今回は235A(グローバルX 高配当30-日本株式ETF)を徹底分析。超大型銘柄を対象とした高配当ETFで、8月22日に上場します。
なんと、過去のリターンは大人気高配当ETF【1489】を上回っています。
前半はETFのコンセプトを説明。全銘柄紹介、業種比率、指数の過去のリターンなどからETFの特色を明らかにします。
後半はライバルの高配当ETF【1489】【2564】【1698】【1577】、TOPIX【1306】と比較。組入れ銘柄、業種、トータルリターン、リスクなどを比べることで、【235A】がどんなETFなのかを浮き彫りにしていきます。
序盤は235Aのコンセプトについて
前半は、235Aの上位銘柄紹介、業種比率、最新の分配金情報など
後半は、ライバルの高配当ETFと組入銘柄や業種の違い、トータルリターンなどを比較
【235A】グローバルX 高配当30-日本株式 ETFの基本情報
それでは235Aの基本情報です。
正式名称は「グローバルX 高配当30-日本株式 ETF」です。略称は「GX高配当30日株」。
対象指数は「Mirae Asset Japan High Dividend 30 Index(配当込み)」。日本の高配当企業30社で構成される株式インデックスです。
他の高配当ETFよりも時価総額の大きい銘柄で、かつ30銘柄への厳選投資を行います。
指数が設定されたのは2008年7月なので、16年ほど経過しています。
このETFの上場は2024年8月22日です。
信託報酬は0.3025%。国内高配当ETFと比べると平均的。【1489】とほぼ同じです。
組入れ銘柄から算出した分配金利回りは4.3%。高配当ETFの中でもトップクラス。のちほど全30銘柄データを公開します。
分配金は2、5、8、11月の年4回。最初の分配金は11月ですね。
決算日(権利確定日)は24日。2営業日前に保有していれば分配金が貰えます。1株から購入可能です。グローバルXの東証上場ETFなので、1000円からスタートのようです。
235Aの銘柄選定方法は?
それでは、【235A】の対象指数であるMirae Asset Japan High Dividend 30 Index(配当込み)の銘柄選定について確認しましょう。
親指数は「Mirae Asset Japan 500 Index」。国内上場の時価総額上位500銘柄により構成される指数です。
(1)時価総額5000億円以上
(2)年間フリーキャッシュフローから年間配当総額を引いたものがプラス。
(3)これらの条件を満たした銘柄の中から、配当利回りの高い順に30銘柄が指数構成銘柄になります。
このETFのポイントは、(2)年間フリーキャッシュフローから年間配当総額を引いたものがプラスということですね。
十分なフリーキャッシュフローが残っているので、財務的に健全であり、持続可能な配当が期待でき、企業の成長余地も期待できるということですね。
銘柄の入れ替えは年2回、1月と7月。1つの銘柄のウェイトは10%が上限。ウェイト付けは配当加重方式です。
全30銘柄と少なく、時価総額がかなり大きめな高配当銘柄が対象というのは珍しいですね。ライバルは【1489】かなと思います。
今回の【235A】と前回の【2641】の超大型ETFコンビを両方保有するというのは、面白そうですね。
【235A】対象指数のパフォーマンスは?
【235A】の対象指数である「Mirae Asset Japan High Dividend 30 Index(配当込み)」のパフォーマンスを確認しましょう。
2008年7月に設定され、2024年7月末までのデータです。
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上がチャートです。2021年以降は、かなり上昇していますね。他の国内高配当ETFと似ています。
下が年間パフォーマンス。リターンは3年が33.8%、5年が25.2%、10年が16.3%です。かなり高いですね。10年16.3%というのは、素晴らしいです。後ほど国内高配当ETFとデータを比較します。
235Aはどんな銘柄で構成されているのか?
それでは【235A】の組入銘柄について、見ていきましょう。全30銘柄です。
配当加重なので、支払った配当額の多い順に組み入れます。イメージとしては、時価総額と配当利回りを掛けた数値の大きい順です。一番右端の列です。
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上位10銘柄の比率は71.2%とかなり高いですね。なので、上位銘柄の影響が大きいETFと言えます。上位10銘柄は時価総額が3兆円以上の超大型企業ばかりですね。1銘柄の上限は10%です。
トップ5は武田薬品、日本たばこ産業、ソフトバンク、みずほフィナンシャルグループ、本田技研工業です。
組入れ銘柄の配当利回りから出したETFの加重平均利回りは、4.33%です。結構高配当が期待できます。時価総額ではなく、配当加重にしたので、高配当が実現できたというわけです。
業種は右から4列目です。東証33業種に分けて、背景色は異なる色にしています。かなりカラフルですね。業種分散は利いていると思われます。
このETFの対象は、時価総額5000億円以上の企業です。なので、超大型銘柄が多いですね。
あと気になった点は、日本たばこ産業、キヤノン、INPEX、キリンホールディングス、電通グループなどが入っていることですね。これらは12月決算です。
通常の日本株高配当ETFは3月決算が多く、各銘柄の配当は年2回なので、年4回の分配金のうち、2回は少なくなってしまいますが、【235A】はそれほど差が出ない気がします。
235Aの業種組入比率をチェックしよう
それでは235Aの組入銘柄の業種について、見ていきましょう。
首位が医薬品で16.2%、2位が食料品で12.3%、3位が輸送用機器で12.0%、4位が情報・通信業で10.6%。ここまでが二桁です。全体の51.1%です。
医薬品、食料品、情報・通信業という、比較的景気に左右されない銘柄が上位にいますね。高配当ETFとしては珍しいです。
十分なフリーキャッシュフローが残っており、財務が健全な銘柄を条件にしているのが、業種からもうかがえます。
業種別に組入銘柄を確認
全30銘柄を業種別の多い順に並べました。東証33業種中17業種なので、組入れ銘柄数の30から考えると業種の分散が効いています。
医薬品、輸送用機器、鉄鋼、化学が3銘柄ずつ入っています。
海運が3.7%、卸売業が1.0%と高配当ETFの定番が少ないのも、このETFの特徴と言えます。
235Aとライバルの日本株高配当ETFの基本データ比較
ここからは【235A】とライバルの日本株高配当ETFを比較します。
同じグローバルXの【2564】、野村の【1489】と【1577】、日興の【1698】と比較します。
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【235A】の特徴としては、配当加重ですね。他の高配当ETFは均等加重、時価総額加重ですね。
【1489】は配当利回りと流動性加重なので、配当加重に近いです。銘柄数は【235A】は30と少数精鋭ですね。その分、リスクが少し高くなりそうです。
信託報酬は、ほとんどが0.3%台です。後発の【235A】は0.3025%なので、他の高配当ETFより信託報酬を少し低く設定しています。
分配金利回りは、過去1年の分配金から算出しました。【2564】が3.9%、他は3.1%台です。【235A】は設定が8月22日なので、分配金情報がありません。組入れ銘柄の配当利回りから計算しました。参考程度にしてください。約4.3%なので、かなり高いですね。
235AとライバルETFの業種と銘柄の違いは?
それでは、組入上位10銘柄を比較します。
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【235A】と似ているのは、【1489】ですね。武田薬品工業がどちらも首位。日本たばこ産業も【235A】は2位で、【1489】は3位です。それ以外でも重複している銘柄が多いです。
上位10銘柄の比率を確認しましょう。【235A】は全部で30銘柄で配当加重方式なので、上位10銘柄は71.2%とかなり集中投資です。
逆のタイプは【1577】ですね。こちらは均等加重で70銘柄が組入れられているので、上位10銘柄は19%と低いです。
組入銘柄の規模を比較しよう
こちらは【235A】の全30銘柄に、【1489】組入れ銘柄がどのくらい入っているかという比較表です。
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【235A】の上位10銘柄は、【1489】にも9銘柄が入っており、入っていないのは小松製作所だけです。しかも【1489】の上位10位以内が多いです。
このことから、【235A】は【1489】】と似ているETFと言えます。
上位業種を比較しよう
組入銘柄の業種を比較します。
【235A】は医薬品、食料品、情報・通信業という、比較的景気に左右されない銘柄が上位にいますね。この3業種は他の高配当ETFにはあまり入っていないので、【235A】は他の高配当ETFと組合せるのに向いているETFと言えそうです。
他のETFは高配当ETFなので、景気敏感業種が目立ちますね。海運業、建設業、銀行業、鉄鋼などです。銀行業は【235A】にも入っていますが、5位で9.1%です。
トータルリターンを比較する
トータルリターンを比較します。トータルリターンとは分配金を再投資した株価リターンのことです。2024年7月末基準のデータです。期間は1、3、5、10年で、年率です。
【235A】は対象指数の公式サイトにあったデータです。残りのETFはMorningStarのものなので、同じ場所からのデータ比較ではないので、参考程度にしてください。
【235A】のリターンは素晴らしいですね。1年が38%、3年が33.8%、5年が25.2%、10年が16.3%です。
【235A】は、【1489】をどの期間でもわずかに上回っています。リターンは、日本株高配当ETFの中でもトップクラスですね。
トータルリターン、リスク、リスク調整後リターンを比較
トータルリターン、リスク、シャープレシオを比較しようと思ったのですが、【235A】のシャープレシオは不明です。
先ほどのトータルリターンでも使用した対象指数の公式サイトにリターンとボラティリティがありました。ボラティリティはリスクなので、これを使用して、リターンをリスクで割った数値、いわゆるリスク調整後リターンを比較します。こちらも同じ場所の比較ではないので、参考程度にしてください。
トータルリターン、リスク、リスク調整後リターンを散布図で比較(5年)
縦軸がトータルリターン、横軸がリスク、()内の数値がリターン割るリスクです。
表の左上がローリスク・ハイリターンで理想です。右下がハイリスク・ローリターンで良くないです。ただし、一般的にはリターンが高いとリスクも高くなる傾向です。
まずは3年です。
【235A】はリターンが33.8%とトップクラスで、リスクは14.5%と結構高いです。リターンをリスクで割ると2.33です。
【1489】の2.64には劣りますが、他の高配当ETFよりはいいですね。
トータルリターン、リスク、リスク調整後リターンを散布図で比較(5年)
続いて5年です。
【235A】はリターンが25.2%とトップで、リスクは15.8%と結構高いです。リターンをリスクで割ると、1.59です。
【1489】の1.41と比較しても、かなり優秀ですね。
トータルリターン、リスク、リスク調整後リターンを散布図で比較(10年)
最後は10年です。【1489】はありません。
【235A】はリターンが16.3%とトップで、リスクは17.3%でまたまた高いです。リターンをリスクで割ると0.94です。【1698】の0.81と比較しても、かなり優秀です。
トータルリターン以降のデータは、同じところからの比較ではないので、参考程度にしてください。
【235A】のリターンはどの期間も素晴らしかったです。銘柄数が30と少ないためか、リスクも大きいですね。
ただ、【1489】と比べて互角以上のパフォーマンスでした。驚きです。逆に、なぜ今までETFとして出さなかったのか不思議なくらいです。
まとめ
【235A】は2024年8月22日に上場する日本株を対象とした高配当ETFです。
時価総額5000億円以上を対象に、年間フリーキャッシュフローから年間配当総額を引いたものがプラスになっている銘柄から、配当利回りの高い順に30銘柄を選びます。
十分なフリーキャッシュフローが残っているので、財務が健全であり、持続可能な配当が期待でき、企業の成長余地もあるETFと言えそうです。
信託報酬は0.3025%で、国内高配当ETFとほぼ同じです。
分配金は年4回で、2、5、8、11月。
組入れ銘柄の配当利回りから出したETFの加重平均利回りは、4.33%なので、かなり高配当が期待できます。
組入れ銘柄は超大型銘柄が多く、【1489】と結構似ています。12月決算銘柄がやや多いので、年4回の分配金の差が少ない【1698】っぽさも少しあります。
業種は分散されており、医薬品、食料品、情報・通信業という、比較的景気に左右されない銘柄が上位にいるのが特徴です。
リターンは【1489】をやや上回っていました。意外ですね。なので結構期待できそうです。ただし、リスクも大きいので少し気になります。
指数が設定されてから16年も経過しているのが不思議です。もっと早くETFとして登場しても良かったのではと思います。
たかにんは買ってみようかなと考えています。上場後の分配金データについても、追っていこうと思います。