2024年9月の米国高配当ETFの分配金が出揃いましたので、最新データを比較します。対象はVYM、HDV、SPYD、SCHD、DHS、FDL、DVYの7つの高配当ETFと、S&P500ETFのVOOです。
【SCHD】の米国上場ETFは購入できませんが、楽天証券が投資信託版を出しているので、米国上場の【SCHD】のデータを見ることで、参考になると思います。
分配金の傾向、リターン、リスク、シャープレシオ、増配率、分配金利回り、将来YOC予想、上位銘柄、セクター、経費率、ETFの規模などを比べます。
序盤は米国高配当ETF6月分配金について
前半は、高配当ETFの基本データと分配金の傾向
中盤は、配当ETFの上位組入銘柄やセクターの比較
後半は、トータルリターン、シャープレシオ、分配金利回り、増配率などを比較
最後に、項目ごとにランク分けして比較
2024年9月の分配金を確認しよう
まずは、直近の2024年9月の分配金データと前年同期との比較です。
表の一番下が前年同期との比較です。いずれも前年同期と比較してプラスでした。背景の黄色が濃いほど、プラスが大きいという意味です。
最もプラスが大きかったのが【SCHD】で15.3%増でした。【HDV】が14.0%増。残りは一桁の増配でした。いずれも好調でした。
米国高配当8ETFの基本データ比較
今回紹介する8つのETFの基本データを確認しましょう。基本的に米国の高配当ETFですが、一番右はS&P500が対象の【VOO】です。参考として比較対象に入れます。数値が赤色は、他のETFよりも秀でているという意味です。
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左から【VYM】、【HDV】、【SPYD】、【SCHD】、【DHS】、【FDL】、【DVY】、【VOO】の順に並んでいます。今回のコンテンツのデータは基本的にこの順番で並びます。
経費率はどのETFが低いか?
経費率をグラフにします。
【VYM】、【HDV】、【SPYD】、【SCHD】、【VOO】は0.1%を切っており、かなり低いですね。
【DHS】と【DVY】は0.38%とやや高いです。
そして【FDL】は0.45%なので、結構高いです。経費率が高いと長期のリターンに影響すると言われます。ところが【FDL】の長期リターンはこの中でもなかなか良いです。
ETFの規模はどうか?
続いてETFの規模である運用資産総額を比較します。
高配当ETFの中では【VYM】と【SCHD】が10兆円前後で飛び抜けています。二強と言っても過言ではないですね。その次は【DVY】で約3兆円で、【HDV】が1.7兆円ほどで続いています。
基本データの細かい比較
こちらは基本データのその2です。
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一番上が日本の主要ネット証券で米国ETFを購入できるかどうか。【SCHD】だけが購入できません。
続いて、米国ETFが成長投資枠の対象かどうかです。毎月分配型の【DHS】は、成長投資枠の対象ではありません。
東証ETFとして上場しているかどうかについては、【HDV】が2013として上場しています。
さらに投資信託版については、【VYM】と【SPYD】の投資信託版がSBI証券で購入可能です。
そして【SCHD】の投資信託版は楽天証券で購入可能です。この投資信託は9月末から購入可能になったのですが、1カ月足らずで400億円ほどの規模になりました。スゴイ売れ行きですね。
※SBIアセットからもSCHDの投信版「SBI・SCHD」が2024年12月20日に登場。SBI証券でも購入可能となります
分配金利回りの傾向は?
2024年10月21日時点の分配金利回りについて見ていきます。過去12カ月の分配金から計算しました。
【FDL】が4.11%、【SPYD】が4.06%で、この2つが高いです。
【DHS】が3.64%、【DVY】が3.45%、【SCHD】が3.43%、【HDV】が3.35%です。このあたりは似ていますね。
【VYM】は少し下がって2.79%です。
S&P500が対象の【VOO】は高配当ではありませんが1.26%です。
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
ここからは6つのETFの概要と分配金の傾向を見ていきます。
まずは【VYM】。米国の上場企業から、平均以上の配当利回り銘柄を集めて、時価総額加重平均で組み入れたETFです。
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【VYM】は米国上場の高配当ETFの中で最も規模が大きいETFです。運用資産総額は11兆円ほどあります。規模が大きいというのは、ETFが売れていると同時に、取引価格上昇の実績もあるという意味です。
今回の2024年9月の分配金は0.8511ドルで、前年同期と比べて8.5%増です。
分配金を1年単位で見ると、2011年以降、13年連続で増配しています。増配率は5~6%台ですね。
HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF)
【HDV】はは他社に対して優位性のあるビジネスモデル、財務の健全性でスクリーニングをかけて、条件が合った中から、配当利回りの高い75銘柄を選びます。
財務状況が健全かつ比較的配当を多く支払う銘柄が対象のETFです。
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運用資産総額は1.7兆円ほどです。
年4回銘柄を入れ替えるので、中身が頻繁に変化します。下落相場では強いですが、上昇相場における価格上昇が今ひとつの場合が多いです。
直近2024年9月の分配金は1.2295ドル、前年の同期との比較では14%増です。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。増配率は10年で5%ぐらいです。
SPYD(SPDR ポートフォリオ S&P500高配当株式ETF)
【SPYD】はS&P500指数の中から、基本的に配当利回りの高い80銘柄が対象のETFです。
均等組み入れで、年2回、1月と7月末に銘柄の入れ替えがあります。運用総額は約1兆円とまずまずです。分配金利回りは4.06%と高いですね。
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直近2024年9月の分配金は0.4571ドル、1年前の同期と比べて3.7%増です
【SPYD】は均等加重のため、銘柄入れ替え時に中身が大幅に変化します。そのため分配金は多い時と少ない時の差が激しいです。ただし、何回か連続で分配金が多い、もしくは少ないということはないので、1年単位でみると、落ち着いています。
分配金の傾向は、わずかに増えているとも言えます。増配率は2%ぐらいです。
SCHD(シュワブ・米国配当株式ETF)
【SCHD】は配当利回り、銘柄の規模、財務の健全性、効率的に稼ぐ力、過去5年増配率などを重視したETF。時価総額加重です。
現在のところ、楽天証券で投資信託のみ購入可能です。
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運用資産総額は10兆円ほどあり、規模は【VYM】といい勝負です。
直近2024年9月の分配金は0.2515ドル、1年前の同期と比べて15.3%増です。10月に1対3の分割があったので、それに合わせて分配金も1/3にしました。
分配金を1年単位で見ると、鮮やかに伸びています。毎年増配しています。増配率は11%ぐらいとかなり高いです。
DHS(ウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド)
【DHS】は配当利回り上位30%が対象のETFで、配当加重方式を採用しています。基本的に時価総額が大きく、配当利回りの高い銘柄が上位に入ります。割安度や株価推移なども考慮して、銘柄の比率が決まります。
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運用総額は約1800億円とやや物足りないです。
毎月分配型というのがうれしいですが、そのため新NISAの成長投資枠の対象外です。
直近2024年9月の分配金は0.33ドル、前年の同期との比較では4.8%増です。
【DHS】は同じ月の分配金を比較してもバラバラなので、前年同期比較はあまり意味がないです。1年単位で増えているかどうかをチェックするのがいいですね。2023年はかなり増えましたね。2022年との比較では、20.5%も増えました。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。増配率は10年で6~7%となかなか高いです。
FDL(ファースト・トラスト・モーニングスター・ディビデント・リーダーズ・インデックス・ファンド)
【FDL】は5年間の配当成長率がプラス、配当性向100%以下でスクリーニングし、これらの条件に合う配当利回り上位100銘柄が投資対象です。リートは対象外です。
配当加重なので、配当利回りが高く、かつ時価総額の大きい銘柄が上位になります。
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運用資産総額は6700億円ほど。経費率が0.45%とやや高めです。
直近2024年9月の分配金は0.3881ドル、前年の同期との比較では7.5%増です。
分配金は2020年から2022年は横ばいでしたが、2023年に一気に増えました。2022年との比較では、25.8%増です。
2024年の3回の分配金も前年を上回って、好調を維持しています。
増配率は8%ぐらいとかなり高水準です。分配金利回りが高く、増配率も高い高配当ETFです。どちらも高いのは、なかなかレアケースです。
DVY(iシェアーズ 好配当株式 ETF)
【DVY】は財務が健全で、配当の支払い実績と余力があり、中規模以上の企業でスクリーニングして、条件に合う100銘柄を選びます。配当利回り加重です。
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設定されたのは2003年と古株です。運用資産総額は約3兆円と大きいです。経費率は0.38%とやや高め。
直近2024年9月の分配金は1.5496ドル、前年の同期との比較では5.8%増です。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。リーマンショック後の2010年から、ほぼ毎年上がっていますね。
増配率は7%前後となかなか高水準です。
VOO(バンガード・S&P 500 ETF)
最後は【VOO】。高配当ETFではなく、S&P500指数が対象のインデックス。時価総額加重です。
規模は約192兆円ととてつもなく大きいです。SP500が対象のETFは【SPY】と【IVV】もあり、いずれも全米のトップ3の規模を誇っています。
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直近2024年9月の分配金は1.6386ドル、前年の同期との比較では9.8%増です。
分配金は長期で見ると堅実に増配しています。増配率は7%ぐらいとなかなか高水準です。
米国高配当の上位銘柄、セクター比較、重複率
ここからは7つの米国高配当ETFを比較します。参考までに【VOO】のデータも入れますが、基本的に高配当同士を比較します。
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まずは上位10銘柄比較。銘柄が赤色は、3つ以上のETFで上位10位に入っているという意味です。
エネルギーのエクソン・モービル【XOM】、シェブロン【CVX】、タバコのアルトリア・グループ【MO】、フィリップモリス【PM】、ヘルスケアのアッヴィ【ABBV】、通信サービスのベライゾン【VZ】の6銘柄です。いずれも高配当のおなじみ銘柄ですね。
【DHS】と【FDL】は3ETF以上に入っている銘柄が5つあり、【HDV】は4銘柄あります。この3つのETFは共通点が多いです。配当加重方式、上位銘柄の組入れ比率が高く、上位銘柄も結構似ています。
上位10銘柄の比率はFDLと【HDV】が54%とかなり集中投資で、【SCHD】が41%、【DHS】が39%と続いています。
【VYM】は時価総額加重で配当利回りが平均以上の銘柄が対象です。そのため、高配当というより、中配当ぐらいの銘柄が目立ちます。JPモルガン・チェース【JPM】、プロクター・アンド・ギャンブル【PG】、ホーム・デポ【HD】などですね。他の高配当ETFと少し毛色が異なります。
【SPYD】はSP500銘柄の配当利回り上位80銘柄が対象で均等加重なので、あまり上位銘柄は意識する必要はないです。他のETFと比べて、マイナー銘柄が目立ちます。
【SCHD】はスクリーニングの条件が結構厳しいため、他の高配当ETFの上位銘柄が入っていないケースも目立ちます。
【DVY】は配当利回り加重なので、配当利回りの高い銘柄が上位です。そのため、ややマイナー銘柄が上位に入っています。ポートフォリオのコアというよりは、サテライト向きですね。
セクター比率を比較しよう
セクター比率を比較します。
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高配当ETFは金融が首位か2番手のケースが多いです。
【HDV】は財務の健全性を重視するため、金融が5%ほどと少ないです。
【VYM】と【SCHD】は結構似ています。首位が金融で、2~4位に生活必需品、ヘルスケア、資本財が入っています。この2ETFは、首位の比率が低く、バランスがいいですね。
【DHS】と【FDL】も少し似ています。上位5セクターが金融、エネルギー、公益事業、生活必需品、ヘルスケアです。金融が少ないのを除くと、【HDV】もやや似ています。
【SPYD】と【DVY】もやや似ています。公益が首位か2位で多いですね。
【SPYD】は不動産が首位なのが貴重です。
ETFの重複率は?
重複率を見ていきます。
【HDV】、【DHS】、【FDL】の3つは重複率が高いです。どの組み合わせでもほぼ40%以上あり、【DHS】と【FDL】は50%もありますね。上位銘柄とセクターが似ていましたので、この結果は予想通りですね。
そして、【SPYD】と【DVY】、は44%と重複しています。こちらも、先ほどのセクターが似ていましたので、中身も重複しているというわけですね。
【VYM】は【DGRO】【VIG】【DGRW】など増配系との重複率がかなり高いです。【VYM】は高配当よりも、増配系や市場全体に近いイメージです。
【SCHD】はどのETFとある程度の距離を置いているイメージです。【FDL】や【HDV】と30%台後半なので、やや近いです。
保有銘柄の規模は?
保有銘柄の規模を比較します
高配当ETFの中では【VYM】、【HDV】が超大型株や大型株の比率が高いです。
【SCHD】、【FDL】も大型株の割合はまずまず多いです。
【SPYD】と【DVY】は中型株が多めです。高配当ETFの中では、規模が小さい銘柄が多めと言えます。
【DHS】は超大型株も小型株もそれなりにあり、幅広いです。
リターンを比較する
プライスリターンとトータルリターンを比較します。
まずはプライスリターンです。【SPYD】の設定が2015年10月なので、2016年10月から2024年9月の過去8年で比較します。
8年前に1万ドルを投資した場合、高配当ETFの中では、2024年9月末には【SCHD】が1万9979ドルでトップ、【VYM】が1万7771ドルで2位。以下、【DVY】、【FDL】、【HDV】、【DHS】、【SPYD】と続いています。
トータルリターンは?
続いてトータルリターン。こちらも8年間です。
8年前に1万ドルを投資した場合、高配当ETFの中では、2024年9月末には【SCHD】が2万6045ドルでトップ、【VYM】が2万2863ドルで2位。以下、【FDL】、【DVY】、【HDV】、【SPYD】、【DHS】と続いています。
再投資した場合だと、FDLや【SPYD】など配当利回りが高めのETFが、プライスリターンよりも良いですね。
短期のリターンは?
リターンを年率で比較します。2024年9月末基準のデータです。
まずは1年と3年。
1年リターンは【SPYD】が36.2%と好調。【FDL】、【DVY】が30%強でなかなかですね。
3年リターンは【FDL】が13.7%で首位。2番手グループは【HDV】や【DHS】で11%台です。
長期のリターンは?
続いて5年以上のリターンです。
5年リターンは【SCHD】が13%で首位、【VYM】と【FDL】が11.1%で2番手です。
7年リターンも【SCHD】が12.5%で首位、【VYM】と【FDL】が10%台で2番手グループです。
10年リターンも【SCHD】が11.7%で首位、【FDL】、【VYM】、【DVY】が10%台で2番手グループです。
長期のリターンは【SCHD】が断トツで、【VYM】と【FDL】が続き、差なく【DVY】が追っている感じです。
トータルリターンとシャープレシオ、リスクを比較
トータルリターン、リスク、シャープレシオを比較します。縦軸がトータルリターン、横軸がリスク、括弧内の数値がシャープレシオです。
シャープレシオは投資効率の良さを示したものです。トータルリターンが高く、リスクが低いと、シャープレシオは高くなります。
表の左上がローリスク・ハイリターンで理想です。右下がハイリスク・ローリターンで良くないです。
まずは3年です。【VOO】のデータも入れておきますが、比較対象ではないです。
リターンは【FDL】が13.7%でトップで、シャープレシオも0.62で首位。
【HDV】がリターンは11.8%でリスクも低いのでシャープレシオは0.58で2番手。
【VYM】と【DHS】はシャープレシオが0.51で3番手グループです。
5年のシャープレシオを比較
続いて5年です。
リターンは【SCHD】が13.0%でトップで、シャープレシオも0.65で首位。
【VYM】と【FDL】はリターンが11.1%で同じですが、【VYM】はリスクが低いのでシャープレシオは0.57と0.52と差がつきました。
7年のシャープレシオを比較
7年を見ていきましょう。
ここでもリターンは【SCHD】が12.5%でトップで、シャープレシオも0.66で首位。
【VYM】と【FDL】はリターンが10%強でほぼ同じですが、【VYM】はリスクが低いのでシャープレシオは0.55と0.51と差がつきました。5年と同じですね。
10年のシャープレシオを比較
最後は10年です。【SPYD】はありません。
ここでもリターンは【SCHD】が11.7%でトップで、シャープレシオも0.72で首位。
【VYM】、【FDL】、DVYはリターンが10%強でほぼ同じですが、【VYM】はリスクが低いのでシャープレシオは0.64と高いです。【FDL】は0.61、【DVY】は0.59でした。
【HDV】と【DHS】は5、7、10年いずれも似たような成績です。
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全体的に、【SCHD】のシャープレシオの高さが目立ちました。ただし3年は良くなかったです。
【VYM】はリターンが高く、リスクは低く、シャープレシオはまずまず。
【FDL】はリターンは高いですが、リスクも高かったです。【DVY】も似た傾向で、リターンがFDLより少し劣っていました。
【HDV】と【DHS】はいずれの値も似ていました。【SPYD】は苦戦していました。
分配金利回り推移を確認しよう
それでは過去10年の分配金利回りの推移を比較しましょう。分配金利回りは過去1年分配金から算出しました。市場価格は月に1度、月末の終値です。
10年で8ETFもあると、少しわかりづらいですね。
過去の分配金利回りの平均は?
過去3年の分配金利回り推移を見てみましょう。
現在の分配金利回りが一番右端の数値です。現在は【FDL】が4.11%で一番高く、【SPYD】が4.06%で2番手です。【SPYD】がずっと高かったですが、直近になって【FDL】が逆転しました。
緑色の【DHS】が3番手です。
【DVY】、【SCHD】、【HDV】は時期によって競っています。
【VYM】は常に一番低いですね。
過去の分配金利回りの平均は?
現在の分配金利回りと、過去3、5、7、10年の分配金利回りの平均です。
現在の分配金利回りと過去10年平均を比較しましょう。
【VYM】、【HDV】、【SPYD】は過去10年平均と比べて、現在の分配金利回りが低いですね。
【SCHD】、【FDL】は過去10年平均と比べて、現在の分配金利回りが高いですね。
【DHS】、【DVY】は過去10年平均と比べて、現在の分配金利回りが少し高いです。
過去に購入した場合の、現在YOC、分配金額は?
過去にETFを購入していた場合、現在、取得価額に対する利回り(YOC)はどのくらいになっているかというグラフです。
いわゆる自分利回りというやつです。グラフが左肩上がりなら、増配しており、価格も好調というイメージです。
一番右端の数値が現在の分配金利回りです。それぞれのETFの一番左端の数値が、10年前に購入していた場合の現在のYOCです。
最も素晴らしいのが【SCHD】です。現在の分配金利回りは3.43%で、10年前に購入したら7.46%になっていました。
【FDL】も素晴らしいです。現在の分配金利回りは4.11%で、10年前に購入したら7.14%になっていました。
【DVY】は現在の分配金利回りは3.45%で、10年前に購入していたら5.97%です。
他のETFも10年前に購入していたら、5%台になっていました。【SPYD】は設定から8年ほどですが、5.4%ほどになっています。
これまでの分配金の合計は?
8年前に1万ドル購入して、分配金を再投資した場合の毎年貰える分配金額の推移です。【SPYD】のデータは10年がないので、8年にしました。
8年間の合計は【SPYD】が4952ドルと多く、【FDL】が4652ドルで続き、【SCHD】が4536ドル、【DVY】が4056ドル、【DHS】が3979ドル、【HDV】が3959ドル、【VYM】が3776ドルでした。
最初の頃は【SPYD】が圧倒的ですが、後半になると【FDL】が増え、終盤は【SCHD】がトップになっています。
これは【SCHD】の増配率がかなり高く、【FDL】も増配率がなかなか高く、【SPYD】は増配率が低いことを意味しています。
過去の増配率は?
増配率を見ていきましょう。表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景ピンク色はマイナスです。
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表の下段は現在を起点とした1、3、5、10年増配率。年平均をCAGR(Compound Annual Growth Rate/年平均成長率)で計算します。背景のオレンジ色が濃いほど、増配率が高いという意味です。
1年、3年増配率をグラフ化
先ほどの表の下の部分をグラフにします。まずは1年と3年の増配率です。
【FDL】が1年増配率13.6%、3年増配率12.0%と最も高いです。
【SCHD】は1年増配率11.9%、3年増配率9.5%で、どちらも2番目に高いです。
【VYM】は1年増配率8.3%、3年増配率7.0%で、どちらも3番目に高いです。
【DVY】は1年増配率7.9%、3年増配率6.9%で、どちらも4番目に高いです。
5年、7年、10年増配率をグラフ化
続いて5、7、10年増配率です。
こちらは【SCHD】が5年増配率12.0%、7年増配率11.1%、10年増配率11.1%といずれも最も高いです。
【FDL】は5年増配率7.2%、7年増配率9.2%、10年増配率8.2%でいずれも2番目の成績です。
【DVY】は5年増配率6.1%、7年増配率7.3%、10年増配率7.2%でトータルで考えると3番目の成績です。
【DHS】は5年増配率6.5%、7年増配率6.6%、10年増配率7.0%でトータルで考えると4番目の成績です。
【VYM】は5年増配率5.3%、7年増配率5.9%、10年増配率6.8%でトータルで考えると5番目の成績です。
総合的に見ると、【SCHD】は長期増配率が圧倒的で、【FDL】はどの期間も素晴らしかったです。3番手は混戦ですが、【DVY】、【VYM】、【DHS】の順番でしょうか。
増配率、分配金利回り、トータルリターンを比較しよう
増配率、分配金利回り、リターンをバブルチャートで比較します。
縦軸が増配率、横軸が分配金利回り、バブルの大きさがリターンです。バブルの近くの数値もリターンです。右上が素晴らしく、さらにバブルの大きいと申し分ないという意味です。
【VOO】も入れておきますが、比較対象としては触れません。
まずは3年です。
増配率は【FDL】が12.0%と高いです。
分配金利回りは【SPYD】が4.4%と高水準です。
リターンは【FDL】が13.7%、【HDV】が11.8%、【DHS】が11.1%と高水準です。
5年データを比較する
続いて5年です。
増配率は【SCHD】が12.0%で圧倒的に高いです。
分配金利回りは【SPYD】が4.7%と高いです。
リターンは【SCHD】が13.0%と素晴らしく、【VYM】と【FDL】が11.1%となかなかです。
7年データを比較する
7年を見ていきましょう。
増配率は【SCHD】が11.1%で最も高いです。
分配金利回りは【SPYD】が4.6%と高いです。
リターンは【SCHD】が12.5%と素晴らしく、【VYM】と【FDL】が10.0%強となかなかです。
5年とほぼ同じ結果ですね。
10年データを比較する
最後は10年を見てみましょう。【SPYD】はありません。
増配率は【SCHD】が11.1%で最も高いです。
分配金利回りは【FDL】が3.8%と高いです。
リターンは【SCHD】が11.7%と素晴らしく、【FDL】、VYM、DVYが10.0%強となかなかです。
5年や7年とほぼ同じ結果ですね。
全体的に見ると、増配率は【SCHD】が圧倒的で、2番手は【FDL】。
分配金利回りは【SPYD】が良く、2番手は【FDL】。
リターンは【SCHD】がトップで、【FDL】と【VYM】が続いており、【DVY】もなかなかでした。
この3項目だと、【SCHD】が素晴らしく、2番手はFDLですね。
3、5、7、10年増配率を使った将来YOC予想
それでは、いまETFを購入したら、将来、取得価額に対する利回り(YOC/Yield On Cost)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。
現在の分配金利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。3年、5年、10年の増配率を使用します。「分配金は再投資しない。税引き前」という設定にします。
現在の分配金利回りは【FDL】が4.11%と最も高く、【SPYD】が4.06%、【DHS】が3.64%、【DVY】が3.45%、【SCHD】が3.43%、【HDV】が3.35%、【VYM】が2.79%です。
まずは3年増配率を使った将来YOC予想です。【VOO】のデータもありますが、比較対象としては入れません。
3年増配率は【FDL】が11.96%と最も高く、【SCHD】が9.54%で2番手、【VYM】と【DVY】が7%弱で3番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【FDL】で35.2%と断トツです。2番手は【SCHD】で19.4%、3番手が【DVY】で12.3%でした。
ちなみにこれは【FDL】に100万円投資した場合、分配金を再投資しなくても、3年増配率のペースだと、1年目の分配金は税引き前で4万1000円、増配によって、20年目には税引き前で35万2000円まで上がるという意味です。
5年増配率から将来YOCを予想する
続いて5年増配率を使った将来YOC予想です。
5年増配率はSCHDが12.00%と最も高く、FDLが7.17%で2番手、DHSが6.46%で3番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で29.6%、2番手はFDLで15.3%、3番手はDHSで12.0%でした。
5年増配率では【SCHD】が圧倒的でした。
7年増配率から将来YOCを予想する
それでは7年増配率を使った将来YOC予想です。
7年増配率は【SCHD】が11.14%と最も高く、【FDL】が9.17%で2番手、【DVY】%で3番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で25.6%、2番手は【FDL】で21.8%、3番手は【DVY】で13.1%、差なく4番手は【DHS】で12.2%でした。
7年増配率も【SCHD】が首位で、【FDL】が2番手でした。
10年増配率から将来YOCを予想する
最後は10年増配率を使った将来YOC予想です。【SPYD】はありません。
10年増配率は【SCHD】が11.13%でもっとも高く、【FDL】が8.20%で2番手、【DVY】が7.17%で3番手、差なく【DHS】が7.02%で4番手です。
20年目のYOC予想は、首位が【SCHD】で25.5%、2番手は【FDL】で18.4%、3番手は【DHS】で13.2%、差なく4番手は【DVY】で12.8%でした。
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全体的に見ると【SCHD】が素晴らしく、【FDL】が2番手です。この2つが他を大きく引き離しました。
3番手は【DVY】と【DHS】が競っていました。
高配当御三家ETFと言われる【VYM】、【HDV】、【SPYD】は今ひとつでした。
それぞれの項目をランク分け
これまで取り扱ったデータをランクづけしました。「A」が最高でB、C、Dの順です。相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。
【VYM】は経費率、純資産、銘柄数、セクターの分散、組入れ銘柄の規模、リスクなどが良かったです。高配当ETFというよりは、中配当増配系というか、インデックスにも近いです。人気なのもうなずけます。
【HDV】は経費率、組入れ銘柄の規模、リスクなどが良かったです。Cが多く、やや苦戦傾向です。
【SPYD】は経費率、銘柄の分散、分配金利回り、過去の分配金などが良かったです。高配当に特化しているETFという印象です。Dが4つもあったのが気になります。
【SCHD】は経費率、純資産、セクターの分散、リターン、シャープレシオ、過去や将来のYOC、過去分配金、増配率などが素晴らしかったです。申し分ないですね。
【DHS】は分配金の支払いが毎月というのがいいですが、そのため新NISAで買えないのがつらいです。Bが多く、安定しています。
【FDL】は歴史、分配金利回り、過去や将来のYOC、過去分配金、増配率などが素晴らしかったです。経費率が高いのと、ややリスクが大きいのが少し気になりました。
【DVY】は歴史があり、銘柄分散が効いています。なかなか安定しています。
ランキングの数をまとめる
ABCDの数値をまとめたデータです。
Aの数は【SCHD】が11個で最多、【VYM】と【FDL】が7個で続いています。
Bの数は【DHS】が11個で最多、【VYM】と【DVY】が8個で2番手です。
AとBを合わせた数は【SCHD】と【VYM】が15個と最も多く、【FDL】が13で続いています。総合的に見るとこの3ETFがいいのかなと思います。
まとめ
✅米国高配当ETFの2024年9月の分配金はいずれも好調で、前年同期よりプラス
✅純資産が約10兆円前後と規模の大きな【VYM】と【SCHD】が、その他のデータでも素晴らしかった
✅【VYM】は現在の分配金利回りが2.79%と低いが、それ以外は全体的に高水準
✅【SCHD】はリターンや増配率がかなり高く、現在の分配金利回りも高い
✅【FDL】は増配率と現在の分配金利回りが高水準。リターンもなかなかで、経費率が高いのに、長期の結果を出しているのが素晴らしい
✅【DVY】と【DHS】は安定した高配当ETFというイメージ。【DVY】は配当利回り加重なので、上位銘柄が他と異なっており、サテライト向き
✅【HDV】は今回の成績は今ひとつだが、軟調相場で強さを発揮するタイプ
✅【SPYD】は現在の分配金利回りを追求するタイプ。以前は分配金にバラつきがあったが、最近は安定