✅レックス・シェアーズのカバードコールETF3種類が登場
✅メガテックが対象の【FEPI】、AI企業が対象の【AIPI】、暗号資産の【CEPI】
✅分配金利回りは26%、36%、44%ほど
✅分配金が高い理由を分析
✅カバードコールETF【JEPQ】【QYLD】と違いを比較

レックス・シェアーズのカバードコールETFが登場
SBI証券やマネックス証券、ウィブル証券などで、新たにETF3種類が購入可能となりました。
レックス・シェアーズのカバードコールETFです。
分配金利回りがかなり高いのが特徴です。
一番上が【FEPI】。メガテックを対象としたカバードコールETF。分配金利回りが25.2%です。
真ん中が【AIPI】。AI関連の主要企業に投資するカバードコールETF。分配金利回りが34.8%。
一番下が【CEPI】。暗号資産やデジタル決済などの企業を対象としたカバードコールETF。分配金利回りが42%。
【JEPQ】や【QYLD】などカバードコールETFの分配金利回りは月利1%、年利12%ぐらいが上限の場合がほとんどなので、それと比べると2倍から3倍ほどの分配金利回りになります。
レックス・シェアーズのカバードコールETFの比較
レックス・シェアーズのカバードコールETFの基本データ比較です。
左が【FEPI】。ソラクティブ・ファング・イノベーション・インデックスが対象指数です。米国の主要テクノロジー企業15銘柄を保有して、カバードコール戦略を行います。
真ん中は【AIPI】。AI関連企業が中心のBITA AI・リーダーズ・セレクト指数に8割を投資し、カバードコール戦略を行います。
一番右が【CEPI】。暗号資産やデジタル決済を扱う企業などで構成されたBITA クリプト・アセッツ&デジタル・ペイメント指数に8割を投資して、カバードコール戦略を行います。
指数ではなく、いずれも個別銘柄ごとにコールオプションの売りを行います。
経費率は【FEPI】と【AIPI】が0.65%、【CEPI】は0.85%とやや高いです。
分配金はいずれのETFも毎月支払われます。
【FEPI】が設定されたのは2023年10月で、これまで16回分配金が出ています。分配金利回りは12カ月が29%、直近は26%です。
【AIPI】が設定されたのが2024年6月で、分配金は8回出ています。分配金利回りは直近で36.79%。
【CEPI】が設定されたのが2024年12月なので3カ月前です。分配金は2回出ており、分配金利回りは直近で44.85%。
【AIPI】と【CEPI】は分配金利回りはかなり高いですが、まだできたばかりなので、もう少しデータの蓄積がほしいところです。
運用総額はFE【FEPI】PIが690億円ほど、【AIPI】が430億円、【CEPI】はできたばかりなので34億円と少ないです。
カバードコールETFとは?
それでは、カバードコール戦略の基本情報についてです。グローバルX社の資料をもとに、説明します。
カバードコール戦略とは、株を保有しながら、その株のコール・オプションを売ります。
コールオプションとは、事前に決まった権利行使価格で証券を購入する権利を買い手に与える金融デリバティブです。たいてい1カ月後なので、1カ月後に保有している株を買う権利を売るわけです。
その権利代金のことをオプション・プレミアムと言って、これがETFを購入した人が毎月もらえる分配金になります。
カバードコールの損益イメージは?
こちらが損益のイメージです。
右側がカバードコール戦略の特徴です。縦軸が損益で、横軸は株価です。
通常の株式保有がオレンジ色の点線です。横軸の株価が上がって右に行くほど、縦軸の利益も増えて上に行きます。
カバードコール戦略は、緑色の実線です。株価が上がりすぎた場合は利益を放棄するので、途中で右に曲がっています。
そのかわり、オプション・プレミアムを獲得できるので、オプションの代金分だけ、通常の株価よりも利益が出ています。
横軸の株価が同じだった場合、縦軸の利益が、株式保有よりも上回っています。
ざっくりいうと、株価が急上昇した場合の利益を放棄する代わりに、毎月着実にオプション・プレミアムがもらえるということです。ただし、トータルリターンはイマイチのケースもあります。
カバードコールの特徴は?
カバードコール戦略の特徴は、インカムを獲得できることです。
とくに注目は、ボラティリティが上昇している相場の場合、オプション・プレミアムが多いことです。
ボラティリティが上昇しているときは、優良株が軟調な場合が多いです。そんなときに着実に分配金を獲得できるので、カバードコール戦略は、リスクの分散になるわけです。
QYLDにおけるカバードコール戦略の損益イメージです。
上昇相場の場合はオプションプレミアムは獲得できますが、値上がり益を一部放棄するので、対象指数であるナスダック100をアンダーパフォームすることが多いです。
横ばい相場と下落相場の場合は、オプションプレミアムを獲得できる分だけ、対象指数のリターンを上回る可能性があります。
今回紹介する3つのETFはナスダック100よりもボラティリティが大きいため、オプションプレミアムを大量に獲得でき、分配金利回りがかなり高いのが特徴です。
FEPI(REX ファング&イノベーション エクイティ プレミアム インカムETF)について
それでは【FEPI】についてみていきます。
このファンドは、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどの米国メガテック企業15社に均等に投資し、同時にこれらの株式に対してカバードコール戦略を実行することで、プレミアム収入を得ることを目指しています。
全部で15銘柄です。
対象指数はソラクティブ・ファング・イノベーション・インデックス。革新的なテクノロジーを牽引する米国上場企業のパフォーマンスを追跡する株価指数です。均等加重です。
この指数は、アップル【AAPL】、アマゾン【AMZN】、メタ【旧フェイスブック・FB】、アルファベット【GOOGL】、マイクロソフト【MSFT】、ネットフリックス【NFLX】、エヌビディア【NVDA】、テスラ【TSLA】の8つはコア銘柄として固定。さらに、規模が大きく流動性の高いハイテク7銘柄を追加し、計15銘柄で構成されています。
FANG+との比較を見ていきましょう。
クラウドストライク【CRWD】とサービスナウ【NOW】はFANG+に入っていますが、【FEPI】には入っていないですね。この2銘柄は昨年9月にFANG+に新規加入した銘柄です。
逆に昨年9月にFANG+から除外されたテスラ【TSLA】は、【FEPI】に入っています。
FANG+に入っておらず【FEPI】に入っている銘柄は、アドビ【ADBE】、セールスフォース【CRM】、インテル【INTC】、マイクロン・テクノロジー【MU】、アドバンスト・マイクロ・デバイス【AMD】、テスラ【TSLA】、パランティア・テクノロジーズ【PLTR】です。
【FEPI】だけに入っているのは7銘柄で、FANG+だけに入っているのは2銘柄です。ざっくりいうと【FEPI】はFANG+に5銘柄を追加したというイメージです。
FEPIの分配金の推移は?
【FEPI】の分配金推移です。
支払い始めたのは2023年の11月からです。毎回1ドル強ぐらいですね。
JEPQの分配金と価格を確認
まずは、【JEPQ】の分配金と取引所価格の比較を見ていきます。
グラフの見方としては、赤い折れ線グラフが取引所価格です。青い棒グラフが毎月の分配金。
価格と分配金は二桁異なるので、赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が重なれば、月利1%で、年利換算12%ぐらいになるというわけです。
最近の【JEPQ】は月利1%に少し届いていないので、分配金利回りは9%ぐらいで推移しているというわけです。
FEPIの分配金と価格の比較
それを踏まえて、【FEPI】の分配金と取引所価格の比較を見ていきましょう。
価格と分配金は二桁異なるので、赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が重なれば、月利1%で、年利換算12%ぐらいになります。
赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が突き抜けています。2倍以上の差がありますね。
なので、【FEPI】の月利は2%強。年間分配金利回りにすると24%を上回るということです。
FEPIの価格と分配金利回りを比べる
【FEPI】の取引所価格と分配金利回りの比較です。
青い線が取引所価格の終値、赤い線が過去12カ月の分配金から出した分配金利回り、黄色の線が直近分配金を1年換算した分配金利回りです。
青い線の取引所価格は50ドルからスタートして、55ドルほどまで上昇しましたが、現在は45ドルほどです。やや右肩下がりです。
黄色の線の直近利回りは、25~27%ぐらいで推移しています。
赤い線の12カ月利回りは29%ほど。ここ数日の株価が軟調だったため、上昇しています。
いずれにせよ【FEPI】は月利2%、年利24%を上回る分配金利回りということですね。かなり高いです。
FEPIとライバルETFの比較
【FEPI】で気になる点としては、分配金利回りが24%ほどとかなり高いことです。この理由をライバルETFと比較しながら考えていきましょう。
【FEPI】と同じく米国ハイテク銘柄が対象のカバードコールETF、【JEPQ】、【QYLD】と比較します。
【FEPI】の分配金利回りは24%強、【JEPQ】は9~10%、【QYLD】は12%ほどです。
【FEPI】の対象はFANG関連銘柄が中心で、15銘柄と少ないため、ボラティリティが高くなります。
さらに、コールオプションの売りを個別株で行うため、指数に比べてプレミアムが高くなる傾向があります。
FEPIの組入全銘柄を確認
ちなみに、こちらは【FEPI】の全銘柄です。2列にわかれています。
左上が保有比率の高い現物銘柄です。
左下と右側は、コールオプションの売りですね。それぞれの個別銘柄がコールオプションの売りを行っています。満期が3月21日なので、1カ月物ですね。
QYLDのコールオプションの売りは?
こちらは【QYLD】の組入銘柄の一番下の部分。
一番下にNDX US 3/21/25 C21950とあります。ナスダック100指数をまとめてコールオプションの売りを行っているわけです。
そんなわけで、【FEPI】は【JEPQ】や【QYLD】よりも分配金利回りが高くなるわけです。ただ、分配金利回りが24%だと高すぎるので、長期で見ると、価格が下がる可能性はあります。
FEPIとライバルのリターンを比較
それでは、3つのETFのトータルリターンを比較しましょう。【FEPI】が設定された2023年10月11日から2025年2月末までの比較です。
【JEPQ】で34.1%ともっとも成績が良いです。
【FEPI】は22.7%で、【QYLD】の23.8%とほぼ同じです。
ただ、【FEPI】のチャートは、前半はかなり良かったですが、最近一気に下がっています。他の2つと比較すると不安定ですね。
【FEPI】のボラティリティは16.3%と一番高いです。【FEPI】は【JEPQ】や【QYLD】と比較するとハイリスクといえます。
AIPI(REX AI エクイティ プレミアム インカムETF)について
つづいてAIPIについてみていきます。対象指数は、BITA AI・リーダーズ・セレクト指数。AI関連企業でカバードコール戦略を取るETFです。
BITA AI・リーダーズ・セレクト指数は、人工知能(AI)に特化し、AI技術のハードウェア、ソフトウェア、インフラ、サービスでリーダーシップを発揮する企業が対象です。
組入銘柄は25。
対象がAIなので、コンセプトは異なりますが、1つ前のメガテックが対象の【FEPI】と銘柄が似ています。
上の表は【AIPI】の全25銘柄と、【FEPI】の比較です。
【AIPI】には、【FEPI】の全15銘柄中13銘柄も入っており、比率にすると84%も含まれています。入っていないのはテスラ【TSLA】とネットフリックス【NFFX】だけです。
ただし、【AIPI】上位銘柄は【FEPI】に入っていない銘柄が結構あります。
クラウドストライク【CRWD】やアーム・ホールディングス【ARM】、スーパー・マイクロ・コンピューター【SMCI】などは【FEPI】には入っていないですね。
AIPIの分配金と価格の比較
【AIPI】の分配金と取引所価格の比較を見ていきましょう。
設定されたのが2024年6月なので、分配金はまだ8回しか出ていません。
赤い折れ線グラフが取引所価格です。青い棒グラフが毎月の分配金。
価格と分配金は二桁異なるので、赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が重なれば、月利1%で、年利換算12%ぐらいになるというわけです。
赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が突き抜けています。約3倍の差があります。なので、【AIPI】の月利は3%。年間分配金利回りにすると36%ぐらいになります。
AIPIの価格と分配金利回りを比べる
【AIPI】の取引所価格と分配金利回りの比較です。
青い線が取引所価格の終値、赤い線が直近分配金を1年換算した分配金利回りです。12カ月利回りはまだありません。
青い線の取引所価格は50ドルからスタートして、55ドルほどまで上昇しましたが、現在は44ドルほどです。やや右肩下がりです。現在の価格は先ほどの【FEPI】と似ていますが、こちらの方が期間が短いので、下落率が大きいです。
赤い線の直近利回りは、36%前後で推移しています。
いずれにせよ月利3%、年利36%の分配金利回りということですね。かなり高いです。
先ほどのメガテックが対象の【FEPI】よりも、AIが対象の【AIPI】の方がボラティリティが大きいため、分配金利回りは高くなっています。
ただ、長期で価格を維持できるかはやや不安です。
AIPIのトータルリターンをチェック
それでは、【AIPI】のトータルリターンをチェックしましょう。
期間は【AIPI】が設定された2024年7月から2025年2月末まで、8カ月と短いです。
比較対象は【FEPI】、【JEPQI】、【QYLD】。
【AIPI】は2.65%です。マイナス2.08%の【FEPI】よりは成績が良いです。
ただ、【QYLD】の10.81%、【JEPQI】の8.21%よりは劣ります。
期間が短いので何とも言えませんが、分配金利回りが高すぎる【AIPI】や【FEPI】はリターンがイマイチですね。
CEPI(REX クリプト エクイティ プレミアム インカムETF)について
最後に【CEPI】を見ていきましょう。対象指数は、BITA クリプト・アセッツ&デジタル・ペイメント指数。
暗号通貨の採掘、取引、カストディ、ブロックチェーン技術の開発、デジタル決済ソリューションの構築など、暗号資産関連の米国企業。これらの銘柄を使ってカバードコール戦略を取るETFです。
組入銘柄は25。対象が暗号資産なので、AIよりもボラティリティが大きいです。
上の表は【CEPI】の全25銘柄です。ここ数年で頻繁に耳にするようになった企業が多いですね
時価総額加重平均のため、上位にはビザ【V】、マスターカード【MA】、エヌビディア【NDVA】、TSMC【TSM】など世界的企業が顔を揃えています。純粋なクリプト企業は規模がそれほど大きくないので、真ん中より下にいますね。
CEPIの分配金と価格の比較
CEPIの分配金と取引所価格の比較です。
設定されたのが2024年12月なので、分配金はまだ2回しか出ていません。
赤い折れ線グラフが取引所価格です。青い棒グラフが毎月の分配金。
価格と分配金は二桁異なるので、赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が重なれば、月利1%で、年利換算12%ぐらいになるというわけです。
赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が突き抜けています。3倍以上の差があります。
なので、【CEPI】の月利は3%強。年間分配金利回りにすると40%ぐらいになります。
CEPIの価格と分配金利回りを比べる
【CEPI】の取引所価格と分配金利回りの比較です。
青い線が取引所価格の終値、赤い線が直近分配金を1年換算した分配金利回りです。12カ月利回りはまだありません。
青い線の取引所価格は50ドルからスタートして、現在は42ドルほどです。最近はハイテク関連が不調なこともあって、かなり下がっています。
直近利回りは40%以上とかなり高いです。
先ほどのAIが対象の【AIPI】よりも、暗号資産が対象の【CEPI】の方がボラティリティが大きいため、分配金利回りは高くなっています。
設定されたばかりなので、今後どうなるかは未知数ですね。もう少し様子を見た方が良さそうです。
まとめ
✅レックス・シェアーズのカバードコールETF、メガテックが対象の【FEPI】、AI企業が対象の【AIPI】、暗号資産の【CEPI】
✅分配金利回り(直近)は【FEPI】26%、【AIPI】37%、【CEPI】45%
✅分配金が高い理由は、銘柄数が15~25と少なく、個別株でコールオプションの売りを行う。AIや暗号資産はナスダック100よりもボラティリティが大きい
✅【FEPI】の設定来のトータルリターン(1年4カ月)は【QYLD】と同じくらい
✅【AIPI】の設定来のトータルリターン(8カ月)は【QYLD】【JEPI】より低い
✅【CEPI】は設定からまだ3カ月。
✅いずれも分配金利回りに特化しており、トータルリターンはあまり期待できない
✅長期保有向きではなく、サテライト向き
✅たかにんはとりあえず様子見。【FEPI】は少し保有してもいいかも
✅今後も3ETFの分配金データを追っていこうかなと














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