ブラックロック社のiシェアーズ好配当株式ETF【DVY】は、継続的に配当金を払っている米国の100銘柄を組み込んだETFです。ベンチマークはダウ・ジョーンズ U.S.セレクト・ディビデンド・インデックス。配当利回りが高く、かつ配当性向が押さえられており、過去5年の配当成長率がプラスの銘柄で構成されています。
経費率は0.39%。同じブラックロック社のiシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】が0.08%で、【VYM】の0.06%や【SPYD】の0.07%と比較しても少し高めです。
配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年10月19日の終値は85.53ドル、過去1年の配当額は3.5841ドルなので、配当利回りは4.19%になります。
【DVY】の過去の配当金と増配率は?
【DVY】が設定されたのは2003年11月と、なかなか古いです。下の表は過去の配当金の一覧です。
表の右端の過去1年配当額の前年同期比増配率を見ると、ずっとプラスが続いており、好感が持てます。
※背景が赤になっているのが減配です
【DVY】の年間配当額と年間増配率は?
【DVY】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は12月の配当が今後加わります。最近10年は毎年増配しています。
【DVY】の期別配当は?
昨年と比較すると、2020年は6月はイマイチでしたが、9月までのトータルではほぼ同じです。コロナ・ショックのダメージはそれほどなかったといえます。
【DVY】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう
先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【DVY】の株価と比較しました。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。2008年9月のリーマン・ショックのときは株価と配当額が大幅に下がりましたが、今回のコロナ・ショックは株価は下がりましたが、配当額はそれほど下がっていません。
【DVY】の配当額を棒グラフで確認しよう
こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。2020年は6月の配当が大幅に減らしましたが、9月は回復しました。
【DVY】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(3.5841ドル)と1、3、5、10年前の同時期の過去1年配当金額(3.464ドル、2.8553ドル、2.5171ドル、1.698ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。
YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【DVY】株を2020年10月19日の終値85.53ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年が3.5%、過去3年が7.9%、過去5年が7.3%、過去10年が7.8%でした。現在の配当利回りは4.19%です。もっとも増配率の低い過去1年のペースだと10年後のYOCは5.9%、20年後のYOCは8.3%になります。もっとも成績の良い過去3年の増配率を当てはめると10年後のYOCは8.9%、20年後のYOCは19.0%になります。過去1年以外のパターンで推移すれば、将来YOCはなかなか期待できそうです。
【DVY】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【DVY】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 【DVY】が設定された翌年の16年前の2004年まで、1年ごと遡って【DVY】を買った場合のYOCと株価を見ていきましょう。
2020年10月19日の終値は85.53ドル、過去1年の配当金額は3.5841ドルなので、現在の配当利回りは約4.2%です。
【DVY】の株価はここ1年は冴えませんが、それ以前は11年前の2009年頃から、緩やかな右肩上がりでした。そのため、早い時期に買っていれば、YOCは上がります。11年前に買っていたら、現在YOCは8.3%になっていました。現在と比較すると株価、YOCは約2.0倍になっていました。
今年に入ってからの配当利回りは?
2020年に入ってからの【DVY】の株価と配当利回りを見てみましょう。過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは3.4%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが5.75%まで上昇しました。現在は株価が半分ほど回復したため、配当利回りは4.12%です。
現在の【DVY】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じく3.5841ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ3.5841ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後【DVY】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【DVY】のセクター比率は?
組込銘柄のセクター比率は、金融が24.8%でトップ。公益事業が23.2%。この2セクターで約半分を占めています。以下、素材、通信サービス、生活必需品と続きます。公益事業がこれだけ多いETFは珍しいです。素材の割合が多いのも特徴ですね。
【DVY】の組込銘柄は?
下の円グラフは【DVY】の組込比率順の銘柄(ティッカー・コード)です。全組込銘柄数は100で、組込比率1%以上がちょうど半分の50銘柄あり、全体の約69%を占めています。組込比率1%未満は50銘柄で、全体の約31%です。
ざっと見た感じ、組込銘柄は【SPYD】と似ていますね。【SPYD】に組み込まれている銘柄から財務が健全なものを集め、配当利回りが若干低くなった。そんなイメージですかね。
ファンドオーバーラップで高配当ETFと比較する
【DVY】と高配当ETFの重複の割合を調べてみます。【SPYD】とは48%で、ウェイトの約半分が重なっています。【VYM】とは31%、【HDV】とは21%でした。高配当ETFではありませんが【VIG】とは9%しか重なっていません。
【DVY】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【DVY】の組込比率1.3%以上の上位25銘柄です。金融が多いですね。時価総額が1000億ドルを超えている超巨大企業が【PM】【T】【XOM】【IBM】【QCOM】の5銘柄しかありません。S&P500の中でも中堅どころが揃っています。ベンチマークのダウ・ジョーンズ U.S.セレクト・ディビデンド・インデックスが配当加重平均指数のため、時価総額の大きい銘柄が上位に来るというわけではありません。このあたりは【VYM】と異なりますね。
【DVY】と他の高配当ETFのトータルリターンを比較する
それでは【DVY】と他のETFのトータルリターンを比較してみましょう。【VYM】、【HDV】、【SPYD】と比べました。下のグラフは、【SPYD】が設定された2015年11月以降の、約5年間のトータルリターンです。
2015年11月に1万ドル投資して、配当を再投資した場合、2020年9月には【VYM】が1万3900ドル、【HDV】が1万2800ドル、【DVY】は1万2600ドル、【SPYD】は1万1400ドルになっていました。
過去9年半の他の高配当ETFのトータルリターンを比較する
今度は【HDV】が設定された2011年4月以降のトータルリターンを比較します。【DVY】と【VYM】、【HDV】、【VOO】を比べました。
2011年4月に1万ドル投資して、配当を再投資した場合、2020年9月には【VOO】が3万700ドル、【VYM】が2万4600ドル、【HDV】は2万2000ドル、【DVY】は2万1700ドルになっていました。
まとめ
【DVY】は経費率が0.39%と高いのが玉に瑕ですが、配当利回りが4%を超えて、さらに増配し続けているのは好感が持てます。【VYM】との重複率は31%と低いですが、【DVY】の100銘柄はすべて【VYM】に組み込まれているので、わざわざ【DVY】を買う必要はないのかもしれません。