2022年5月のカバードコールETFの分配金【QYLD】【XYLD】は満額。その理由を考察します

グローバルXのカバード・コールETFの分配金は少し特殊です。今回は、分配金額がどのくらいだったのかと、利回りについて考えます。

 

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基本情報

まずは、グローバルX社のカバードコール系ETF8種類の説明です。

対象となる原資産は4つ、ナスダック100、S&P500、ラッセル2000、ニューヨーク・ダウです。いずれも米国を代表する指数です。ラッセル2000は米国の小型株の集合体です。【RYLD】以外は日本の大手ネット証券で購入可能です。

左から2列目の「カバードコールETF」は、4つの指数すべてにあります。【QYLD】【XYLD】【RYLD】【DJIA】です。たとえば【QYLD】の場合は、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数の100%をコール・オプション売却することで、オプション・プレミアムを受け取ります。これが分配金として支払われます。残りの3つも対象となる指数が異なるだけで、内容は同じです。

左から3列目「カバードコール50ETF」は、【QYLG】の場合だと、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数の50%のコール・オプションを売却します。コール・オプションが50%なので、理論上は獲得するオプション・プレミアムが【QYLD】の半分になります。その代わり、残りの50%の部分は原資産なので株価の値上がり益が狙えます。通常のカバードコールETFは、値上がり益をかなり放棄しているので、ここが異なります。

一番右の列「リスク管理・インカムETF」は「カバードコールETF」に加え、同指数の5%アウト・オブ・ザ・マネーのプット・オプションを買うことで、暴落時の損失を軽減させます。ただし、プット・オプションを買う代金を支払うので、コール・オプションによって獲得したプレミアムが少し減ります。

 

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2022年5月の分配金データ

通常のETFの利回りを算出する方法は「過去の1年の分配金を株価で割って計算する」「現在の分配金を1年分に換算して株価で割る」などがあります。

グローバルX社のカバードコールETFは、分配金の上限が決まってます。【QYLD】や【XYLD】などは、獲得したオプション・プレミアムの金額の半分、もしくは基準価格(=純資産価格/NAV)の1%です。つまり、オプション・プレミアムを2%以上獲得できれば分配金の上限は基準価格の1%になります。

カバードコールETFは組込銘柄の配当を分配金として出すのではなく、獲得したオプション・プレミアムからの分配金という特殊なシステムです。なので、基準価格(NAV)に対して何%の分配金を支払ったかを計算して、そこから利回りを求める方法が、利回りの目安になるという考え方もできます。

上の表は2022年5月のカバードコールETFの分配金と、それが基準価格(NAV)の何%だったかのデータです。

【QYLD】【XYLD】【RYLD】は1%の上限の可能性が高いですね。【QYLG】【XYLG】も上限の0.5%のようです。背景が薄いオレンジ色のところが満額です。【DJIA】は0.72%と今ひとつです。【XRMI】はまずまず、【QRMI】はプットの購入代金が高かった可能性があります。

 

基準価格は権利付き最終日(分配金を獲得できる最終日)、もしくはオプションの満期日のようです。現在は、いずれも同じ第3金曜日です。なお、12月は月末が権利落ちなので、他の月と合わせます。

 

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カバードコールETFの2022年5月と4月の分配金&基準価格比較

この表は2022年5月の分配金と、1カ月前の4月の分配金を比較したものです。「対先月分配金増減率」を見ると、いずれのETFも分配金額は減っています。ただ、先ほど説明したとおり、【QYLD】【XYLD】【RYLD】【QYLG】【XYLG】の5月の分配金は、基準価格(NAV)の1%や0.5%の上限でした。

表の右側が基準価格(NAV)の1カ月前との比較です。背景が薄いオレンジ色の銘柄は、分配金の増減率と基準価格(NAV)の増減率がほぼ同じです。これは、5月と4月の分配金は、どちらも基準価格(NAV)の上限ということを意味しています。

さて今回は、基準価格(NAV)の調べ方、オプション・プレミアムから算出した利回りなどについて検証します。

 

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ETF SUITEから読み解く!

グローバルX社の公式サイト(英語版)には「GLOBAL X COVERD CALL ETF SUITE」というPDFファイルが公開されています。以下のような情報です。

このデータの「Distribution」というのが、毎月の基準価格(NAV)に対する分配金の比率です。ちなみに、左側の「Option Premium」は獲得したオプション・プレミアムですね。

たとえば、【QYLD】の2021年8月は0.82%とあります。2021年8月の基準価格(NAV)は22.89ドル、分配金は0.187861ドル。分配金/基準価格=0.82%となります。

ただし、このデータは四半期に1度くらいのペースでしか、更新されません。そこで、自分で計算してみようというのが、今回の趣旨の1つです。

 

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【QYLD】の分配金比率(%)は?

グローバルX社の公式サイトには、ETFの株価に関するデータが公開されています。公式サイト(英語版)だと各ETFの「PREMIUM DISCOUNT CHART」をクリックし、 「DOWNLOAD CHART DATA (.CSV)」のデータです。それを使って、毎月の分配金比率(%)を計算します。前項の「GLOBAL X COVERD CALL ETF SUITE」というPDFファイルの「Distribution」を自分で計算します。

公式サイトにある株価などのデータと、先ほどのpdfファイルのデータを合わせたものが、下の表です。

左から2列目の「Market Price」というのが終値です。この「Market Price」から「Premium/Discount」を引いた数値が基準価格(NAV)になります。

そして分配金をNAVで割ると、表の右から2列目の「分配金比率」になります。このデータが、表の右から1列目の「Gloval X Covered Call ETF Suite」の「Distribution」と同じかどうかをチェックします。

背景が赤の部分が0.03%以上異なっていたケースです。背景が薄いオレンジは0.01~0.02%異なっています。データの数は40個で、違いは3カ所なので、ほぼ正解と考えてもいいかもしれません。

ちなみに2022年4月と5月は、公式データが出ていません。一番右上の部分です。この部分を自分で計算しようというわけです。

 

終値と基準価格(NAV)はほぼ同じなので、毎月第3金曜日の終値をチェックしましょう。日本時間では第3土曜日早朝6時(夏時間は5時)頃です。終値の1%が分配金の上限の目安と考えればOKです。そして、日本時間の土曜の正午ごろに分配金の非公式情報が、Bloombergなどから発表されるのでチェックしましょう。その頃ツイッターなどで、分配金額が流れてくるはずです。

 

【XYLD】の分配金比率(%)は?

他のカバードコールETFも同じように計算しましょう。【XYLD】はS&P500を対象としたETFです。

こちらは6カ所間違っていました。少し多いですね。ただし、いずれも0.01~0.02%なので、許容範囲といえるかもしれません。

【RYLD】の分配金比率(%)は?

【RYLD】はラッセル2000を対象としたETFです。そろそろ日本の証券会社でも取り扱いが始まりそうです。

こちらは3カ所間違っていました。いずれも0.01%なので、ほぼ正解といえそうです。

【DJIA】の分配金比率(%)は?

【DJIA】はニューヨーク・ダウを対象としたETFです。設定されたのが2022年2月23日で、ごく最近です。

分配金は3度出ましたが、「GLOBAL X COVERD CALL ETF SUITE」のデータは1カ所しかありません。0.88%で正解でした。

【QYLG】の分配金比率(%)は?

【QYLG】はナスダック100を保有しながら、50%だけコール・オプションを売るETFです。そのため、分配金の上限は1%ではなく0.5%です。

データの相違は2カ所です。2021年12月はキャピタルゲイン分配金も含めて4.29%もありましたので、この部分は計算方法が異なっている可能性がありそうです。

【XYLG】の分配金比率(%)は?

【XYLG】はS&P500を保有しながら、50%だけコール・オプションを売るETFです。こちらも、分配金の上限は1%ではなく0.5%です。

なんとデータはすべて同じでした。ついに出ました。パーフェクトです。

【QRMI】の分配金比率(%)は?

【QRMI】はナスダック100をカバードコールする戦略を取りながら、暴落に備えて、5%アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションを買います。【QYLD】に暴落の保険をかけたようなETFです。

「GLOBAL X COVERD CALL ETF SUITE」「Distribution」には【QRMI】や【XRMI】のデータはありません。プットの買いがあるため、他のカバードコールETFとは毛色が異なるためだと思います。

他のETF同様に、分配金をNAVで割って「分配金比率」を出してみます。これを【QYLD】の分配金比率と比べて、その差を一番右列に出しました。この差が、プットオプションの買いで使った金額という考え方ができるかもしれません。

【QRMI】の分配金は安定しないですね。

【XRMI】の分配金比率(%)は?

【XRMI】はS&P500%をカバードコールする戦略を取りながら、暴落に備えて、5%アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションを買います。【XYLD】に暴落の保険をかけたようなETFです。

こちらも【QRMI】同様に、分配金をNAVで割って「分配金比率」を出してみます。これを【XYLD】の分配金比率と比べて、その差を一番右列に出しました。この差が、プットオプションの買いで使った費用という考え方ができそうです。

【XRMI】の分配金は【QRMI】よりは安定しています。

 

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利回りを3パターンで比較

カバードコールETFがやや特殊なのは、わかりましたね。それでは現在の利回りを出してみましょう。下のデータは、これまでの分配金比率(分配金/NAV)をまとめたものです。その合計額が背景が薄い青色の(1)です。

背景が黄色の2021年12月は、キャピタルゲイン分配金がありましたので、上限の1%や0.5%に調整しました。

(2)(3)は過去1年分配金の合計額を現在の株価で割って算出した利回りです。(2)は2021年12月の分配金額を上限に調整しました。

現在、いずれの銘柄も株価が低迷しているので、(2)(3)は利回りがかなり高くなっています。今買って、将来通常の価格に戻れば、YOCが(2)と同じくらいになる可能性があります。

上限から考えた利回りは、このページで算出した(1)ですね。利回りの上限は100%カバードコールが12%、50%カバードコールは6%です。今後、株価が現在と同じ水準が続く場合は、これが目安となりそうです。

 

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分配金比率を過去1年分合計した推移

ここまで出してきた「分配金比率」(分配金/NAV)を、過去1年分を合計して利回りとしました。その推移です。100%カバードコール戦略の【QYLD】【XYLD】【RYLD】は12%が上限、50%カバードコール戦略の【QYLG】【XYLG】は6%が上限です。

【RYLD】は最近はずっと12%の上限です。満額を獲得できていると言えます。ナスダック100が対象の【QYLD】【QYLG】もなかなか優秀で、満額に近いです。S&P500が対象の【XYLD】【XYLG】は少し見劣っています。

 

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カバードコール系ETFの利回りを過去1年分配金から算出

こちらは過去1年の分配金から算出した利回りの推移です。過去1年分配金を、毎月月末の株価で割ったものです。最近はかなりの株安のため、利回りが全体的に高くなっており、【RYLD】や【QYLD】12%を超えています。先ほどの分配金をNAVで割って計算したデータと比べると、直近の株価の影響を受けます。

 

下のグラフも過去1年の分配金から算出した利回りです。過去1年分配金を、毎月月末の株価で割りました。コール・オプションの売りが50%の【QYLG】【XYLG】と、リスク管理インカムETF【QRMI】【XRMI】です。【QYLG】の利回りは6%を超えており、かなり高いですね。

※2021年12月分配金は【RYLD】【QYLD】はNAVの上限1%で計算、【QYLG】【XYLG】はNAVの上限0.5%で計算しました

 

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獲得したオプション・プレミアムの比較

獲得したオプションプレミアムの比較です。グローバルX社の「GLOBAL X COVERD CALL ETF SUITE」のデータをグラフ化しました。50%カバードコール戦略ETFが設定された2020年9月以降の平均は、カバードコールETFは【RYLD】2.70%、【QYLD】2.44%、【XYLD】1.81%。【DJIA】は2022年3月の1回のみで1.76%。50%カバードコール戦略ETFは【QYLG】1.32%、【XYLG】0.86%です。

ラッセル2000を対象とした【RYLD】が、プレミアムを一番獲得しています。ナスダック100対象の【QYLD】【QYLG】は分配金の支払いが上限となる2%や1%を超えています。S&P500の【XYLD】【XYLG】は上限の2%や1%を下回っています。

 

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まとめ

2022年5月の分配金は、株価が低迷したために、いずれのETFも1カ月前と比べてかなり減りました。

ただし、【QYLD】【XYLD】【RYLD】は1%の上限を支払った可能性が高いです。また、【QYLG】【XYLG】の50%カバードコールETFも上限の0.5%のようです。

ボラティリティが大きいために、オプション・プレミアムはしっかりと獲得できていたと考えられます。

カバードコールETFの特性として、株価が下がると、分配金の上限も下がります。逆に株価が安いときに購入して、株価が戻って分配金の上限が続けば、購入簿価あたりの利回り(YOC)は高くなります

需要があれば、このページも毎月更新しようかなと考えています。