✅2025年3月の米国高配当ETFの分配金が決定
✅米国高配当&増配12ETFを徹底比較
✅最新分配金情報、ETFごとの紹介、コンセプト、分配金利回り、経費率、購入可能な種類、セクター、トータルリターン、下落耐性、増配率、将来YOC予想などを比較
✅対象銘柄は以下の12ETF

2025年3月の分配金を確認しよう
まずは、直近の2025年3月の分配金データと前年同期との比較を見ていきます。
表の下から2行目が前年同期との比較です。背景が黄色いほど、プラスが大きいという意味です。
20%以上のプラスは【VYM】【SCHD】【VIG】です。10%以上のプラスは【VOO】【SDY】【SPYD】です。マイナスだったのは【DGRW】【HDV】です。
12銘柄中10銘柄がプラスなので、全体的に好調でした。
12ETFの基本データ
こちらは12ETFの基本データ比較。分配金利回りや経費率、規模、銘柄数などの情報です。
後ほど解説します。それでは、個々のETFの基本情報と分配金の傾向を確認します。
SPYD(SPDR ポートフォリオ S&P500高配当株式ETF)
12ETFを1つずつ紹介します。数が多いので、ざっくりとした内容にします。分配金利回りの高い順です。
まずは【SPYD】。S&P500指数の中から、基本的に配当利回りの高い80銘柄が対象のETFです。
やや中規模銘柄が多めの高配当ETFです。
左側は先ほどの12ETFの基本データ比較のものです。赤い文字は、12ETFの中で優れている数値です。
純資産総額は約1兆円とまずまずです。分配金利回りは4.71%と高いです。
直近2025年3月の分配金は0.4189ドル、1年前の同期と比べて12.3%増です。
SPYDは均等加重で、年2回銘柄入れ替えがあります。その際に中身が大幅に変化します。そのため分配金は多い時と少ない時があります。ただ、ここ数年は比較的安定しています。
分配金の傾向は、長期で見るとわずかに増えています。7年増配率は4%とまずまずです。
FDL(ファースト・トラスト・モーニングスター・ディビデント・リーダーズ・インデックス・ファンド)
【FDL】は5年間の配当成長率がプラス、配当性向100%以下でスクリーニングし、これらの条件に合う配当利回り上位100銘柄が投資対象です。リートは対象外です。
成長志向の高配当というイメージです。
配当加重なので、配当利回りが高く、かつ時価総額の大きい銘柄が上位になります。HDVやDHSと同じです。
純資産総額は7200億円ほど。経費率が0.45%とやや高めです。
直近2025年3月の分配金は0.3573ドル、前年の同期との比較では7.6%増です。
分配金は2020年から2022年は横ばいでしたが、2023年に一気に増えました。
増配率は6~9%とかなり高水準です。分配金利回りは4.37%と高く、増配率も高い高配当ETFです。どちらも高いのは、なかなかレアケースです。
SCHD(シュワブ・米国配当株式ETF)
【SCHD】は配当利回り、銘柄の規模、財務の健全性、効率的に稼ぐ力、過去5年増配率などを重視したETF。時価総額加重です。
高配当、増配、財務の健全性と三拍子が揃ったETFです。
現在のところ、楽天証券とSBI証券で投資信託のみが購入可能です。
純資産総額は9.3兆円ほどあり、規模は【VYM】と同じくらいで、高配当ETFの中ではトップクラスです。
直近2025年3月の分配金は0.2488ドル、1年前の同期と比べて22.1%増です。
分配金を1年単位で見ると、鮮やかに伸びています。毎年増配しています。増配率は11%以上なので、高配当ETFの中では圧倒的に高いです。
DVY(iシェアーズ 好配当株式 ETF)
【DVY】は財務が健全で、配当の支払い実績と余力があり、中規模以上の企業でスクリーニングして、その中から配当利回りの高い100銘柄を選びます。配当利回り加重です。
安定配当と財務健全性を両立する高配当ETFです。
設定されたのは2003年と古株です。純資産総額は約2.6兆円となかなか大きいです。経費率は0.38%とやや高め。
直近2025年3月の分配金は1.0495ドル、前年の同期との比較では5.2%増です。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。リーマンショック後の2010年から、ほぼ毎年上がっていますね。増配率は10年が7.3%と高水準です。
DHS(ウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド)
【DHS】は配当利回り上位30%が対象のETFで、純粋な高配当ETFです。
配当加重方式を採用しています。基本的に時価総額が大きく、配当利回りの高い銘柄が上位に入ります。割安度や株価推移なども考慮して、銘柄の比率を決めます。
毎月分配型ですが、そのためNISAの成長投資枠の対象外です。
純資産総額は約1600億円とやや物足りないです。
直近2025年3月の分配金は0.305ドル、前年の同期との比較では7%増です。
【DHS】は月ごとの分配金がバラバラなので、前年同期比較はあまり意味がないです。1年単位で増えているかどうかをチェックするのがいいですね。2023年はかなり増えましたが、翌2024年は前年より少し減らしました。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。7年以上の増配率は6%台となかなか高いです。
HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF)
【HDV】は競争力、収益の安定、財務の健全性などでスクリーニングして、条件が合った中から、配当利回りの高い75銘柄を選びます。REITは対象外で、配当加重です。
ディフェンス力のある、高品質な高配当ETFです。
純資産総額は1.5兆円ほどです。
HDVは下落相場では安定感があって頼もしいですが、上昇相場における価格上昇が今ひとつの場合が多いです。
直近2025年3月の分配金は0.7951ドル、前年の同期との比較では4.8%減です。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。増配率は10年で4%台です。
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
【VYM】は米国の上場企業から、平均以上の配当利回り銘柄を集めて、時価総額加重平均で組み入れたETFです。
幅広い大型高配当株を集めた安定感があるETFです。
規模が大きいというのは、ETFが売れていると同時に、組入れ銘柄の株価上昇の実績もあるという意味です。ゆえに、安定感のある高配当ETFというわけです。
純資産は10.3兆円ほどで、米国上場の高配当ETFの中で最も規模が大きいです。
2025年3月の分配金は0.85ドルで、前年同期と比べて29.7%増です。
分配金を1年単位で見ると、14年連続で増配しています。
2024年は前年と比べると微増でしたが、2025年最初の今回はかなり増えました。
SDY(SPDR S&P 米国高配当株式ETF)
【SDY】はS&Pコンポジット1500指数の中から、20年以上連続で増配している銘柄が対象のETFです。
時価総額20億ドル以上などでスクリーニングし、配当利回りの高い順に構成比率が高くなります。長期連続増配ETFですね。
設定が2005年とかなり古株です。純資産総額は約2.7兆円となかなか大きいです。経費率が0.35%と少し高いですね。
直近2025年3月の分配金は0.8184ドル、1年前の同期と比べて15.6%増です。
分配金は2021年以降横ばいと今ひとつでしたが、直近は好調でした。2025年は期待できるかもしれないです。
DGRO(iシェアーズ・コア 配当グロースETF)
【DGRO】は、配当成長を重視した増配ETFです。5年以上継続して配当が成長しており、配当性向75%未満などの銘柄が対象です。
REITは対象外。配当利回りの上位10%を除外することで、高配当の罠を避け、健全性を重視します。配当加重方式です。
【DGRO】は日本の証券会社では購入できません。ただし2024年1月に東証に上場した【2014】が中身が同じで購入可能です。
【2014】を保有している人は、この【DGRO】のデータを参考にしていただければと思います。
【DGRO】の経費率は0.08%と低いですが、【2014】の信託報酬は年0.121%程度です。
直近2025年3月の分配金は0.3109ドル、前年の同期との比較では0.1%増とほぼ同じです。
設定以来、分配金は着実に増え続けています。7年増配率は9.4%と高いですね。
VIG(バンガード・米国増配株式ETF)
【VIG】は、10年以上連続して増配の実績がある銘柄が対象です。時価総額加重なので、規模の大きな銘柄の比重が大きくなります。
REITは対象外。配当利回り上位25%を除外し、高配当の罠を避けることで健全性を重視します。
純資産は14.4兆円ほどで、米国の増配系ETFの中で最も規模が大きいETFです。
2025年3月の分配金は0.9377ドルで、前年同期と比べて21.9%増です。
分配金を長期で見ると、強烈に上昇しています。とくに2021年以降が素晴らしいです。
2021年9月にベンチマークが変わったのですが、それ以降の分配金の伸びは素晴らしいです。
DGRW(ウィズダムツリー 米国株クオリティ 配当成長ファンド)
【DGRW】は収益性と将来の配当成長が見込める銘柄が対象です。
具体的にはROE(株主資本利益率)、ROA(総資産利益率)、利益成長という3つのファクターを満たす上位300銘柄が対象。
将来の配当成長を期待するようなイメージです。
毎月分配金を支払うタイプのため、NISAの成長投資枠の対象外です。
直近2025年3月の分配金は0.155ドル、前年の同期との比較では8.8%減。
最近の分配金はやや停滞気味。3年増配率は2.5%とやや低いですが、10年増配率は7.9%と高いです。
VOO(バンガード・S&P 500 ETF)
【VOO】はS&P500指数が対象の市場全体インデックス。時価総額加重です。
高配当や増配ETFではありませんが、米国を代表する指数なので参考として紹介します。
純資産は約186兆円と、とてつもなく大きいです。
直近2025年3月の分配金は1.8121ドル、前年の同期との比較では17.4%増です。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。
増配率は6%強となかなか高水準です。
米国高配当増配12ETFの基本データ比較
今回紹介する12のETFの基本データ比較です。表内の赤字は最も優れているという意味です。
コンセプトをざっくり分類すると、高配当以外の条件が緩いのは、【SPYD】【DHS】【VYM】です。
財務健全性などの条件のある高配当ETFは【FDL】【SCHD】【DVY】【HDV】です。
増配系で分配金利回りが低めなのが【SDY】【DGRO】【VIG】【DGRW】。そして【VOO】が市場全体インデックス。
左から分配金利回りの高い順に並んでいます。今回のグラフは常にこの順番です。
銘柄数は【VYM】【VOO】が500以上、【DGRO】が400以上と多いです。分散効果が期待できそうです。
分配金は基本的に四半期タイプで、3、6、9、12月です。ウィズダムツリーの【DHS】【DGRW】は毎月タイプです。四半期タイプはNISA対象、毎月タイプはNISAの対象外です。
今後創設されそうなプラチナNISAでは毎月分配型が対象となりそうです。【DHS】は分配金利回りも高く、FIRE向けです。
購入できる種類は、【SCHD】【DGRO】は米国ETFは買えません。そのかわり、【SCHD】はSBIと楽天の投信版が買えます。【DGRO】は東証ETF【2014】が、中身が同じです。
【SPYD】【HDV】【VYM】【VIG】【VOO】は、米国ETF以外に、投信版や東証版が買えたりします。ちなみに、分配金の出ない投信については、対象外としました。
分配金利回りを比較
分配金利回りをグラフで確認しましょう。
2025年4月21日時点の分配金利回りです。過去12カ月の分配金から計算しました。
【SPYD】が4.71%と最も高く、【FDL】が4.37%、【SCHD】が4.15%。3%台が【DVY】【DHS】【HDV】【VYM】です。【SDY】より右は3%を切っています。
経費率を比較
続いて経費率に注目しましょう。
0.1%を切っているETFが7つあります。【SPYD】【SCHD】【HDV】【VYM】【DGRO】【VIG】【VOO】です。
ただし、【SCHD】は米国ETFは購入できず、投信版の信託報酬は0.1238%ほど。【DGRO】も米国ETFは購入できず、東証版【2014】の経費率は、0.121%ほどです。
ETFの規模を比較
ETFの規模をグラフにします。
【VOO】が186兆円と圧倒的ですが、高配当や増配ではありません。
増配系の【VIG】が14.4兆円ほどで規模が大きいです。
高配当系の中では、【VYM】が10.3兆円、【SCHD】が9.3兆円で、この2つが大きいです。
後は【DGRO】も4.1兆円ほどなので、なかなかの規模です。規模が小さいのは、【DHS】で1600億円ほどです。
セクターを比較しよう
ETF組入れ銘柄のセクター比率を比較します。GICSによる分類です。
比率が高いほど背景の色が濃くなっています。右端が合計の数値で、多い順に上から並んでいます。ETFは左から分配金利回りの高い順です。
合計比率の1位は金融で、多くのETFで上位に入っています。
合計比率の2位と3位は生活必需品とヘルスケアです。この2つのセクターは比較的ディフェンシブな銘柄が多く、安心できます。
情報技術は、左側の分配金利回りの高いETFに少なく、右側の分配金利回りの低いETFに多いです。【VIG】【DGRW】【VOO】には20%以上とかなり多いですね。
公益事業とエネルギーは、左側の分配金利回りの高いETFに多く、右側の分配金利回りの低いETFは少ないです。公益事業は【DVY】に27%とかなり多いです。エネルギーは【SCHD】と【HDV】が20%以上と多いです。
【SCHD】と【HDV】はかなり似ています。生活必需品、ヘルスケア、エネルギーが15%以上と多く、トップ3で共通しています。
コンセプトは【SCHD】が高配当・増配・健全性で、安定セクターを厳選。【HDV】は高品質な高配当で、財務健全なセクターに集中と似ているからですね。ただし、【SCHD】は今年3月の銘柄入れ替え前はエネルギーや生活必需品は10%前半とそれほど多くはなかったです。トランプ関税ショックに強いセクターが、銘柄入れ替えで増えたわけです。
資本財は、右側の分配金利回りの低いETFに多めで、とくに【SCHD】【SDY】【DGRO】【VIG】【DGRW】など増配を重視しているETFに多いです。
不動産は【SPYD】に24%も入っており、他のETFにはあまり入っていません。
【VYM】と【DGRO】は合計比率の多いセクターが多く、平均的という感じですか。
ETFの上位5セクターを比較
それぞれのETFの上位5セクターを抽出しました。
金融はすべてのETFでトップ5に入っています。1位が3ETFで、【VYM】【DGRO】【VIG】です。
生活必需品は【VOO】を除く11ETFでトップ5に入っています。1位は2ETFで【DHS】【HDV】。
ヘルスケアは【SPYD】【DVY】を除く10ETFでトップ5に入っています。1位は【FDL】だけです。
エネルギーと公益事業は左側の分配金利回りの高めのETFに多く、右端にはほとんど入っていません。
逆に情報技術は右側の分配金利回りの低いETFに多く、左側には入っていません。
最後に、【FDL】【DHS】【HDV】は上位5セクターが同じです。生活必需品、エネルギー、ヘルスケア、金融、公益事業です。この3つのETFは配当加重が共通点。規模と配当利回りの高い銘柄が上位に入るので、セクターが似るわけです。
トータルリターンを比較しよう
トータルリターンを比較します。年率です。まずは1年と3年。
1年は赤色の棒グラフです。【DHS】が18.8%で首位、【FDL】が17.7%で2位、【HDV】が13.1%で3位。【SPYD】【DVY】が12%台で続いています。
基本的に高配当が好成績です。エネルギー、生活必需品、ヘルスケア、公益事業が多いETFが強いですね。トランプ関税と高金利の影響で、ハイテクは低迷したので、右側の低配当系のリターンが冴えません。金融と情報技術の多いETFがイマイチです。
3年は青色の棒グラフです。【DGRW】が9.8%で首位、【FDL】が9.6%で2位、【VOO】が9.0%で3位です。【DHS】【HDV】【VYM】【VIG】が8%台で続いています。
3年は結構接戦で、高配当系の【FDL】【DHS】と低配当の【DGRW】【VOO】【VIG】が拮抗しています。
長期のリターンはどうか?
長期のリターンはどうでしょうか。
5年は緑色の棒グラフです。2020年4月頭から2025年3月末なので、コロナショックの底がスタート地点です。そのため、かなり高いリターンとなっています。一番低いのでも【SDY】の14.3%です。
【FDL】が首位で19.4%、【VOO】が18.6%で2番手、17%台の【SPYD】【SCHD】【DGRW】が3番手グループです。【FDL】は、1年、3年に続き、5年もトップクラスです。
10年はオレンジ色の棒グラフです。長期のイメージ通りの結果です。
【VOO】が12.5%で首位、【DGRW】が12.1%で2番手、【DGRO】【SCHD】【VIG】が11%台で3番手です。10年はハイテク主導の【VOO】、増配の【DGRW】が強く、増配と健全性の【SCHD】【DGRO】【VIG】も良かったです。
全体的に見ると、トランプ関税ショックでハイテク関連のダメージが大きいので、1年は高配当が優勢。3年と5年は混戦模様。10年は、これまでのイメージとだいたい同じ結果で、低配当のハイテク多めが強かったです。
【FDL】が想像よりも良かったです。
トータルリターン(年率)、リスク、シャープレシオを比較
トータルリターン(年率)、リスク、シャープレシオを比較します。
縦軸がトータルリターン(年率)、横軸がリスク、括弧内の数値がシャープレシオです。
シャープレシオは投資効率の良さを示したものです。トータルリターンが高く、リスクが低いと、シャープレシオは高くなります。表の左上がローリスク・ハイリターンで理想です。右下がハイリスク・ローリターンで良くないです。スタート地点は0%ではありません。
まずは3年のデータです。
シャープレシオは【DGRW】が0.41で首位、【FDL】が0.37で2番手、【VOO】が0.34で3番手。4番手グループが【HDV】【VIG】【VYM】【DHS】で、0.30と0.31です。
リターンは【DGRW】が9.8%で首位、【FDL】が9.6%で2位、【VOO】が9.0%で3位です。
リスクは、【HDV】が14.9%と最も低く、【DGRW】、【VIG】、【DGRO】が15%強と2番手グループです。
成績の良いグループだと、【FDL】【VOO】がハイリスク、ハイリターン。【DGRW】【VIG】【HDV】がローリスク、ハイリターンですね。
5年シャープレシオは?
続いて5年です。
シャープレシオは【FDL】が0.99で首位、【DGRW】が0.98で2番手、【VOO】が0.94で3番手。4番手グループは【SCHD】【VYM】が0.91です。
リターンは【FDL】が19.4%、【VOO】が18.6%。【SPYD】【SCHD】【DGRW】が17%台で3番手グループ
リスクはVIG、【DGRW】、【VYM】が15%、【HDV】【DGRO】が15.3%と低いです。
成績の良いグループだと【FDL】と【VOO】がハイリスク、ハイリターン。ローリスク、ハイリターンは【DGRW】が頭一つ抜けています。
10年シャープレシオは?
最後は10年です。【SPYD】は9年5カ月のデータです。
期間が10年と長いと、成績が似てきます。
シャープレシオは【DGRW】が0.74で首位、【VOO】【VIG】が0.72で2番手グループ。その後は【DGRO】が0.70、【SCHD】が0.68と続きます。
リターンは【VOO】が12.5%で首位、【DGRW】が12.1%で2番手。【VIG】【DGRO】【SCHD】が11.4%前後で3番手です。
リスクは【VIG】が13.7%で一番低く、【HDV】【VYM】【DGRO】【DGRW】が14.3%前後で2番手グループです。
10年は結構混戦で、成績の良いグループだと【VOO】【FDL】がハイリスク、ハイリターン。【VIG】【DGRW】【DGRO】がローリスク、ハイリターン、【SCHD】がミドルリスク、ハイリターンですね。
全体的に見ると、シャープレシオは低配当では【VOO】【DGRW】が良く、高配当では【FDL】が素晴らしかったです。
リスクは、低配当では【VIG】【DGRW】【DGRO】、高配当では【HDV】が低くて素晴らしかったです。【SPYD】のリスクは毎回ぶっ飛んでいました。
コロナショックと2025年の最大ドローダウンやリターンを比較
2025年はトランプ関税ショックの影響で、株価が軟調です。そこで、現在の2025年と、2020年のコロナショックの成績を比較します。
縦軸が最大下落率、横軸が分配金利回り、円のサイズと近くの数値は2020年や2025年のリターンです。
まずはコロナ・ショックのあった2020年の1年間のデータです。2月から4月にかけて市場は急落、年末に急回復しました。
右側の高配当ETF、【SPYD】【FDL】【DVY】は最大下落率が大きく、【SPYD】はマイナス46.2%と最大。エネルギーや金融株が大打撃を受けました。
左側の低配当ETF、【VIG】【DGRW】は優秀。この2つは重なっています。【VIG】【DGRW】の最大下落率はマイナス32%前後と耐えており、テクノロジー株の回復が支えました。
リターンは【VOO】が18.3%でトップ、【VIG】15.4%、【DGRW】13.8%。
高配当ETFは【SPYD】がマイナス11.5%などマイナス多数。そんな中、【SCHD】が素晴らしかったです。最大下落率マイナス33.4%で、【VOO】より優秀。リターン15.1%は【VIG】とほぼ同じです。
2020年はテクノロジー中心のV字回復。高配当のバリュー株は苦戦しましたが、【SCHD】は【VIG】【DGRW】らと互角でした。
2025年に耐えたETFは?
次は2025年、年初から4月22日までのデータです。トランプ関税や高金利、インフレ、景気懸念で株価が下落しています。
右側の高配当ETF、【HDV】【DHS】【FDL】【SDY】が善戦しています。【HDV】は最大下落率マイナス10.5%で最小。
左側の低配当ETF、【VIG】【DGRW】は最大下落率マイナス15.0%前後と下落しています。テクノロジー株が関税や金利で苦戦しています。【VOO】は最大下落率マイナス18.7%と最大、リターンはマイナス9.6%。市場平均が低迷しています。
リターンは【HDV】が1.9%でプラス。【FDL】【DHS】【SDY】は0%前後。【SCHD】はマイナス5.8%ですが、【VOO】よりはマシです。高配当ETFは情報技術の比率が低く、ダメージが少なかったです。
2025年はどんなセクターが強かったか?
こちらは先ほど紹介した12ETFの上位5セクター。
2025年の最大下落率は【HDV】【DHS】【SDY】【FDL】が良かったです。
4つのETFの共通点は、生活必需品、ヘルスケア、公益事業がトップ5に入っていました。それゆえ、耐性があったと言えます。
逆に情報技術がトップ5の【VOO】【DGRW】【VIG】【DGRO】【VYM】は、耐性がなかったです。
2020年はコロナで高配当やバリュー株が大下落、テクノロジーはV字回復。2025年は関税ショックでテクノロジーが苦戦、高配当は安定。正反対の結果ですね。【SCHD】はどんな状況でも、まずまず頼れる存在です。
増配率を比較しよう
それでは増配率を見ていきましょう。
表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景ピンク色がマイナスです。
表の下段は現在を起点とした1、3、5、7、10年増配率。年平均の増配率(CAGR)です。
背景のオレンジ色が濃いほど、増配率が高いという意味です。
この部分をグラフで確認しましょう。
1年増配率は?
まずは1年増配率です。
【SCHD】が16.7%と最も高く、【HDV】が10.5%で2番手、【VIG】が9.9%で3番手。
【VOO】【DVY】【VYM】が8%台で続いています。
1年増配率はマイナスがおらず、なかなか優秀です。
3年、5年増配率は?
続いて、3年と5年の増配率です。
3年増配率は青色の棒グラフで、【DHS】が11.6%で首位、【SCHD】が11.3%で2番手。この2つが抜けています。
3番手グループは【FDL】が9.0%、【DVY】と【DGRO】が8.9%です。
5年増配率はオレンジ色の棒グラフで、【SCHD】が11.4%で首位、【VIG】が11.1%で2番手。この2つが抜けています。
【DGRO】が7.6%で3番手、【VYM】【FDL】が6%前後で4番手です。
いまのところ、【SCHD】がすべてで首位グループです。
7年、10年増配率は?
続いて7年と10年増配率です。
7年増配率は緑色の棒グラフで、【SCHD】が13.5%で断トツ首位です。
【DGRO】【VIG】が9.4%で2番手グループ、【FDL】が8.6%で続き、【DGRW】が7.7%です。
10年増配率は紫色の棒グラフです。【DGRO】【SPYD】はありません。
【SCHD】が11.3%でまたしても断トツ首位です。
2番手グループは混戦で、【DGRW】【FDL】【VIG】【DVY】が7%台です。
総合的に見ると、【SCHD】が断トツでした。3年増配率だけわずかに【DHS】に及びませんでしたが、残りは全てトップ。しかも2位を引き離すことが多かったです。
長期の増配率では【FDL】【VIG】【DGRO】【DGRW】【DVY】が2番手集団ですね。
将来YOCはどうなるか
それでは、いまETFを購入したら、将来、取得価額に対する利回り(YOC)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。
現在の分配金利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。
3年、5年、7年、10年の増配率を使用します。「分配金は再投資しない。税引き前」という設定です。
現在の分配金利回りは【SPYD】が4.71%と最も高く、【FDL】【SCHD】【DVY】【DHS】【HDV】【VYM】と続いています。
まずは3年増配率を使った将来YOC予想です。
3年増配率は【DHS】が11.6%と最も高く、【SCHD】が11.3%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で31.6%です。2番手は【DHS】で30.4%、3番手が【FDL】で22.4%でした。
5年増配率を使った将来YOC予想
続いて5年増配率を使った将来YOC予想です。
5年増配率は【SCHD】が11.4%と最も高く、【VIG】が11.1%で2番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で32.5%、2番手は【VIG】で14.5%、3番手は【FDL】で13.3%でした。
3年増配率に続き、【SCHD】が首位でした。
7年増配率を使った将来YOC予想
それでは7年増配率を使った将来YOC予想です。
7年増配率は、【SCHD】が13.5%で最も高く、【DGRO】【VIG】が9.4%で続いています。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で46.4%、2番手は【FDL】で21.0%、3番手は【DVY】【DGRO】で14%前後でした。
7年増配率も【SCHD】が首位でした。
10年増配率を使った将来YOC予想
最後は10年増配率を使った将来YOC予想です。【SPYD】【DGRO】はありません。
10年増配率は【SCHD】が11.3%で最も高く、【DGRW】【FDL】【VIG】【DVY】が7%台で続いています。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で31.8%、2番手は【FDL】で17.9%、3番手はDVYで14.9%でした。
全体的に見ると、【SCHD】が毎回首位で、他を大きく引き離していました。現在の分配金利回りが4.15%と高く、増配率も首位なので、将来YOCは圧倒的になります。それ以外だと、【FDL】【DVY】【DHS】が頻繁に上位に顔を出していました。
それぞれの項目をランク分け
これまで取り扱ったデータをランクづけしました。「A」が最高で「B」「C」「D」の順です。「S」はありえないほど最高の場合です。
相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。
上の6つが基本データ、下の7つが成績ですね。下を重視する人が多いかもしれません。
上の6つが良かったのは【VYM】【VIG】【VOO】です。バンガードのETFはコストが低く、規模が大きく、良質なETFが多いです。
下のデータだと、【SCHD】は増配率と将来YOC予想は「S」で圧倒的でしたが、それ以外は「B」が目立ちます。リターンやシャープレシオはそれほど高くないですね。
【FDL】は下の7つの内5つが「A」評価。分配金利回り、リターン、シャープレシオ、増配率、将来YOC予想です。将来YOC予想は現在の分配金利回りに、増配率を掛けたものなので、重複しているわけですが。
高配当系の中では、【DHS】が下の7つのデータが「A」と「B」だけでした。なかなかの安定度があります。
今回新たに調べた下落耐性は、【DHS】【HDV】【SDY】が「A」評価。【HDV】と【SDY】は想像できましたが、【DHS】が「A」評価というのが意外でした。
ランキングの数をまとめると?
「S」「A」「B」「C」「D」の数値をまとめたデータです。
「S」の数は【SCHD】が2つ、【VOO】が1つありました。
「A」の数は【FDL】【VYM】【VIG】が5個で最多。
「B」の数は【DHS】【VIG】が7個で最多です。
「S」「A」「B」を合わせた数は【VIG】が12個、【VYM】が11個、【SCHD】が10個。これがトップ3。4位以下は【DHS】と【DGRO】が9個、【HDV】と【VOO】が8個と全体的に混戦でした。
まとめ
✅2025年3月の高配当&増配ETFの分配金が決定。ほとんどが対前年同期プラス
✅【SPYD】は現在の分配金利回りを追求するタイプ。意外とトータルリターンがいい
✅【FDL】は分配金利回り、リターン、シャープレシオ、増配率が素晴らしく、高配当のお手本
✅【SCHD】は高配当、増配、財務の健全性と三拍子が揃ったETF。とくに増配率が圧倒的
✅【DVY】は安定配当と財務健全性がコンセプト。長期増配実績があり
✅【DHS】はオーソドックスな高配当ETF。安定セクターが多く、下落耐性が意外とある
✅【HDV】はディフェンシブな高配当ETF。軟調相場で強く、リスクも低い
✅【VYM】は高配当ETFの王道。ほとんどの項目で平均点以上の成績
✅【SDY】は歴史のある増配ETF。やや地味だが、軟調相場で力を発揮するタイプ
✅【DGRO】は5年以上の配当成長が対象。リスクが低く、増配率が高い優等生タイプ
✅【VIG】は10年連続増配銘柄が対象。全体的に優秀で、守備力があり、増配率も高い
✅【DGRW】は将来の配当成長を狙う。リターン、リスク、シャープレシオがいずれも高水準
✅【VOO】はS&P500が対象。2025年は苦戦中だが、長期で見れば回復するはず













