✅日本の証券会社で購入可能なカバードコールETFを一挙紹介
✅JEPQ、JEPI、QYLD、XYLDだけじゃない
✅18ETF、運用会社ごとの特徴を比較
✅規模、経費率、分配金利回り、トータルリターンなどを比較
✅ETFごとの分配金と価格の傾向を明らかに
カバードコールETFが、続々取り扱い開始
2024年の7月や8月に、多くのカバードコールETFが購入可能になりました。
ナスダック100が対象の【FTQI】【IQQQ】の取り扱いが始まったり、ファーストトラスト社の【IGLD】【KNG】【RDVI】などがSBI証券で新規購入可能になりました。
そこで今回は、日本で購入可能なカバードコールETFに注目します。
カバードコールETFとは?
まずは、カバードコール戦略についてです。グローバルX社の資料を使って説明します。
カバードコール戦略とは、株を保有しながら、その株のコール・オプションを売ります。
コールオプションとは、事前に決まった権利行使価格で証券を購入する権利を買い手に与える金融デリバティブです。
たいてい1カ月後なので、1カ月後に保有している株を買う権利を売るわけです。
その権利代金のことをオプション・プレミアムと言って、これがETFを購入した人が毎月もらえる分配金になります。
カバードコール戦略の損益イメージ
こちらが損益のイメージです。
右側がカバードコール戦略の特徴です。縦軸が損益で、横軸は株価です。
通常の株式保有がオレンジ色の点線です。横軸の株価が上がって右に行くほど、縦軸の利益も増えて上に行きます。
カバードコール戦略は、緑色の実線です。株価が上がりすぎた場合は利益を放棄するので、途中で右に曲がります。
そのかわり、オプション・プレミアムを獲得できるので、オプションの代金分だけ、通常の株価よりも利益が出ています。株価があまり上がらない場合は、カバードコール戦略は、縦軸の利益が株式保有よりも上回ります。
ざっくりまとめると、株価が急上昇した場合の利益を放棄する代わりに、毎月着実にオプション・プレミアムがもらえるということです。
カバードコール戦略の特徴は?
カバードコール戦略の特徴は、インカムを獲得できることです。
とくに注目は、ボラティリティが上昇している相場の場合、オプション・プレミアムが多いことです。
ボラティリティが上昇しているときは、自分が保有している他の株式が軟調な場合が多いです。そんなときに着実に分配金を獲得できるので、カバードコール戦略はリスクの分散になるわけです。
【QYLD】における【カバード・コール戦略】の損益イメージです。
上昇相場の場合はオプション・プレミアムは獲得できますが、値上がり益を一部放棄するので、対象指数であるナスダック100をアンダーパフォームすることが多いです。
横ばい相場と下落相場の場合は、オプション・プレミアムを獲得できる分だけ、対象指数のリターンを上回る可能性があります。
ただし、カバードコール戦略は「オプションを買いたい人が多い」ナスダック100のような人気の指数が対象ケースが多いです。
そのため、上昇相場になることが多く、トータルリターンはナスダック100を下回る結果になることが多いです。
どんな会社からカバードコールETFが出ているのか?
それでは日本の証券会社で購入可能なカバードコールETFについて見ていきます。全部で16種類ありますね。運用会社は4つですね。それぞれの特徴を紹介します。
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JPモルガンは【JEPQ】【JEPI】です。現物株を約8割保有して、最大2割のELNという仕組債でカバードコール戦略を行います。コールオプションは行使価格が市場価格より高い「アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)」ですね。
グローバルXは【QYLD】【XYLD】など8ETFあります。基本的にオプション・オーバーライト率100%で、コールオプションの行使価格は市場価格と同じ「アット・ザ・マネー(ATM)」です。ある意味「自動化された」戦略に近いイメージです。安定したインカムを狙うのが特徴で、分配金利回りは高いが、株価上昇はそれほど期待できないですね。
ファーストトラストの主力は【FTQI】【FTHI】です。オプション・オーバーライト率を低めに設定し、基本的にアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のオプション戦略を採用しながらも高い分配金利回りを維持しています。
JPモルガンとファースト・トラストは運用チームの手腕の比重が大きいETFと言えそうです。
プロシェアーズは【IQQQ】のみです。オプション・オーバーライト率100%で、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)です。日次でコールオプションを売るので、短期的な市場変動に迅速に対応できるため、より安定した小さな収益を追求する戦略です。
運用会社とカバードコールETFの種類を分かる
こちらは運用会社とカバードコールETFの種類を分けたものです。
対象はナスダック100、S&P500、その他の3つに分かれます。
ナスダック100とS&P500は上下の2つが同じ内容ですね。例えば【JEPQ】はナスダック100で、そのS&P500版が【JEPI】になります。
なので、JPモルガン、グローバルX、ファーストトラストの3社は、ナスダック100とS&P500に対して、同じ商品を投入しているというわけです。
カバードコールETFを細かく見る
もう少し細かく見ていきましょう。
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ナスダック100が対象なのが、JPモルガンが【JEPQ】、グローバルXが【QYLD】、ファーストトラストが【FTQI】です。この3つがそれぞれの会社の主力です。【IQQQ】はプロシェアーズのETFで、出来たばかりです。この4つがライバル関係みたいな感じですね。
SP500が対象なのが、JPモルガンが【JEPI】、グローバルXが【XYLD】、ファーストトラストが【FTHI】です。この3つもそれぞれの会社の主力です。
【2865】は【QYLD】の東証版、【2868】は【XYLD】の東証版です。
【QYLG】【XYLG】は50%カバードコール戦略です。グローバルX社は基本的にオプション・オーバーライト率100%ですが、この2つのETFだけは50%になります。
【QRMI】【XRMI】はカバードコール戦略にプロテクティブ・プットという保険のようなものを掛けたETFです。少し特殊な商品です。
一番下はその他です。左の2つはグローバルX社の商品です。【RYLD】はラッセル2000が対象、【DJIA】はニューヨークダウが対象のカバードコールETF。
右の3つはファーストトラストの商品。【KNG】はS&P500配当貴族指数に採用されている個別銘柄でカバードコール戦略を行います。
【RDVI】はRDVYを保有しながらS&P500のコールオプションを週次で売ります。
【IGLD】は米短期債を保有しながらゴールドのシンセティックなロングポジションを取ってカバードコール戦略を行います。
日本の大手ネット証券で購入可能なカバードコールETF一覧
それでは日本の証券会社で購入可能なカバードコールETFの一覧です。
全部で18ETFあります。ナスダック100対象が7つ、S&P500対象が6つ、その他が5個です。
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ナスダック100とS&P500はカバードコール戦略の特徴の部分に背景色をつけました。
背景色が薄いオレンジ色は、オーソドックスなカバードコールETF。それ以外の背景色は、少し毛色が異なります。色ごとに特徴が違います。
ナスダック100対象のカバードコールETF
ここからはナスダック100が対象のカバードコールETF7種類を比較していきます。
先ほどの16種類のETF一覧から、ナスダック100の部分です。
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カバードコール戦略の特徴を見ていきましょう。
背景色が赤色はJPモルガンの【JEPQ】。ナスダック100の中から低ボラティリティ株を約8割保有して、残りの最大2割でELNという仕組債でカバードコール戦略を行います。
背景色が薄いオレンジ色は、オーソドックスなカバードコールETFです。【IQQQ】だけは日次でカバードコール戦略を行います。【2865】はQYLDの東証版です
※【FTQI】が保有しているのはナスダック100指数全体ではなく、ナスダック100銘柄を中心とした銘柄です
背景緑色の【QYLG】は50%カバードコール戦略です。
背景青色の【QRMI】はプロテクティブ・プット戦略を行います。現物保有とコール・オプションのショート以外に、プット・オプションのロングを組み合わせて保険を掛けます。
トータルリターンを比較
注目データをグラフで確認します。まずはトータルリターン比較。
1年と2年は【JEPQ】が21%前後で、【QYLG】も同じく21%前後とかなり高いです。
【QYLD】と【FTQI】は10年以上の運用実績があります。1年や2年のリターンは15%前後とやや劣りますが、【QYLD】の10年リターンは8%となかなか高いです。
純資産を比較
続いて純資産を比較します。ETFの規模です。
【JEPQ】が2.2兆円ほどと圧倒的です。設定から2年4カ月ほどしか経過していませんが、素晴らしいです。保有している人が多いETFだけのことはあります。
【QYLD】は1.1兆円ほどと、こちらもなかなかの規模です。
【FTQI】は600億円ほど。10年の運用実績からすると、やや物足りないですね。
経費率を比較
経費率を比較します。低いほどうれしいです。
【JEPQ】は0.35%と低く抑えられています。このあたりも人気の秘訣ですね。
【QYLG】も同じく0.35%です。もともと0.6%でQYLDとほぼ同じでしたが、2024年4月に0.35%に下げました。恐らく【JEPQ】を意識したと思われます。
【QYLD】は0.61%ほどと少し高めです。
【FTQI】は0.75%。ファーストトラスト社のETFは経費率が全体的にやや高いです。ただ、高いだけあって、運用チームが様々な仕事をしている感はあります。
分配金利回りを比較
最後に、現在の分配金利回りの比較です。12カ月利回りです。
ナスダック100はボラティリティが高いため、オプション・プレミアムを多く獲得できる傾向なので、分配金利回りは高い傾向ですね。
【JEPQ】は9.46%で、この中では少し低めです。ただしリターンが抜群に良かったので、この分配金利回りでも良いかと思います。
【QYLG】は5.7%。50%カバードコール戦略のため、分配金利回りは半分ぐらいです。ただ、こちらもリターンは【JEPQ】と並んでよかったですね。
残りは11%や12%台ですね。【IQQQ】は分配金が5回しか出ていないので、それを1年換算して計算しました。直近8月がかなり多かったので、やや高めに出ました。
東証版の【2865】は10.5%ほどとやや低め。外国税10%が引かれた金額で計算したので、実際は【QYLD】とほぼ同じと考えても大丈夫です。
リターンの高い【JEPQ】や【QYLG】が分配金利回りはやや低め。リターンと分配金利回りはトレードオフみたいなイメージですね。
総合的に考えると2.2兆円ほどと規模の大きい【JEPQ】がやはり素晴らしいかなと思います。
【QYLD】は10年リターンは8%となかなか高いのが光ります。
ナスダック100対象のカバードコールETFの分配金と価格を比較
それではナスダック100が対象の7つのカバードコールETFを、1つずつ分配金と価格を比較します。
【JEPQ】の分配金と取引所価格の比較
まずはJPモルガンの【JEPQ】。
グラフの見方としては、赤い折れ線グラフが取引所価格か基準価格です。青い棒グラフが毎月の分配金。価格と分配金は二桁異なりますので、赤い折れ線の価格に対して、青い棒グラフの分配金が重なれば、月利1%で、年利換算12%ぐらいになるというわけです。
【JEPQ】は2023年6月以降は、重なっていませんでしたが、2024年9月や10月は重なりました。
直近の2025年2月分配金は0.4502ドル。先月より1.2%減です。
【JEPQ】の取引所価格は上昇傾向ですね。
【QYLD】の分配金と基準価額の比較
続いてグローバルXの【QYLD】。
こちらは基準価額に対して、毎月の分配金がほぼ重なっています。なので12カ月分配金利回りは12%弱です。
グローバルX社のカバードコールETFは、分配金の上限は基準価額に対して1%のケースが多いです。
直近の2025年12月の分配金は0.3386ドル。キャピタルゲイン分配金があったため、1%を大きく超えました。
【QYLD】の基準価額は、以前は20ドル以上でしたが、2022年5月以降は20ドルを下回っています。ただ、直近の基準価額はやや上昇傾向です。
【FTQI】の分配金と取引所価格の比較
次はファーストトラストの【FTQI】。保有しているのはナスダック100指数全体ではなく、ナスダック100を中心とした銘柄です。
2022年4月までは分配金は少なかったです。分配金利回りは3%ぐらいでした。
ところが、2022年5月以降は、赤い線の価格に対して、青い棒グラフの分配金がほぼ重なっています。つまり、分配金利回りが12%ぐらいに増えたわけです。
この理由として考えられるのは、2022年は市場のボラティリティが急増し、オプション・プレミアムが上昇したからかもしれません。もしくは、JPモルガンの【JEPI】が2021年頃から大ヒットしたため、ファーストトラストがカバードコールETFのオプション・プレミアムを多く獲得する方針に変更した可能性が考えられます。
分配金が増えた2022年5月以降の取引所価格は横ばいですね。
【IQQQ】の分配金と取引所価格の比較
プロシェアーズの【IQQQ】です。
分配金は10回出ましたが、かなり不安定です。
当初0.3ドル台が多かったですが、8月はボラティリティが大きかったためか、9月の分配金は0.8192ドルとかなり増え、11月は0.1046ドルと大幅に減り、続く12月は0.3401ドルに戻りました。翌2025年1月は0.1648と再び減りましたが、2月は0.4504ドルと大幅増。
過去10回の分配金を1年換算した分配金利回りは9.8%で、直近2月の分配金から出した分配金利回りは12.4%ほど。
【2865】の分配金と取引所価格の比較
【QYLD】の東証版、【2865】です。
基本的には【QYLD】と同じですが、分配金は外国税10%が引かれてた数値です。設定から1年ぐらいは希薄化されていたので、分配金はやや少なめでした。
直近2025年1月の分配金は23円。キャピタルゲイン分配金が出たため、かなり多いです。
こちらは東証版QYLD【2865】と米国上場【QYLD】の分配金推移の比較。どちらも直近はキャピタルゲイン分配金が出たため、かなり多かったです。
【QYLG】の分配金と基準価額の比較
【QYLG】です。50%カバードコール戦略なので、毎月の分配金は1%ではなく、半分の0.5%ぐらいです。
以前は基準価額に対して【QYLG】の分配金の上限は0.5%でしたが、2024年2月に上限が1%に変更となりました。
2024年12月は5.2983%とかなり多かったです。キャピタルゲイン分配金が出たようです。
【QRMI】の分配金と取引所価格の比較
最後は【QRMI】。
プロテクティブ・プット戦略を行っているため、分配金は価格の1%ぐらいをほぼキープできています。
ただし、価格は下落傾向です。分配金利回りは12%ですが、トータルリターンがイマイチというわけですね。
【QQQI】の分配金と取引価格の比較
【QQQI】はNEOSインベストメンツという会社の商品です。信託報酬は0.68%。マネックス証券で購入可能となりました。ナスダック100のカバードコールETFです。設定は2024年1月と日が浅いです。
青い棒グラフが、赤い線を突き抜けており、毎月の分配金は価格の1%を超えています。なので、分配金利回りは14%ぐらいと高いです。
S&P500対象のカバードコールETF
ここからはS&P500が対象のカバードコールETF6種類を比較していきます。
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カバードコール戦略の特徴を見ていきましょう。
背景色が赤色はJPモルガンの【JEPI】。米国の大型株の中から低ボラティリティ株を約8割保有して、残りの最大2割でELNという仕組債でカバードコール戦略を行います。JEPQのS&P500版ですね。
背景色が薄いオレンジ色は、オーソドックスなカバードコールETFです。【2868】はXYLDの東証版です
※【FTHI】が保有しているのはS&P500指数全体ではなく、S&P500を中心とした大型銘柄です
背景緑色の【XYLG】は50%カバードコール戦略です。
背景青色の【XRMI】はプロテクティブ・プット戦略を行います。現物保有とコール・オプションのショート以外に、プット・オプションのロングを組み合わせて保険を掛けます。
トータルリターンを比較
注目データをグラフで確認します。まずはトータルリターン比較。
1年と2年は【FTHI】と【XYLG】が15~20%の間で素晴らしいです。
【JEPI】と【XYLD】は15%を切っており、3、4番手です。
【XYLD】と【FTHI】は5年や10年のリターンがあります。【FTHI】が7%台で、【XYLD】は6%台です。
全体的にリターンは【FTHI】が素晴らしいですね。
純資産を比較
続いて純資産を比較します。ETFの規模です。
【JEPI】が4.9兆円ほどと圧倒的です。設定から4年4カ月で、この数字は素晴らしいです。JEPQ同様に保有している人が多いETFだけのことはあります。
【XYLD】は4000億円ほどと、こちらもなかなかの規模ですが、JEPIの1/10ほどです。
【FTHI】は1200億円ほど。10年の運用実績からすると、物足りないですね。リターンは悪くなかったんですけどね。
経費率を比較
経費率を比較します。
【JEPI】は0.35%と低く抑えられています。このあたりも人気の秘訣ですね。
【XYLG】も同じく0.35%です。もともと0.6%で【XYLD】とほぼ同じでしたが、2024年4月に0.35%に下げました。おそらく【JEPI】を意識したんだと思います。
【XYLD】は0.6%と少し高めです。
【FTHI】は0.75%。ファーストトラスト社のETFは経費率が全体的にやや高めです。
経費率はナスダック100カバードコールETFと同じ傾向ですね。
分配金利回りを比較
最後に、現在の分配金利回りの比較です。12カ月利回りです。
S&P500はナスダック100に比べるとボラティリティが低いため、オプション・プレミアムがやや控えめで、分配金利回りはそれほど高くないですね。
【XRMI】が12%とトップです。おそらくプロテクティブ・プット戦略が上手くいっていると思われます。
【XYLD】が9.23%、【FTHI】は8.46%。このあたりがS&P500対象カバードコールETFの平均ですかね。
東証版の【2868】は8.57%ほどとやや低め。外国税10%が引かれた金額で計算したので、実際は【XYLD】とほぼ同じと考えてもOKです。
【JEPI】は7.13%で、この中では少し低めです。
【XYLG】は4.35%。50%カバードコール戦略のため、分配金利回りは半分ぐらいです。こちらはリターンが素晴らしかったですね。
【FTHI】がリターン、分配金利回りともに上々でした。ただし経費率が0.75%と高いため、純資産は1220億円と小さいですね。総合的に考えると【JEPI】か【XYLD】ですかね。
S&P500対象のカバードコールETFの分配金と価格を比較
それではS&P500が対象の6つのカバードコールETFを、1つずつ分配金と価格を比較します。
【JEPI】の分配金と取引所価格の比較
まずはJPモルガンの【JEPI】。
【JEPI】は真ん中の2022年ごろは、価格に対して分配金が重なっていましたが、2023年2月以降は分配金が減りました。
2024年9月以降はボラティリティが大きいため、分配金は40ドル近くまで回復しました。直近2024年2月の分配金は0.3259ドル。先月より17.5%減です。
【JEPI】の取引所価格は、直近1年は上昇しています。
【XYLD】の分配金と基準価額の比較
続いてグローバルXの【XYLD】。
こちらも基準価額に対して、2023年4月以降は毎月の分配金があまり重なっておらず、分配金利回りは9%前後ぐらいです。
ただし、直近の2024年12月の分配金は1.1895ドル。キャピタルゲイン分配金が出たため、1%を大きく上回りました。
ナスダックに比べて、S&P500はボラティリティが小さいため、分配金利回りは低いですね。
【XYLD】の基準価額は、最近は横ばいです。
【FTHI】の分配金と取引所価格の比較
次はファーストトラストの【FTHI】。保有しているのはS&P500指数全体ではなく、S&P500を中心とした大型銘柄です。
2022年1月までは分配金は少なかったです。分配金利回りは4%台でした。
ところが、2022年2月以降は、分配金が一気に増え、分配金利回りは8%台に増えました。
この理由は、同じファーストトラストの【FTQI】と同じですね。2022年は市場のボラティリティが急増し、オプション・プレミアムが上昇したから。もうひとつは、JPモルガンのJEPIの大ヒットに対抗するため、ファーストトラストがカバードコールETFのオプション・プレミアムを多く獲得する方針に変更したから。
取引所価格は、直近は上昇傾向ですね。
【2868】の分配金と取引所価格の比較
【XYLD】の東証版、【2868】です。分配金はバラつきがありますね。
内容は【XYLD】と同じですが、分配金は外国税10%が引かれてた数値です。為替の影響も受けますし、設定から1年ぐらいは希薄化されていたので、分配金はやや少なめでした。
直近2025年1月の分配金は28円。キャピタルゲイン分配金が出たため、かなり多いです。
こちらは東証版XYLD【2868】と米国上場【XYLD】の分配金推移の比較。どちらも直近はキャピタルゲイン分配金が出たため、かなり多かったです。
【XYLG】の分配金と基準価額の比較
【XYLG】です。50%カバードコール戦略なので、毎月の分配金は1%ではなく、半分の0.5%ぐらいが目安です。
【QYLG】同様に、以前は基準価額に対して【XYLG】分配金の上限は0.5%でしたが、2024年2月に上限が1%に変更となりました。
2024年12月の分配金は5.2491ドルとかなり多かったです。キャピタルゲイン分配金が出たようです。
【XRMI】の分配金と取引所価格の比較
最後は【XRMI】。
プロテクティブ・プット戦略を行っているため、分配金は価格の1%ぐらいをほぼキープできています。
ただし、価格は下落傾向です。【QRMI】同様に、分配金利回りは12%ですが、トータルリターンがイマイチというわけですね。
【SPYI】の分配金と取引価格の比較
【SPYI】はNEOSインベストメンツという会社の商品です。信託報酬は0.68%。マネックス証券で購入可能となりました。S&P500のカバードコールETFです。
毎月の分配金は価格のちょうど1%ぐらいです。分配金利回りは約12%です。S&P500が対象で分配金利回り12%というのは、かなり高いです。
その他のカバードコールETF
それではその他のカバードコールETF5種類を見ていきます。
※クリックで拡大します
カバードコール戦略の特徴を見ていきましょう。
【RYLD】はラッセル2000という全米の小型株が対象、【DJIA】はニューヨークダウが対象。どちらもオーソドックスなカバードコール戦略です。
【KNG】はS&P500配当貴族指数が対象ですが、指数に採用されている個別銘柄でカバードコール戦略を行います。
【RDVI】はファーストトラストの【RDVY】という増配系ETFを保有しながら、S&P500のコール・オプションを週次で売ります。
【IGLD】は米国短期債を保有し、ゴールドの合成ロングポジションを取ることで、ゴールドの価格に連動を目指します。さらに、ゴールドのコール・オプションを売ってカバードコール戦略を行います。ややマニアックですね。
なお、ファーストトラストの【KNG】、【RDVI】、【IGLD】は楽天証券では購入できないようです。SBIやマネックス証券では購入可能です。
トータルリターンを比較
注目データをグラフで確認します。まずはトータルリターン比較。
1年と2年は【RDVI】と【IGLD】が15%を超えており、好成績です。この2つは原資産である【RDVY】やゴールドの成績が最近素晴らしいからというのもありますね。
【KNG】は5年リターンが10%となかなかです。【RYLD】が全体的に良くないですね。
純資産を比較
続いて純資産の比較です。ETFの規模です。
【KNG】が4600億円ほどと、なかなか売れています。設定が2018年とこの中では最古参からというのもあります。
【RYLD】と【RDVI】が2000億円ほどとまずまずです。
【IGLD】は160億円ほど。理解するのが少し難しいETFだからかもしれません。
経費率を比較
経費率を比較します。どれも結構高めです。
グローバルXの【RYLD】【DJIA】が0.6%で、この中では低いです。
ファーストトラストの右3つは経費率がやや高いです。とくに【IGLD】は0.85%です。戦略が複雑なため、仕方ないですね。
分配金利回りを比較
最後に、現在の分配金利回りの比較です。12カ月利回りです。
【RDVI】が12.18%と素晴らしいです。ラッセル2000という小型株が対象のため、ボラティリティが大きく、オプション・プレミアムをたくさん稼ぐからです。
【KNG】と【RDVI】は8.3%台。まずまずですね。
【DJIA】はニューヨークダウが対象なので、ボラティリティが小さいです。そのため分配金利回りは6.26%とやや低めです。
総合的に考えると、ファーストトラストの【KNG】と【RDVI】がリターン、売れ行き、分配金利回りともになかなかの水準でした。ポートフォリオのサテライトとして、どちらかを保有するというのは、面白いかもしれないですね。
その他のカバードコールETFの分配金と価格を比較
それでは、その他のカバードコールETF5つの分配金と価格を比較していきます。
【RYLD】の分配金と取引所価格の比較
まずはグローバルXの【RYLD】。
ラッセル2000という全米の小型株が対象なので、ボラティリティが大きく、毎月1%の分配金を獲得しています。
ただし基準価額は2021年12月以降は、下がっていますね。分配金利回りは12%ですが、トータルリターンがイマイチというわけですね。
【DJIA】の分配金と取引所価格の比較
続いてグローバルXの【DJIA】。
ニューヨークダウが対象で、ボラティリティが小さいので、毎月の分配金は1%に届いていないです。12カ月分配金利回りは6.3%ほどと低いです。
基準価額は横ばいですね。
【KNG】の分配金と取引所価格の比較
次はファーストトラストの【KNG】。
S&P500配当貴族指数が対象ですが、指数に採用されている個別銘柄でカバードコール戦略を行います。
分配金は2023年6月までは四半期に一度でしたが、2023年8月以降は毎月分配型になりました。真ん中より右のあたりで減っているようにみえますが、毎月分配型になったためで、実際は増えています。
12カ月分配金利回りは以前は4%ぐらいでしたが、毎月分配になってからは8%を超えています。つまり分配金利回りは上がったというわけです。
毎月分配に変更して、積極的にオプションプレミアムを獲得する方針に変更したと思われます。
取引所価格も上昇傾向ですね。
【RDVI】の分配金と取引所価格の比較
次はファーストトラストの【RDVI】。
【RDVY】という増配系ETFを保有しながら、S&P500のコール・オプションを売ります。コール・オプションの売却は週次で実施します。
分配金は横ばい、取引所価格は直近1年は上昇傾向。安定感がありますね。
【RDVY】は金融が多く、ボラティリティも大きいですが、増配率の高い結構優秀なETFです。ただ分配金利回りが2%弱と物足りないので、この【RDVI】を保有してみても面白いかもしれませんね。
12カ月分配金利回りは8.3%ぐらいで、ひとつ前に紹介した【KNG】と同じぐらいです。
【IGLD】の分配金と取引所価格の比較
最後はファーストトラストの【IGLD】。
米国短期債を保有し、ゴールドのシンセティック・ロングポジションを取りながら、ゴールドのコール・オプションの売るカバードコール戦略を行います。
金の価格上昇からの利益を追求しつつ、オプション取引で安定した収益を得る複合的な戦略です。
分配金は2022年の中盤以降、一気に増えました。
2022年は金融市場のボラティリティが大幅に増加し、ゴールドの価格も上昇したためと考えられます。
2024年12月はキャピタルゲイン分配金が出たようで、2.4043ドルでした。
それぞれの項目をランク分け
これまで取り扱ったデータをランクづけしました。
「A」が最高で「B」「C」「D」の順です。「S」は圧倒的に素晴らしい場合につけました。相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。
トータルリターンは1、2、3、5、10年と5つあります。全部で1つみたいに考えてください。
※クリックで拡大します
歴史が長くA評価のETFは、トータルリターンが5項目あるので、よく見えます。【QYLD】、【FTQI】、【XYLD】、【FTHI】です。
オーソドックスなカバードコールETFだと、ナスダックが対象だと【JEPQ】、【QYLD】、【FTQI】が良さそうです。
S&P500が対象では【JEPI】、【XYLD】、【FTHI】ですね。
リターンの良さでは【QYLG】、【XYLG】の50%カバードコールETFもなかなかです。
その他のETFでは【RDVI】、【IGLD】がリターンの良いですね。
ランキングの数を確認
SABCDの数値をまとめたデータです。
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「S」の数は【JEPI】が1つありました。
「A」の数は【QYLD】と【FTHI】が5個で最多。
「B」の数は【XYLD】が7個で最多。
「S」「A」「B」を合わせた数では【QYLD】と【XYLD】が8個で最多でした。
先ほども書きましたが、【QYLD】、【FTQI】、【XYLD】、【FTHI】はトータルリターンの項目が5個あるので、合計9項目と多いです。そのあたりを差し引いて考えた方が良さそうですね。
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まとめ
✅日本で購入可能な、分配金が出るタイプのカバードコールETFは18種類(たぶん)
✅JPモルガン、グローバルX、ファーストトラストの3社が、ナスダック100とS&P500を対象としたカバードコールETFを出している
✅ナスダック100が対象のカバードコールETFは、JPモルガンの【JEPQ】が規模が大きく、リターン、経費率、分配金利回りも良く、総合的に優れている
✅グローバルXの【QYLD】は10年のリターンが8%というのが光る
✅プロシェアーズの【IQQQ】は設定から半年ほどなので、今後に期待
✅S&P500が対象のカバードコールETFは、ファーストトラストの【FTHI】がリターン、分配金利回りともに上々。ただし経費率が0.75%と高いため、純資産は1220億円と小さい
✅総合的に考えるとJPモルガンの【JEPI】か、グローバルXの【XYLD】
✅東証版QYLD【2865】と、東証版XYLD【2868】は、設定から2年ほどが経ち、本家と同じくらいの分配金利回りになった。そろそろ買い時かも
✅その他のカバードコールETFなら、ファーストトラストの【KNG】と【RDVI】が安定しており面白い。サテライトとして少し保有するのはありかも









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