2.58ドルなので、現在の配当利回りは5.99%です。過去10年の平均配当利回りは約6.8%です。
長期で見ると株価は右肩上がりなので、早い時期に買うとYOCは上がります。2012年5月頃に買っていたら、現在YOCは約12.3%になっていました。コロナショック時の2020年3月に買うと、YOCは12.6%になっていました。
BDCとは?
BDCとは「Business Development Company」の略で、銀行から融資を受けられない新興企業や中小企業の事業開発に金融面を中心にサポートする投資会社です。クローズド・エンド型のファンドであり、ニューヨーク証券取引所ナスダック証券取引所などに上場しています。
新興企業は不安定ですが、成長すると莫大な利益をもたらす可能性があります。創業時のグーグルやアップルなどもBDCから支援を受けていました。
BDCに対する規制は?
BDCは利益の90%以上を配当に充てることで、法人税の免除を受けています。そのため高配当を実現できるので、インカム投資家に人気です。REITと似ていますね。
また、資産の70%を法律で定められた適格投資対象にすること、1銘柄当たりの構成比率を全体の25%以下に抑えることなどが定められています。
BDCにはどんな銘柄があるのか?
下の表はBDC銘柄の中から規模の大きいものを選びました。メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】は中小企業を中心に投資をしています。
DEレシオは自己資本に対する負債額を示すもので、財務の健全性を測る指標です。BDCの場合は、自己資本の2倍まで借り入れることが可能です。つまり2倍までならレバレッジをかけて商売できるという意味です。ここに挙げた大手BDCは、1倍前後なので、健全といえます。
NAV倍率は資本に対して株価が割高か割安かを示す値です。1より高いと割高になります。メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】は1.77なので、結構割高といえます。
利回り(12カ月)は過去1年の配当から算出したものです。
配当利回り(直近)は直近の配当が今度1年続いたものとして算出しました。こちらは特別配当を含んでいません
SBI証券や楽天証券など日本の主要証券会社ではBDC銘柄の取り扱いをやめてしまいました。「IG証券」などの海外証券会社なら購入可能です。
貸し出しのアセットクラスは?
メインストリート・キャピタル【MAIN】は、テキサス州ヒューストンに本社を置く内部管理型のBDCです。運用資金は57億ドル以上です。
現在の投資先は184社で、その内訳はLMMが73社、プライベートローン75社、ミドルマーケット36社です。投資比率は以下の通りです。
LMMとはLower middle marketのことで、売上高が1000万ドル~1億5000万ドルの企業が対象です。投資先は73社で、フェアバリューは17億2000万ドル。。
プライベート・ローンは他のファンドと戦略的提携を行い、非公開企業への第一抵当権付シニアローンが中心です。投資先は75社で、フェアバリューは8億4600万ドル。95%が有担保債務。99%が第一抵当権付です。
ミドルマーケットはLMMよりも大規模な企業が対象で、 こちらも第一抵当権付シニアローンが中心です。投資先は36社で、フェアバリューは3億9520万ドル。93%が有担保債務。99%が第一抵当権付です。
貸し出しのアセットクラスは?
シニアローンは最上位の第一抵当権付きがほとんどですが、全体では3/4です。残りがエクイティで、やや多めです。
投資先のセクターは?
投資先のセクターはかなり分散されています。IT関連が少し多いです。
業績と予想
楽天証券のデータです。2021年と2022年はコンセンサスの予想です。売り上げは順調に伸びています。2022年も好調の見通しです。
2021年のEPSの予想はかなりいいですね。
競合銘柄とトータルリターンを比較する
メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】と主要BDC銘柄のエイリス・キャピタル【ARCC】、ハーキュリーズ・キャピタル【HTGC】、そして全米ETF【VTI】のトータルリターンを比較します。PORTFOLIO VISUALIZERを使って、2012年2月から2022年1月までの10年間を比べます。税金や手数料は考慮しません。
2012年2月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2022年1月には【HTGC】は4万8200ドル、【MAIN】が4万2700ドル、【VTI】は4万400ドル、【ARCC】は3万5800ドルになっていました。【MAIN】は【VTI】をアウトパフォームしていますね。
ライバル銘柄とのトータルリターン比較
BDC銘柄【MAIN】【ARCC】【PSEC】【HTGC】【NEWT】、カバードコールETF【QYLD】、高配当【VYM】、全米【VTI】の過去1、3、5、10年のトータルリターンを比較しました。現在の利回りはピンク色の★です。
BDC銘柄は過去5年や10年の長期でも成績が素晴らしいです。【MAIN】は【VYM】をわずかに上回り、【VTI】にはやや劣っているぐらいですね。
危険度はどのくらいか?
ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。
シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン?無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。
ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。
【MAIN】の過去リターンはなかなか素晴らしかったですが、これらの値は他の銘柄と比較すると、よくないですね。最大ドローダウン値は悪いです。BDC銘柄はどれも下落率が高いですね。対して【VTI】は全体的に安定感があります。
過去の分配金はどのくらいか?
2012年2月に1万ドル投資して配当を再投資した場合の年間にもらえる配当の推移です。税金は考慮しません。
10年間の配当金の合計は【NEWT】が最も多く4万6300ドル、【HTGC】が2万1800ドル、【MAIN】が1万7700ドル、【PSEC】が1万6500ドル、【ARCC】が1万6400ドル、【QYLD】が1万1400ドル(8年間)、【VYM】が6000ドル、【VTI】が3700ドルでした。BDC銘柄はいずれも物凄いインカムですね。
BDC銘柄の中で【MAIN】の現在利回りは高くないですが、このデータ集計期間の前半はもう少し高く、しかも着実に増配しているため、配当金は年々増えています。
過去3年増配率を使って今後のYOCを予想する
現在と過去の配当金額を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の分配金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。【MAIN】株を2022年2月25日に買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
ライバルETFと比較します。BDC銘柄の【ARCC】【HTGC】、高配当ETF【VYM】と比較します。
「配当を再投資しない」「配当を再投資する(税引き後)」の2パターンで検証します。なお、特別配当は考慮せず、通常配当のみを対象とします。
まずは過去3年増配率を使って将来のYOCを予想します。増配率は、BDC銘柄の場合は現在と過去の同時期の比較、ETFは過去1年分配金と○年前の過去1年分配金の比較で算出します。
過去3年増配率は【MAIN】が2.4%、【ARCC】が1.6%、【HTGC】が2.1%、【VYM】が5.3%でした。
現在の利回りは【MAIN】が5.99%、【ARCC】が7.72%、【HTGC】が7.39%、【VYM】が2.80%です。
分配金を再投資しない場合
まずは分配金を再投資しないケースを見てみましょう。
もっとも成績が良かったのは【HTGC】で10年後のYOCは9.1%、20年後のYOCは11.2%【MAIN】は10年目のYOCは7.6%、20年後のYOCは9.7%でした。
分配金を再投資する場合(税引き後)
次に分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。再投資する分配金額は、現在と3年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整します。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。
もっとも成績が良かった【ARCC】の10年後のYOCは11.2%、20年後のYOCは24.5%。【MAIN】は10年目のYOCは8.5%、20年後のYOCは18.9%でした。
過去5年増配率を使って今後のYOCを予想する
今度は過去5年増配率を使って将来のYOCを予想します。
過去5年増配率は【MAIN】が3.1%、【ARCC】が2.0%、【HTGC】が1.3%、【VYM】が7.0%でした。
分配金を再投資しない場合
分配金を再投資しないケースを見てみましょう。
もっとも成績が良かった【ARCC】の10年後のYOCは9.4%、20年後のYOCは11.5%。【MAIN】は10年目のYOCは8.1%、20年後のYOCは10.9%でした。
分配金を再投資する場合(税引き後)
分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。再投資する分配金額は、現在と5年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整します。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。
もっとも成績が良かった【ARCC】の10年後のYOCは12.0%、20年後のYOCは29.1%。次点は【MAIN】で10年目のYOCは9.3%、20年後のYOCは23.5%でした。
BDC銘柄は現在の利回りが高いので、増配率が低くても、再投資をするとYOCがどんどん上がっていきます。ただし、日本の証券会社で新規購入できなくなったがのが残念です。
まとめ
メインストリート・キャピタル【MAIN】投資先企業の業績が引き続き好調だったため、2021年12月31日時点の1株当たり純資産額は25.29ドルで、1年前の2020年12月31日時点の1株当たり22.35ドルと比べて、2.94ドル(13.2%)増加しました。
そのため、2021年12月に追加配当を出して、わずか3カ月での再度追加配当となりました。
【MAIN】は過去10年リターンで【VTI】を上回っており、BDCとしては珍しくキャピタルゲインも狙える銘柄です。
SBI証券や楽天証券など日本の主要証券会社ではBDC銘柄の取り扱いをやめてしまいました。「IG証券」などの海外証券会社なら購入可能です。