4月は日本高配当株ETFの分配金が集中しています。これらが出揃ったので、最新分配金情報をもとに、データ分析と比較を行います。
対象はETFが10銘柄、投資信託が5銘柄の計15銘柄です。今年設定された【354A】、日本版・楽天SCHD、アムンディ日本・高配当などもあります。
最新分配金情報、ETFや投信ごとの紹介、コンセプト、分配金利回り、信託報酬、上位銘柄、業種、トータルリターン、年初来の暴落耐性、増配率、将来YOC予想などを比べます。

直近の分配金を確認しよう
まずは、直近の分配金を確認しましょう。
今回のコンテンツの並びは、左からETF10種類、投資信託5種類で、分配金利回りの高い順です。ただし、分配金が1年分出ていない【235A】【354A】、Tracers日経高配当50、日本版・楽天SCHD、アムンディ日本・高配当は、後ろにします。
分配金月の赤字が直近の分配金です。
4月に分配金があったのは、左の6つ【2564】【1489】【1577】【1698】【1494】【2529】とSBI日本高配当です。
2月に分配金があったのは【1651】【1478】【235A】です。
一番下が、分配金の前年同期との比較。ほとんどが二桁パーセント増です。SBI日本高配当だけがマイナスでした。そんなわけで、日本の高配当株は全体的に好調だったというわけですね。
分配金の決算日カレンダーを確認
こちらは15ファンドの分配金の決算日のカレンダー。
4月は多いですね。日本の企業は3月と9月に配当を支払うことが多く、その翌月の4月と10月にETFは分配金として出すことで、分配金の希薄化を防ぐ狙いがあります。
分配金の支払日カレンダーを確認
こちらは分配金の支払日の目安。証券会社によって異なるので、おおまかな目安です。
ETFは決算日の37日後ぐらいで、投信は数日後に支払われることが多いです。なので、たとえば【1489】などETFの4月分配金は、5月の半ば頃に振り込まれます。
背景が濃い赤は分配金が多く、薄い赤は分配金が少なめです。
これを参考に、日本高配当ファンドで、毎月分配を貰う方法を考えるのも一興です。
15ファンドの内、たかにんが保有していないのは、【1651】と、最近発売になった【235A】、【354A】、日本版・楽天SCHD、アムンディ日本・高配当ですね。しばらく様子を見て良さそうだったら買おうかなと思います。
2564(グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF)
それでは15個のETFと投資信託の概要と分配金の傾向を見ていきましょう。数が多いので、短めにします。細かい解説は過去の動画やブログでやっていますので、概要欄から見てください。
まずは【2564】。グローバルX社のグローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETFです。
配当利回りの高い25銘柄が対象で均等加重です。
流動性、時価総額、配当継続性、セクターバランスなどの条件でスクリーニングしますが、条件が結構緩いため、分配金利回りが高いです。現在は4.54%です。
高配当ETFとしては珍しく小型株が多めです。
2564(グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF)を個別に分析したページはコチラ!

1489(NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信)
続いて【1489】。野村アセット・マネジメントのNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信。
日経平均225社の中から、基本的に配当利回り上位50銘柄が対象です。
予想配当利回りや流動性などで組み入れ比率を決めるので、配当利回りの高い大型株が上位に入ります。配当加重に近いイメージです。
純資産総額は約3300億円で、高配当ファンドの中では断トツです。
直近2025年4月の分配金は40円で、前年同期と比べて33.3%増です。
分配金は、2018~2021年にかけてはほぼ横ばいでしたが、2022年に一気に増えました。7年増配率は12.1%と高いですが、着実に増えているというわけではないです。

1577(NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信)
【1577】です。野村アセット・マネジメントのNEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信。
今期予想配当利回りの高い70銘柄を均等に組み入れます。過去3年の経常利益がマイナスは除外、流動性や規模の小さな銘柄を除外するなどの条件でスクリーニングします。
コンセプトは米国だと【SPYD】と少し似ていますが、価格上昇や分配金の増配という点では【1577】が優れています。
純資産総額は約1400億円と規模は大きいです。
直近2025年4月の分配金は658円で、前年同期と比べて30%増です。
分配金は2020年と2021年は伸び悩みましたが、2022年以降は好調です。10年増配率は11.3%で、長期実績もあります。

1698(上場インデックスファンド 日本高配当(東証配当フォーカス100))
つづいて【1698】。日興アセットマネジメントの上場インデックスファンド 日本高配当(東証配当フォーカス100)です。
TOPIX1000と東証REIT指数の構成銘柄から、時価総額と予想配当利回りに注目したETFです。株式90銘柄、REIT10銘柄です。配当利回りの高い銘柄を抽出し、時価総額の大きな順に選ぶイメージです。
設定が2010年と、日本株高配当ETFの中では最古参です。
このETFの特徴は、決算月ごとに2つのグループにポートフォリオを分けて、比率を同じにします。そのため、年4回の分配金の差が少ないのが特徴です。
直近2025年4月の分配金は28.3円で、前年同期と比べて18.4%増です。
分配金は2020年のコロナショックで低迷しましたが、2022年以降はかなり増えています。10年増配率は11.1%なので、長期で高増配を続けているETFです。

1494(One ETF 高配当日本株)
つづいて【1494】。アセットマネジメントOneのOne ETF 高配当日本株です。
TOPIXの構成銘柄から、時価総額や流動性などの基準に適合した銘柄のうち、10年以上増配または配当水準維持を満たした40~50銘柄が対象です。
10年間にわたって減配していない銘柄を集めた増配系ETFです。
配当利回り加重平均なので、配当利回りの高い銘柄が上位になります。
増配ETFで配当利回り加重というと、米国ETFの【SDY】と少し似ています。分配金は年2回タイプです。
直近2025年4月の分配金は550円で、前年同期と比べて12%増です。
コロナ・ショックの2020年に減配していないのが、増配系の特徴を現わしています。厳しい相場でも着実に増配するイメージです。7年増配率は15.5%と、かなり高い水準です。

2529(NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信)
今度は【2529】。野村アセット・マネジメントのNEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信です。
時価総額が大きく、流動性の高い約500銘柄から、過去3年間の実績配当や自社株買いなどに基づいた「ネット総還元利回り」の高い70銘柄を抽出します。金融が対象外で、株主還元がコンセプトの増配系ETFです。
直近2025年4月の分配金は22円で、前年同期と比べて15.8%増です。
設定が2019年と日が浅いですが、分配金は順調に増えています。5年増配率は13.2%となかなかです。

1651(iFreeETF TOPIX高配当40指数)
【1651】です。大和アセットマネジメントのiFreeETF TOPIX高配当40指数。
TOPIX100の中から、配当利回りの高い40銘柄で構成。時価総額加重平均です。
信託報酬は0.209%と、なかなか低いです。配当利回りの高い超大型株が対象ですが、時価総額加重平均で組入れるため、分配金利回りは低くなります。
現在の分配金利回りは2.65%と、今回の高配当ETFの中で2番目に低いです。
直近2025年4月の分配金は2円で、前年同期と比べて33.3%増です。
分配金は、設定以降ほぼ横ばいでしたが、2024年に一気に増えました。5年増配率は9.0%となかなかです。

1478(iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF)
【1478】はブラックロックのETF。iシェアーズMSCIジャパン高配当利回りETFです。
配当性向や配当の継続性、財務指標の要件を満たした銘柄から、配当利回りの高い銘柄を時価総額加重平均で組み入れます。
財務の健全性を重視した超巨大企業が多く、ディフェンシブな高配当ETFです。
分配金利回りは2.56%で、今回の高配当ETFの中では一番低いです。
米国ETFなら、同じブラックロック社の【HDV】と【DGRO】の中間のようなイメージですかね。
純資産総額は約1100億円で、なかなかの規模です。信託報酬0.209%なので、かなり低いです。
直近2025年2月の分配金は52円で、前年同期と比べて18.2%増です。
分配金は年2回。長期で見ると増えていますが、前年よりマイナスや横ばいの時もあります。7年増配率は11.6%と高いです。

235A(グローバルX 高配当30-日本株式 ETF)
続いて【235A】。グローバルXのグローバルX 高配当30-日本株式 ETFです。
時価総額5000億円以上、年間フリーキャッシュフローから年間配当総額を引いたものがプラスという条件に当てはまった銘柄から、配当利回りの高い30銘柄が対象。配当加重です。
持続可能な配当が期待できる、少数精鋭の大型高配当ETFです。
設定が2024年8月なので、設定から8カ月ほど経過して、純資産は75億円ほどです。
分配金は2回出ました。最初が12円、直近の2月は3円です。計15円なので、1年換算すると30円。基準価額が1013円なので、分配金利回りは3%前後です。
ただし、1年目は分配金が希薄化されることもあり、組入れ銘柄を見ると、もう少し分配金利回りは高くなりそうです。
【1489】や【1698】などと同じくらいになりそうかなと思います。

354A(iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数)
【354A】は、大和アセットの商品。iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数です。
高利回りと高パフォーマンスの両立を目指すETFです。ある程度の規模と流動性がある銘柄から、直近の決算で利益を計上している予想配当利回り上位50銘柄を均等加重します。
コンセプトは【1577】と結構似ています。
年4回リバランスを行うこと、複数のアナリストによる最新配当データを活用することで、高い配当利回りを目指します。
設定は2025年4月なので、できたばかりです。分配金利回りは、【1577】と同じの3.5%ぐらいになりそうです。

SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)
ここからは、投資信託です。
まずはSBI日本高配当。SBIアセットマネジメントの商品。正式名称はSBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)。
アクティブ型なので、はっきりとしたルールはありません。財務状況を考慮しながら、インカムとキャピタルの両方を狙うファンドです。
2023年12月に設定されたばかりなので、1年ちょっと経過しました。
信託報酬が0.099%と激安ということもあり、設定当初に爆発的に売れました。現在の純資産は922億円と大きいです。
銘柄数は設定当初は30銘柄でしたが、現在は95銘柄まで増えました。
分配金は5回出ています。最初の4回はいずれも140円でしたが、直近の4月分配金は110円に減りました。過去1年分配金から出した分配金利回りは4.72%とかなり高いですが、組入れ銘柄の配当利回りは4%ほどです。
日経平均高配当利回り株ファンド
つぎは、日経平均高配当利回り株F。三菱UFJアセットマネジメントの商品です。
日経平均225社の中から、予想配当利回りの高い原則30銘柄で構成されています。NISAのつみたて投資枠の対象です。
銘柄の比率は流動性を意識しており、規模の大きな銘柄が上位に来ます。
純資産は1795億円なので規模は大きいですが、信託報酬が0.693%とかなり高いです。
直近2024年12月の分配金は330円。前年同期より22.2%増です。
分配金は年2回です。2022年に一気に増えましたが、それ以降は横ばいです。

Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)
Tracers日経高配当50インデックス(奇数月分配型)。日興アセットマネジメントの商品ですTracers日経高配当50と呼びます。
日経平均225社の中から、基本的に配当利回り上位50銘柄が対象です。
ベンチマークは日経平均高配当株50指数なので、ETFの【1489】と同じです。
2024年1月に設定されたばかりで、1年ちょっと経過しました。
信託報酬は0.10725%なので、かなり低いです。
分配金は年6回出ます。実績のある【1489】と中身が同じで、信託報酬がかなり低く、分配金が年6回なので、オトクな感じはあります。
真ん中の分配金は【1489】のものです。
Tracers日経高配当50は、これまで4回分配金が出ており、いずれも100円。基準価額が10655円なので、分配金利回りは5.63%になります。【1489】の分配金利回りは3.94%なので、Tracers日経高配当50が1.6%ほど高いです。
投資信託の分配金は、組入れ銘柄の配当以外にも、値上がり益、分配準備積立金、収益調整金などがあり、運用会社の裁量によって決まります。設定当初は、売れ行きを伸ばすために、分配金を多めに支払った可能性が高いです。今後どうなるかは未知数です。

日本版・楽天SCHD(楽天・高配当株式・日本ファンド(四半期決算型))
続いて、日本版・楽天SCHD。楽天投信投資顧問の商品です。正式名称は、楽天・高配当株式・日本ファンド(四半期決算型)です。
財務やファンダメンタルズの強さを考慮して選定された、安定した配当実績を持つ高配当企業100社で構成される指数、ダウ・ジョーンズ日本配当100インデックスとの連動を目指すファンドです。
米国の【SCHD】の銘柄選定ルールを、日本株に当てはめたイメージです。なので、日本版・楽天SCHDと呼びます。
設定されたのは今年の2月なので、できたばかりです。純資産は55億円なのでまずまずです。
信託報酬は0.297%。
銘柄選定ルールは、最初に連続配当年数、流動性でスクリーニングして、配当利回りの高い銘柄を選びます。その後、キャッシュフロー対総負債比率、ROE、配当利回り、過去5年間の配当成長率という4つの指標を基にスコアを算出し、ランキングを作成。上位100銘柄を選びます。

(アムンディ・インデックスシリーズ)日本・高配当株
最後は(アムンディ・インデックスシリーズ)日本・高配当株。アムンディ日本・高配当と呼びます。
時価総額500億円以上、10年以上非減配の銘柄から配当利回りの高い30銘柄を厳選する、日経累進高配当株指数(しっかりインカム)との連動を目指します。
10年以上非減配銘柄を集めた、増配系ETFですね。【1494】と少し似ています。
4月に設定されたばかりの商品です。信託報酬は0.198%なので、かなり低いです。
分配金は年2回で5月と11月。最初の分配金は11月です。
分配金利回りは結構高くなりそうです。組入れ銘柄から算出すると4.5%ほど。4%と予想しておきます。

主な日本高配当株ETF&投資信託の基本データ
15個の高配当ファンドの基本データ比較です。
今回のコンテンツの並びは、左からETF10種類、投資信託5種類で、分配金利回りの高い順です。設定から間もないファンドは一番後ろです。
表内の赤い文字はもっとも優れているという意味です。
上から4行目が種類です。高配当、増配系、中配当に分けました。
基本的には高配当ですが、【1494】【2529】、アムンディ日本・高配当は、増配系です。
【1651】【1478】は中配当。この2つは、分配金利回りが2%台のことが多く、価格上昇を結構狙えるタイプです。
上から5行目が一言でまとめたコンセプト、6行目が概要です。それぞれのファンド紹介のところで触れました。
日本の高配当ファンドは米国の高配当ETFと比べると、増配や財務の健全性はあまり重視せず、配当利回りと規模を意識しているケースが目立ちます。
信託報酬を比較
それでは信託報酬をグラフで確認します。総経費率ではないので、ある程度の参考ぐらいでOKです。
0.1%前後でもっとも低いのは、SBI日本高配当とTracers日経高配当50です。
0.2%前後は、アムンディ日本・高配当と【1651】【1478】です。
残りは0.3%前後が多いですね。日経平均高配当利回り株Fが0.693%と高いです。
純資産総額と分配金利回りを比較
それではETFの規模である純資産総額と分配金利回りを散布図で比較します。
縦軸が純資産総額、横軸が分配金利回りです。純資産が大きいETFが上に位置し、分配金利回りが高いほど右に来ます。
分配金利回りは12カ月利回りです。設定から1年が経過しておらず、分配金利回りが決まっていないファンドは、たかにんの予想です。【354A】、日本版・楽天SCHD、アムンディ日本・高配当は、まだ1度も分配金が出ていません。【235A】、Tracers日経高配当50は現在の分配金を1年換算して計算しました。
【1489】が分配金利回りが4%弱で、純資産が3000億円を超えていて断トツです。素晴らしいです。
Tracers日経高配当50は【1489】とベンチマークが同じですが、分配金利回りは5.6%ほどと高いです。
分配金利回りが高く、純資産もまずまず大きいのは、SBI日本高配当と【2564】ですね。ただし投資信託の場合は、組入れ銘柄の配当利回りよりも分配金利回りが高いことがあります。なので、Tracers日経高配当50とSBI日本高配当の分配金利回りについては、参考程度と考えた方がいいかもしれないですね。
純資産が大きく、分配金利回りもまずまず高いのは、【1577】と日経平均高配当利回り株Fです。
上位銘柄、上位業種、銘柄の規模の比較
それでは、15ファンドの組入上位5銘柄を比較します。
Tracers日経高配当50は、【1489】とベンチマークが同じなので、【1489】を参考にしてください。
右下にTOPIX・ETF【1306】を入れておきます。TOPIXは日本国内株の代表的なベンチマークなので、比較対象として今後も登場します。
有名大型高配当企業が多いのは【1489】【1698】【235A】日経平均高配当利回り株F、日本版・楽天SCHDです。
【2564】【1577】【354A】は均等加重なので、上位に大型銘柄以外も入ります。中型株が目立ちます。
【1494】【2529】、アムンディ日本・高配当は、増配系なので少し毛色が異なっています。
【1651】【1478】は超大型株が多いですが、配当利回りがそれほど高くない銘柄があります。TOPIX【1306】と少し似ています。
SBI日本高配当は、アクティブファンドなので、独自路線ですね。
上位5銘柄の比率は、【235A】が46%でもっとも集中投資です。以下、日経平均高配当利回り株Fが31%、【1698】が30%、アムンディ日本・高配当が29%、【1651】が28%、【1478】が27%。25%以上はこの6ファンド。
上位10銘柄比率が低いのは【1577】が8%、【2529】が10.8%、【354A】が11.2%、【1494】が13.5%。均等加重を採用しているファンドと、アムンディ日本・高配当以外の増配系が比率が低いです。
上位業種を比較
それでは組入銘柄の上位5業種を比較します。設定されたばかりの【354A】は不明です。
銀行業、保険業、卸売業、海運、鉄鋼などが高配当ファンドには多く入っていますね。
【235A】と日本版・楽天SCHDは、上位5業種が高配当っぽくないですね。財務健全性をわりと重視するからです。どちらも銀行業が入っていません。
あまり分配金利回りの高くない【1651】【1478】は、TOPIX【1306】と似ています。
増配系の【1494】とアムンディ日本・高配当は、やや独特です。建設、化学、その他金融が共通しています。
残りのファンドは高配当っぽいですかね。
組入銘柄の規模を比較
組入銘柄の規模を比較します。対象はETFの10ETFで、投資信託はありません。
超大型株の比率に注目しましょう。グラフの赤いところです。
【1651】【1478】の中配当系は、超大型株がTOPIX【1306】よりも多いです。【1651】は69%、【1478】は50%も入っています。
45%の【TOPIX】と同じくらいなのが、【235A】の42%、【1698】の36%、【1489】の34%です。ここまでが超大型株と大型株が多いファンドです。
【1577】【2529】は超大型株が20%とやや少なく、大型株中心。
【2564】と【1494】は超大型株と大型株が少なく、中型株や小型株が中心です。【2564】は高配当ETFなのに中小型株が多く、【1494】は増配系ETFで中小型株が多いわけです。
トータルリターンを比較しよう
トータルリターンを比較します。2025年3月末基準のデータです。期間は1、3、5、10年で、年率です。
対象はETFが8つ、投信はSBI日本高配当、日経平均高配当利回り株F、Tracers日経高配当50、参考としてTOPIX【1306】です。【235A】、【354A】、日本版・楽天SCHD、アムンディ日本・高配当は設定から1年経過していないので、ありません。
まずは1年と3年です。1年は赤い棒グラフです。
【1494】が6.3%で首位。【1478】が4.8%で2番手です。
3番手は混戦でTracers日経高配当50が4.5%、【1577】が4.4%、【1489】が4.1%です。Tracers日経高配当500と【1489】は中身は同じですが、わずかにTracers日経高配当50が優勢でした。
信託報酬の低いSBI日本高配当は0.9%。高配当ファンドの中では今ひとつですね。
3年は青い棒グラフです。Tracers日経高配当50やSBI日本高配当はありません。
【1489】が24.6%で首位でややリードしています。
2番手は混戦で、日経平均高配当利回り株Fと【1651】が22%台。【1577】【1494】が21%、【1698】が20.1%で続いています。
1年と3年は【1494】と【1489】が優秀でした。ただ、他のファンドも【TOPIX】よりは成績が良いですね。
長期のリターンを比較
続いて5年と10年です。5年は緑色の棒グラフです。
【1489】が26.2%で首位。【1651】が24.7%で2番手、日経平均高配当利回り株Fが23.8%で3番手。この3つが抜けています。
4番手は混戦で、【1478】が21%、【1577】【1698】【1494】が20%台です。
10年はオレンジ色の棒グラフです。高配当は2つしかありません。
【1698】が9.5%で首位、【1577】が9.1%で2番手です。TOPIXは8.0%でした。
5年や10年のリターンも高配当ファンドは、TOPIXより優秀でした。
全体的に見ると【1489】【1651】、日経平均高配当利回り株Fが優秀ですかね。【1494】【1577】【1698】【1478】も悪くはなかったです。【2529】【2564】がやや苦戦していました。
年初来リターンを比較
年初来のリターンも確認しましょう。4月30日までのデータです。今年はトランプ関税ショックの影響で、日本株も苦戦しています。
年初来がプラスなのは2銘柄。【2564】が1.12%、【1478】が1.03%。
マイナス1%以内と健闘しているのが【1494】【1698】【235A】、SBI日本高配当、【1651】です。
マイナス2%台と苦戦しているのは、【1577】、Tracers日経高配当50、【1489】。TOPIX【1306】もマイナス2%台です。
マイナス4%以上と大苦戦しているのは、【2529】と日経平均高配当利回り株Fです。
【1478】は逆境に強いタイプなので、好成績なのはわかりますが、【2564】が良かったのは意外ですね。【2564】は2024年の成績がよくなかったので、その反動という可能性もありそうです。
トータルリターン、リスク、シャープレシオを比較
トータルリターン(年率)、リスク、シャープレシオを比較します。
縦軸が年率のトータルリターン(年率)、横軸がリスク、円の大きさと近くの数値がシャープレシオです。
シャープレシオは投資効率の良さを示したものです。リターンが高く、リスクが低いと、シャープレシオは高くなります。
表の左上がローリスク・ハイリターンで理想です。右下がハイリスク・ローリターンで良くないです。スタート地点は0%ではありません。
対象は設定から3年以上のファンドと、TOPIX【1306】です。
まずは3年です。
シャープレシオは【1494】が2.42で首位、【1489】が2.02で2番手です。3番手グループは【1577】【1698】【1651】で1.8です。
リターンは縦軸、【1489】が24.6%で首位。【1651】と日経平均高配当利回り株Fが22%台で2番手。【1577】【1494】が21%で3番手。
リスクは横軸、【1494】が8.6%で、圧倒的に低いです。【2564】【2529】が10%台で2番手グループです。
成績の良いグループだと、【1489】【1651】がハイリスク、ハイリターン。【1494】がローリスク、ミドルリターン。【1577】【1698】【1478】がミドルリスク、ミドルリターンですね。
5年シャープレシオを比較
続いて5年です。
シャープレシオは【1489】が1.91で首位、【1651】が1.81で2番手、【1494】が1.73で3番手です。
リターンは縦軸、【1489】が26.2%で首位。【1651】と日経平均高配当利回り株Fが24%前後で2番手グループ。【1478】【1577】【1698】【1494】が21%前後で3番手グループです。
リスクは横軸、【1494】が11.7%で、圧倒的に低いです。【2529】【1306】が12.3%で2番手グループです。
成績の良いグループだと、【1489】と【1651】がハイリスク、ハイリターン。【1494】がローリスク、ミドルリターン。【1577】【1698】【1478】がミドルリスク、ミドルリターンですね。
3年と同じ傾向です。
10年シャープレシオはどうか?
続いて10年です。高配当2つと、TOPIX【1306】のみです。
シャープレシオは【1698】が0.67で首位、【1577】が0.57で2番手、【1306】が0.55で3番手です。
リターンは縦軸、【1698】が9.5%と高く、【1577】が9.1%、【1306】が8.0%でした。
リスクは横軸、【1698】が14.2%と低く、【1577】が14.5%、【1577】が15.9%とやや高めでした。
10年ではリターン、リスク、シャープレシオ、いずれも【1698】が優秀でした。
1年シャープレシオを確認
最後に1年の成績も見てみましょう。短すぎるので、あまり参考にはなりませんが、ファンドがたくさんあるので、見てみましょう。
シャープレシオは【1494】が0.89で首位、【1478】が0.62で2番手、【1577】が0.58で3番手です。
リターンは縦軸で、【1494】が6.3%で首位。2番手グループは4%台で、【1478】、Tracers日経高配当50、【1577】【1489】です。
リスクは横軸で、【2564】が5.8%と最も低かったです。【2529】とSBI日本高配当が6%台で2番目に低かったです。
全体的に見ると、【1494】のローリスク、ハイリターンが光っていました。【1489】【1651】はハイリスク、ハイリターン。【1577】【1698】【1478】がミドルリスク、ミドルリターンですね。日経平均高配当利回り株Fはリターンは素晴らしいですが、リスクがかなり高かったです。
増配率を比較しよう
増配率を見ていきましょう。
対象は分配金を支払い始めてから2年以上のファンドと、TOPIX【1306】です。
表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景ピンク色がマイナスです。
表の下段は現在を起点とした1年から6年、そして7年、10年の増配率。年率です。
背景のオレンジ色が濃いほど、増配率が高いという意味です。この部分をグラフで見てみましょう。
1年増配率は?
まずは1年増配率です。
1年増配率は【1651】が59.3%で圧倒的にトップです。
【2564】が38.2%で2番手、【1577】【1489】が27%台で3番手グループです。
3年、5年増配率を比較
3年と5年増配率を見てみましょう。
3年増配率は青色の棒グラフで、日経平均高配当利回り株Fと【1478】が20%台でトップ。
【1698】と【1494】が18%台で2番手グループで、【1651】が17.3%で続いています。
5年増配率はオレンジ色の棒グラフで、【1494】と【1489】が14%台でトップ。
【1698】と【2529】が13%台で2番手、日経平均高配当利回り株Fが12.4%で続いています。
3年と5年増配率はどちらもトップクラスはいなかったですね。【1494】【1698】【1489】、日経平均高配当利回り株Fが良かったですね。
7年、10年増配率はどんな傾向か?
7年、10年増配率を見てみましょう。データがないファンドが結構あります。
7年増配率は緑色の棒グラフで、【1494】が15.5%で抜けたトップです。【1306】【1489】が12.1%で続いており、【1478】【1698】が11%台。
10年増配率は3つしかありませんが、【1698】が11.3%で首位、【1577】が11.1%で2番手、【1306】が10.9%で3番手。互角ですね。
比べる期間によって増配率の結果は異なっていました。【1494】、【1698】、【1489】、日経平均高配当利回り株Fなどが安定して高水準でした。
増配率、分配金利回り、トータルリターンを比較しよう
増配率、分配金利回り、トータルリターン(年率)をバブルチャートで比較します。
対象は設定から3年以上のファンドと、1306です。
縦軸が増配率、横軸が分配金利回り、円の大きさがリターンで、円の近くの数値もリターンです。
右上かつ円が大きいと素晴らしいということですね。分配金利回りは常に現在のものです。
まずは3年です。
リターンがもっとも高いのは【1489】で24.6%。
増配率は日経平均高配当利回り株F【1478】が20%台で首位。
リターン、増配率、分配金利回りをトータルで考えると【1489】【1577】【1494】【1698】日経平均高配当利回り株Fの5つが良いです。ちなみに青色の【1494】と水色の【1698】は重なっています。
5年増配率、分配金利回り、トータルリターンを比較
続いて5年を見てみましょう。
リターンがもっとも高いのは【1489】で26.2%。
増配率は【1494】が14.8%、【1489】が14.7%で接戦。
リターン、増配率、分配金利回りをトータルで考えると【1489】が圧倒的です。2番手グループは、【1494】【1698】、日経平均高配当利回り株F、【1577】の4つですね。
10年増配率、分配金利回り、トータルリターンを比較
最後に10年を見てみましょう。【1698】と【1577】、TOPIX【1306】のみです。
リターンは【1698】が9.5%、【1577】が9.1%なので、【1698】がやや優勢。
増配率は【1577】がわずかに優勢、分配金利回りは【1577】がわずかに優勢。似たような感じですね。
将来YOCはどうなるか
それでは、いまETFを購入したら、将来、取得価額に対する利回り(YOC)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。
対象は分配金を支払い始めてから4年以上のファンドと、【1306】です。
現在の分配金利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。3年、5年、7年、10年の増配率を使用します。「分配金は再投資しない。税引き前」という設定にします。
現在の分配金利回りは、【2564】が4.54%と最も高く、【1489】が2番手、【1577】【1698】、日経平均高配当利回り株F、【1494】と続きます。
まずは3年増配率を使った将来YOC予想です。
3年増配率は日経平均高配当利回り株Fが20.3%で最も高く、【1478】が20.1%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位は日経平均高配当利回り株Fで119%、2番手は【1698】で91.2%、3番手は【1494】で86.6%、差のない4番手は【1478】で82.9%でした。
最近の日本株は増配率が高く、3年増配率は高すぎる状態です。このペースが続く可能性は低いです。
5年増配率を使った将来YOCは?
続いて5年増配率を使った将来YOC予想です。【2564】はありません。
5年増配率は、【1494】が14.8%で最も高く、【1489】が14.7%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位は【1489】で53%、2番手は【1494】で48.1%、3番手は【1698】で37.7%、差のない4番手は【2529】で34.7%でした。
3年増配率の時と結構違う結果になりました。
7年増配率を使った将来YOCは?
続いて7年増配率を使った将来YOC予想です。対象は6つです。
7年増配率は【1494】が15.5%で最も高く、【1489】と1306が12.1%で2番手。
20年目のYOC予想は、首位は【1494】で54.7%。2番手は【1489】で34.7%、3番手は【1698】で27.6%、差のない4番手は【1577】が26%でした。
5年増配率と上位3ETFが同じですね。首位と2位の順番は入れ替わりましたが。
10年増配率を使った将来YOCは?
最後は10年増配率を使った将来YOC予想です。【1577】【1698】【1306】のみです。
10年増配率は【1577】が11.3%、【1698】が11.1%でほぼ互角でした。
20年目のYOC予想は、【1577】が28.4%、【1698】は26.2%でした。
7年増配率の時と同じで、【1698】と【1577】は互角ですね。
全体的に見ると、5年と7年増配率で【1494】と【1489】が首位争い、【1698】はどのタイミングでも上位3番以内でした。
日本株高配当ファンドをのランクづけ
これまで取り扱ったデータを項目別にランクづけしました。Aが最高で、B、C、Dの順です。
相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。
上の6つが基本データ、下の8つが成績ですね。下を重視する人が多いかもしれません。
上の6つが良かったのはSBI日本高配当、【1577】、Tracers日経高配当50などです。Aが2つありました。
下のデータは、【1489】が素晴らしいです。Aが6個もあります。【1494】【1698】は、AとBのみです。高いレベルで安定しています。【1651】【2564】はAが3つあり素晴らしく、【1577】【1478】はCが1つと堅実でした。
今回新たに加わった年初来リターンは、下落耐性のようなものです。【2564】【1478】がA評価で素晴らしかったです。
ランキングの数を比較
ABCDの数値をまとめたデータです。
Aの数は【1489】が7個で最多、Bの数は【1478】が10個で最多、Cの数は【2564】と【2529】が7個で最多でした。
AとBの数の合計は【1698】が12個でトップ。歴史のあるファンドが結果を出しました。【1577】【1494】【1478】が11個、【1489】は10個で続いています。
まとめ
✅直近の分配金は、ほとんどのファンドが前年同期を上回っており、好調でした
✅【2564】は高配当特化型のETF。中小型株が多いが、リスクが低く、暴落耐性が意外とある
✅【1489】は高配当ETFの王道。ほとんどの項目が高いレベルで安定
✅【1577】は長期実績のある高配当ETF。均等加重で分散が効いており、成績は安定
✅【1698】も長期実績あり。年4回の分配金が差がない。増配率が高い
✅【1494】は小型株多めの増配系ETF。リスクが低く、増配率が高い
✅【2529】は株主還元がテーマの増配系。こちらもリスクが低い
✅【1651】は超大型銘柄が中心の中配当ETF。リターンやシャープレシオが秀逸
✅【1478】は財務健全性を重視した中配当ETF。軟調相場で強さを発揮
✅【235A】は持続可能な配当が期待できる、少数精鋭の大型高配当ETF。将来が楽しみ
✅【354A】は高利回りと高パフォーマンスの両立を目指すETF。【1577】と似ている
✅SBI日本高配当は信託報酬の低さと分配金利回りの高さは素晴らしい
✅日経平均高配当利回り株FはNISAのつみたて投資枠。直近イマイチだが、過去データはよい
✅Tracers日経高配当50は【1489】と中身が同じだが、分配金が多い
✅日本版・楽天SCHDはSCHDと同じコンセプトの日本株版。日本市場でどんな結果を出すか?
✅アムンディ日本・高配当は10年以上非減配銘柄から配当利回りの高い30銘柄が対象

【SCHDはNo.1ではない!?】米国の高配当&増配12ETFの様々なデータを徹底比較。2度の暴落で耐性のあったETFは? リターン、リスク、シャープレシオ、セクター、増配率の比較で、特徴を浮き彫りに(2025年3月分配金決定)












